好きな人のことを考えていたら、時計が11:11だった。レシートの合計が222円だった。片思いのあいだは、こうした数字の一致が気になり、意味を調べたくなるものです。
ここでは、片思いの解説でよく挙がる数字について、もとの本に何と書かれていたのかを確かめます。そのうえで、片思いについて心理学の研究で分かっていること、相手に伝えるかどうかを決める前に確かめたいことをまとめます。
数字の意味は、1999年の本から

数字の並びをメッセージとして読む方法を広めたのは、アメリカの著述家ドリーン・バーチューです。1999年の本で数字の並びの意味を紹介し、2005年にはリネット・ブラウンとの共著で、0から999までの意味をまとめた本を出しました。日本語版は『エンジェル・ナンバー』の書名で、2007年に出ています。
「2005年の本から広まった」と書かれていることがありますが、数字の並びの意味は1999年の本にすでに載っています。また、「古代ギリシャのピタゴラスが、数には固有の振動数があると説いた」という説明も見かけますが、そう述べたことを示す出典は見つかりませんでした。
本の意味は、特定の相手を指していない
片思いの解説でよく挙がる数字について、本に書かれている意味を挙げます(確かめられたものだけを載せています)。
- 111
考えていることが現実になりやすいので、望むことだけを考えるように。1999年の本では、時計の1:11や11:11が例として出てきます。 - 222
新しく植えた考えが、現実に育ち始めている。2005年の本では「信じて。すべてうまくいく」と短く書かれています。 - 333
アセンデッドマスター(高い境地に達したとされる存在)が、そばにいる。 - 444
たくさんの天使が、あなたのまわりで支えている。 - 777
その調子で続けて、という励まし。 - 888・999
888は、ひと区切りが近いという予告。999は「完了」です。
どれも、片思いの相手の気持ちや、関係がどうなるかを告げる意味としては書かれていません。「両思いになる前ぶれ」「相手も自分を思っている」といった読み方は、本の外で後から付けられたものです。
バーチュー自身は2017年にキリスト教に改宗し、2023年には、数秘術を教えたことを悔いていると語っています。数字の意味は、ひとりの著者の読み方として受け止めてください。
片思いは、めずらしいことではない
2013年の調査では、2年間のあいだに経験した片思いの数は、両思いの約4倍にのぼったと報告されています。片思いのほうが、ずっとありふれているということです。
1993年の研究では、71人に片思いの体験を書いてもらっています。片思いをした側では、44%が苦しさを語り、98%は同時に、楽しさや喜びも語っていました。つらいだけの体験ではなく、両方が混ざるのが片思いの普通の姿です。
同じ研究では、好意を向けられた側の語りも集めています。そこで多かったのは、困惑、断りづらさ、そして相手が引かないときの怒りでした。好意を伝えることが、相手にとって必ずうれしいとは限らない、ということです。
「動かないのは、なぜか」の読み違え
1996年の研究では、同じ「動かない」という事実を、自分と相手で違うように読むことが示されています。自分が動かないのは「断られるのが怖いから」。相手が動かないのは「関心がないから」。こう読み分けてしまうのです。
相手の側も、同じように考えているかもしれません。数字の意味を調べて待つあいだ、相手も「自分からは動けない」と思っている可能性があります。
2003年の研究では、断られることを強く恐れている人ほど、「自分の好意はもう相手に伝わっている」と思い込みやすいことが示されています。伝えていないのに伝わっているつもりになると、相手が動かないことを、断りの返事として受け取ってしまいます。
断られないことを、好意と読まない
2014年の研究では、人は自分で思うより断れないことが示されています。相手の気持ちを気にして、誘いに応じたり、予定を空けたりしてしまうのです。
食事に来てくれた、話を聞いてくれた、連絡が返ってきた。これらは、好意のしるしとしては弱い手がかりです。断りにくさで説明できてしまうからです。相手の気持ちを知りたいなら、相手が断りやすい形で尋ねるほうが確かです。
数字の一致も、これと似たところがあります。見た数字だけが記憶に残り、見なかった日は数に入りません。好きな人のことは一日に何度も考えるので、何かの数字と重なる機会も、それだけ多くなります。重なったことを「相手の気持ちの表れ」として読むと、相手の実際のふるまいから目が離れてしまいます。
伝えるかどうかを決める前に
- 相手が断りやすい形で誘う(二人だけでなく、短い時間で、断っても気まずくならない用件で)
- 返事を急かさない。返事が来ないことを、答えとして決めつけない
- 相手の立場を確かめる(職場や学校で、断りにくい関係になっていないか)
- 数字を見た日ではなく、自分が落ち着いている日に決める
- 断られたときにどうするかを、先に決めておく
数字は、動く日を決める理由にはなりません。それでも、「気になる数字を見た」ことを、先延ばしにしていたことを考え直すきっかけに使うのは、悪くない使い方です。決めるのは自分だと分かっていれば、外れても悔いが残りません。
例として、数字の意味をまとめた本の日本語版です(ドリーン・バーチュー、リネット・ブラウン著、牧野・M.美枝訳、ダイヤモンド社、2007年)。0から999までの項目があり、気になる数字を引けます。
※ 価格は投稿時点のものです。最新の価格はAmazonでご確認ください。
よくある質問
Q. 片思いのときに見る数字は、両思いになる前ぶれですか?
A. もとの本の意味は、特定の相手との関係を告げるものとしては書かれていません。「両思いの前ぶれ」という読み方は、本の外で後から付けられたものです。
Q. エンジェルナンバーの意味は、いつからあるものですか?
A. 1999年の本に数字の並びの意味が載っていて、2005年の本で0から999までがまとめられました。「ピタゴラスが数に固有の振動数があると説いた」という説明の出典は見つかりませんでした。
Q. 片思いをしているのは、自分だけでしょうか?
A. 2013年の調査では、2年間に経験した片思いの数は両思いの約4倍と報告されています。1993年の研究では、片思いをした人の44%が苦しさを語り、98%は喜びも語っていました。
Q. 相手が動かないのは、気持ちがないからですか?
A. そうとは限りません。1996年の研究では、自分が動かない理由は「怖いから」、相手が動かない理由は「関心がないから」と読み分けてしまうことが示されています。
Q. 誘いに応じてくれるのは、好意のしるしですか?
A. 弱い手がかりです。2014年の研究では、人は自分で思うより断れないことが示されています。相手が断りやすい形で尋ねるほうが確かです。
Q. 数字を見た日に告白したほうがいいですか?
A. 数字は決める理由にはなりません。自分が落ち着いている日に、相手が断りやすい形で伝えるほうが、あとに残るものが少なくなります。
Q. 好きな人のことを考えていると、同じ数字をよく見ます。
A. 見た数字は覚えていて、見なかった日は数に入らないためです。好きな人のことは一日に何度も考えるので、数字と重なる機会もそれだけ多くなります。
Q. 片思いを伝えたら、相手の迷惑になりませんか?
A. 1993年の研究では、好意を向けられた側が、困惑や断りづらさ、相手が引かないときの怒りを語っていました。断りやすい形で伝え、返事を急かさないことが、相手への配りになります。



コメント