玄関マットは、家に入る人が最初に踏むものです。風水では玄関を「気の入り口」とするため、玄関マットにもいろいろな意味が語られます。
実際に相談が多いのは、「内側と外側のどちらに敷くのか」と、「マンションの廊下に置いてもいいのか」の2つです。そこから始めて、色や素材、手入れの話へ進みます。
内側に敷くか、外側に敷くか

風水の説明では、どちらにも意味があるとされます。外側のマットは外から持ち込む悪いものを落とし、内側のマットは入ってきた良い気をとどめる、という考え方です。両方に敷くことを勧める説明もあります。
実用面から見ても、役割ははっきり分かれています。
- 外側のマット
靴の泥や砂を落とすのが役目です。目の粗い素材や、ブラシのような毛足のものが向いています。雨にさらされるので、水はけのよい素材を選んでください。 - 内側のマット
外で落としきれなかった汚れを受け止め、室内に持ち込まないのが役目です。吸水性のある布製が向いており、足ざわりや見た目で選ぶ余地も大きくなります。
どちらか一方だけにするなら、住まいの条件で決めるのが現実的です。戸建てで玄関前に土や砂利があるなら外側、マンションで外側に置けないなら内側、という分け方になります。
マンション・集合住宅で気をつけること
風水の記事ではほとんど触れられませんが、集合住宅の玄関の外側は、多くの場合「共用部分」です。玄関扉の外の廊下は、個人の敷地ではありません。
- 管理規約で、共用廊下に私物を置くことが禁止されていることがよくあります。マットも私物にあたるので、置く前に規約を確かめてください
- 廊下は避難経路でもあります。つまずきの原因になるものを置くと、非常時の妨げになります
- 玄関扉の外側の面も共用部分とされることがあり、飾り物を付けられない場合があります
外側に置けない場合は、内側に一枚しっかりしたマットを敷くことで役割をまとめられます。風水の説明でも、内側のマットだけで整えることは十分とされています。
色と方角をいっしょに決める
色は単独で選ぶより、玄関の向いている方角と組み合わせて考えると迷いにくくなります。ただし色の割り当ては流派によって変わるので、目安として受け取ってください。
- 北向きの玄関
冷えやすく暗くなりがちな方角とされ、ベージュやオレンジなど暖かみのある色が勧められます。実際に日の入りにくい玄関なら、明るい色は空間を広く見せる効果もあります。 - 東向きの玄関
朝日が入る方角で、成長や始まりと結びつけて語られます。緑や水色、白が勧められることが多い方角です。 - 南向きの玄関
日差しの強い方角とされ、緑やベージュなど落ち着いた色で整えるよう説明されます。日に当たる場所なら、色あせしにくい素材を選ぶと長持ちします。 - 西向きの玄関
金運と結びつけて語られる方角で、黄色や金色、ベージュが勧められます。西日で色があせやすいので、濃すぎない色が扱いやすくなります。 - 北東向きの玄関(鬼門)
変化の起きやすい方角とされ、白やベージュで清潔に整えるよう勧められます。とくに汚れをためないことが強調される方角です。
どの方角でも共通して無難とされるのは、ベージュ系です。迷ったらそこから始めて、汚れの目立ち方を見ながら調整してかまいません。
汚れ方から素材を選ぶ
玄関マットは、家の中でいちばん汚れを受け止めるマットです。色より先に、汚れの種類で素材を選ぶと失敗しにくくなります。
- 泥や砂が多い
目の粗い素材や、ゴム製、ヤシの繊維のような硬いものが向いています。汚れを掻き落とす力が強く、はたくだけで落ちます。 - 雨の日の水気が気になる
吸水性の高い布製が向いています。ただし乾きにくいので、替えを用意しておくと回しやすくなります。 - ほこりや髪の毛が中心
毛足の短い布製が扱いやすく、掃除機で吸いやすい素材です。毛足が長いと、見た目は良くても中に溜まります。
裏面の滑り止めは、素材にかかわらず確かめてください。玄関は靴を脱ぎ履きする場所で、つまずきが起きやすいところです。
雨の日・洗い方・替えどき
風水でも実際の衛生面でも、汚れたままのマットがいちばん良くないという点は一致しています。
続けやすい手入れの決め方
- 毎日:はたく。外で軽くはたくか、掃除機をかけるだけで、表面の砂はほとんど取れます
- 週に一度:洗う。洗濯機で洗えるかは、買う前に表示を確かめておいてください
- 雨の日:乾かす。濡れたまま敷いておくと、においとカビの原因になります。ひどく濡れた日は、いったん外して干してください
- 替えを一枚持つ。洗っているあいだ玄関が空くのが面倒で先延ばしになるので、交互に使うと手入れが続きます
替えどきの目安は、洗っても汚れやにおいが落ちない、裏の滑り止めが効かなくなった、端がめくれて引っかかる、の3つです。季節ごとに替える習慣を持つ人もいますが、傷んでいなければ無理に替える必要はありません。
季節で替えるなら
風水では、季節ごとに玄関マットを替えて気を入れ替える習慣が勧められます。実際にも、季節によってマットに求めることは変わります。
- 春
花粉や砂ぼこりが多い時期です。表面の汚れを掻き落としやすい、目の詰まった素材が向いています。明るい色に替えると、玄関の印象も軽くなります。 - 梅雨・夏
湿気がこもりやすい時期です。薄手で乾きやすい素材や、い草のように通気のよいものが扱いやすくなります。替えを多めに用意しておくと、洗ったあとも回せます。 - 秋
落ち葉や砂が靴に付いて持ち込まれやすい時期です。外側にマットを置ける家なら、泥落としの役目を強めます。 - 冬
足元が冷える時期なので、内側のマットは厚みのある起毛素材が快適です。ただし雪や雨の水気を吸うと乾きにくくなるので、濡れた日は外して干してください。
季節ごとに替えるなら、しまうマットは洗って完全に乾かしてから収納します。湿ったまましまうと、次の季節に出したときににおいが残ります。
ペットのいる家で選ぶとき
犬や猫がいる家では、色や方角より先に気をつけたいことがあります。
- 輪になった毛足の素材は避ける。爪が引っかかりやすく、ペットがけがをすることがあります
- 家で丸洗いできるものを選ぶ。毛や汚れが付きやすく、洗う回数が多くなります
- かじる癖があるなら、端がほつれない素材に。繊維を飲み込むと体調を崩す原因になります
靴と傘もあわせて整える
風水では、玄関マットだけ整えても、靴や傘が出しっぱなしでは気の入り口が塞がるとされます。実際にも、玄関の汚れやにおいの多くはマットではなく靴と傘から来ます。
- 靴
出しておくのは、その日に履く一足か、家族の人数ぶんまでにします。脱いだ靴はすぐにしまわず、半日ほど風に当てて湿気を抜いてから靴箱に入れると、においがこもりにくくなります。 - 靴箱
詰め込むと湿気が抜けず、においとカビの原因になります。ときどき扉を開けて換気し、履かなくなった靴は見直してください。風水でも、履かない靴を溜め込むことは避けるよう説明されます。 - 傘
濡れた傘を閉じたまま傘立てに入れると、乾かずににおいが出ます。開いて乾かしてからしまうのが基本です。マンションの共用廊下で傘を広げて干すのは、規約で禁止されていることがあるので気をつけてください。
玄関マットが原因で起きやすい事故
玄関は、段差があり、靴を脱ぎ履きし、手に荷物を持って通る場所です。家の中でも転びやすい条件がそろっています。マットはその中で、つまずきの原因にもなります。
- 端がめくれている。つま先が引っかかる、いちばん多い原因です。めくれ癖がついたら、替えどきと考えてください
- 滑り止めが効かなくなっている。踏んだ瞬間にマットごと滑ります。床用の滑り止めシートを下に敷くと改善します
- 厚みで段差ができている。毛足の長い厚いマットは、踏み込んだときの高さが変わります。高齢の家族がいる家では、薄手のほうが安全です
- 濡れたままになっている。雨の日の濡れたマットは、靴底が滑りやすくなります
小さな子どもや高齢の家族がいる家では、色や方角より先に、この4点を確かめてください。風水で「気の入り口を整える」ことは、家族が安全に出入りできることと同じ方向を向いています。
鬼門の玄関で、とくに言われること
北東は鬼門、南西は裏鬼門と呼ばれ、風水や家相では気をつけるべき方角として扱われます。玄関がこの向きにある家は少なくありません。
よく勧められるのは、清潔を保つこと、白やベージュなど明るく落ち着いた色を使うこと、物を出しっぱなしにしないことです。盛り塩を置くという習慣を持つ家もあります。
いずれも、玄関をこまめに掃除して片づけておくという、方角にかかわらず役立つ内容と重なっています。鬼門だからと特別に不安になる必要はなく、他の方角の玄関より少し丁寧に整える、と受け取っておけば十分です。
よくある質問
Q. 玄関マットは必ず敷かないといけませんか。
A. 敷かなければいけない決まりはありません。風水では敷くことが勧められますが、敷かない場合でも玄関の床をこまめに拭いて清潔に保てば、同じ考え方に沿っています。
Q. 黒い玄関マットは避けたほうがよいですか。
A. 風水では、重い印象になるとして勧められないことが多い色です。実用面では汚れが目立たない利点がありますが、汚れていても気づきにくいので、洗う日を決めて使ってください。
Q. マンションの廊下にマットを置いてもよいですか。
A. 管理規約で共用廊下への私物の設置が禁止されていることが多いので、まず規約を確かめてください。置けない場合は、内側に一枚敷くだけで十分です。
Q. 玄関マットに文字や模様が入っていてもよいですか。
A. 「ようこそ」などの文字入りマットを好む人もいます。風水では落ち着いた印象を優先するため、大きな文字や強い柄を避ける説明もあります。好みで選んでかまいません。
Q. 玄関マットと室内のマットは同じ色にしたほうがよいですか。
A. そろえる必要はありません。玄関は外と内の境目なので、室内とは違う色にして区切りをつけるという考え方もあります。
Q. 賃貸なので、マットで床が傷まないか心配です。
A. ゴム製の滑り止めは、クッションフロアやフローリングに色移りや変色を起こすことがあります。床材に対応していると表示のあるものを選ぶか、定期的にマットを持ち上げて床の状態を確かめてください。退去時の原状回復で問題になりやすいところです。
Q. 玄関マットは何枚まで敷いてよいですか。
A. 決まりはありませんが、外側と内側に一枚ずつが一般的です。同じ場所に重ねて敷くと、段差ができてつまずきやすくなるので避けてください。
まとめ
玄関マットは、外側は泥を落とす、内側は汚れを持ち込まない、という役割で考えると敷く場所が決めやすくなります。マンションでは共用廊下の規約を先に確かめ、置けなければ内側の一枚で十分です。
色は方角と組み合わせて目安にし、迷ったらベージュ系から。素材は汚れの種類から選び、毎日はたいて週に一度洗う。風水で「気の入り口を整える」と言われていることは、この場面では清潔な玄関を保つことと、ほとんど同じ意味です。


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