寝室の鏡の位置と風水|「ベッドを映さない」の出どころ、夜の光と眠り、地震と収れん火災の注意

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風水・暮らし

寝室に姿見やドレッサーを置くとき、鏡をどこに向ければいいか迷うことがあります。風水の解説では、鏡にベッドが映る配置は避ける、寝ている間は鏡に布をかける、北や東の壁がよい、といった作法が紹介されています。

ここでは、まず「寝室の鏡はどこに置くか」に答え、そのあとで、「ベッドを映さない」という言い伝えがどこから来たのかを、百科事典と古い住宅の書物でたどります。そのうえで、鏡と眠りの関係、地震で鏡が倒れたり割れたりする危険、鏡が日光を集めて火事を起こす収れん火災について、厚生労働省や東京消防庁、消費者庁の資料で確かめたことをまとめます。

先に答え:寝室の鏡は、どこに置くか

寝室の鏡の位置と風水|「ベッドを映さない」の出どころ、夜の光と眠り、地震と収れん火災の注意のイメージ

確かな理由のあるものと、言い伝えによるものを分けて並べます。

  • 倒れてもベッドに届かない位置と向きに
    東京消防庁は、寝る場所にはなるべく家具を置かず、置くなら背の低いものにするか、倒れたときに寝ている所へ向かない置き方にするよう勧めています。立てかける姿見や鏡付きのたんすも、同じ考えで置きます。(確かな理由)
  • 寝る場所の真上に、重い鏡を掛けない
    地震で落ちたとき、寝ている人に当たる位置です。壁に掛けるなら、寝る場所から外れた壁にします。(確かな理由からの考え)
  • 窓の近く、日の当たる所に置かない
    鏡は日光を集めて物を燃やすことがあります。消費者庁に寄せられた収れん火災の情報では、原因として鏡が最も多くなっていました。(確かな理由)
  • 夜の明かりを、ベッドへ返さない向きに
    寝ている間は、弱い光でも眠りを妨げることがあります。窓の外の街灯や廊下の明かり、足元灯の光が、鏡で目に入らないかを、寝る位置から確かめます。(確かな理由からの考え)
  • 出入口をふさがない
    倒れた家具でドアが開かなくなると、逃げられなくなります。(確かな理由)
  • 寝姿が映らない向きにするか、布をかける
    寝姿を映さないのは風水の言い伝えです。気になるなら向きを変えるか、布をかけます。使わない鏡に布をかぶせることは、日光による火事を防ぐ点でも勧められています。(言い伝えと確かな理由)

「ベッドを映さない」は、どこから来たか

もとの記事は、鏡がベッドを映す配置を風水で最もよく知られた避けるべき配置とし、眠っている間は魂が体から離れやすく、反射したエネルギーが睡眠の質を下げたり、疲れを取れにくくしたりする、という考え方を紹介していました。けれども、その出どころは示していませんでした。

住宅の吉凶を見る中国の古い書物『宅経』を上下巻とも調べると、鏡という字は『宅鏡』という書名として出てくるだけで、鏡や寝床の置き方は書かれていませんでした。この書物が扱うのは、方位ごとの門や井戸、便所の置き場所などです。もとの記事は風水を「古代中国発祥の環境哲学」と書いていましたが、辞典では、占いの技術である術数の一派、陰陽家の術、あるいは中国の伝統的な自然観・環境観と説明されています。

鏡にまつわる言い伝えは、東西に共通する

百科事典の「鏡」の項を見ると、鏡をめぐる言い伝えは数多く、鏡の面に覆いをする習慣や、鏡が割れると不吉として忌む習慣は、東洋と西洋に共通すると書かれています。鏡の面には必ずふたをしておく習慣、鏡は女性の魂だという信仰、魔物の正体を見破る力があるという話も紹介されています。

中国では、魏晋南北朝の時代に、人に化けた動物の正体を鏡に映して見破る話が、道教の書『抱朴子』や怪異を記した小説に多く現れ、唐のはじめには、そうした話を集めた『古鏡記』が書かれました。家の入口に鏡を掛けて魔よけにする習慣もあります。玄関の外に掛ける八卦鏡も、外から来る悪い気を跳ね返すためのものとされ、寝室の中に置く鏡の話ではありません。もとの記事は、鏡には正しい位置に置くと邪気を払う浄化の作用がある、と書いていましたが、言い伝えで魔よけとされてきたのは、家の外に向けて掛ける鏡です。

日本の民俗では、鏡は女性の魂や身を守る道具ともされ、赤ん坊や病人のように魂が落ち着かない人は、鏡に引き込まれるのを恐れて、鏡を見せないものとされてきました。西洋にも、死者が出ると鏡を覆う、病人は自分で鏡を見てはいけない、という言い伝えがあります。辞書には「鏡掛け」という言葉があり、意味の一つは、鏡の面にかぶせておく布です。

眠ると魂が離れる、という考え

眠っている間に魂が体を離れる、という考えそのものは、風水に限ったものではありません。百科事典によると、体に宿る魂が離れたり戻ったりするという考えをもつ民族は多く、病気や失神、夢は、魂が体から離れたものと解されてきました。日本でも、体を離れてさまよう魂を「かげ」と呼んだ例が、日本書紀や万葉集にあります。「かがみ」という言葉は「影見(かげみ)」から来た、という説もあります。

寝姿を鏡に映さない、という作法は、眠りを魂が離れる時間とみる古い考えと、鏡を魂や異界と結びつける言い伝えが、重なってできたものと考えられます。日本の家相にも、家が池に映る「池鏡」の土地を嫌う、という映り込みを避ける決まりがありますが、寝室の鏡についての記述は辞典に見当たりませんでした。誰がいつ「ベッドを映さない」を風水の決まりとして書き始めたのかは、確かめられませんでした。

鏡は、眠りを妨げるのか

鏡がベッドを映すと眠りの質が下がる、という説を調べた研究は、医学の論文の目録で探しても見つかりませんでした。題名や要旨に、鏡と寝室と睡眠の三つの語を含む論文は2本ありましたが、どちらも鏡の置き方とは関係のない内容で、風水と睡眠を扱った論文は見当たりませんでした。

一方で、寝室の光が眠りに関わることは、はっきり書かれています。厚生労働省の睡眠のガイド(2023年)は、寝ている間は弱い光でも途中で目が覚めている時間が増え、眠りの効率が下がるという報告があるとして、寝室の照明に気を配るよう勧めています。寝室にスマートフォンなどを持ち込まず、できるだけ暗くして寝ること、寝るときは照明を消すこと、電気をつけたまま寝る習慣を見直すことも挙げています。

同じガイドは、外の車の音や明かりが入る家では、防音や遮光のカーテンに替え、寝床をできるだけ窓から遠くに移すと眠りがよくなる可能性がある、としています。高齢の人は夜中にトイレに起きることが多いので、転ばないよう足元灯などを使いながら、目に入る光の量を減らす工夫が大切だとも書かれています。

鏡は、窓から入る街灯の光や廊下の明かり、足元灯の光を、思わぬ方向へ返します。夜、明かりを消してベッドに横になり、鏡に光る所が見えないかを確かめてみてください。見えたら、鏡の向きを少し変えるか、布をかけます。鏡の位置を決める理由として、これは言い伝えよりも確かな理由です。

十分に寝ているのに疲れが取れない、眠れない日が続く、というときは、鏡の位置より先に、医療機関で原因を調べてもらうことを睡眠のガイドは勧めています。睡眠の病気が疑われるときは、早めに受診してください。

地震で、鏡が倒れる・落ちる・割れる

もとの記事は、鏡の向きと方角を詳しく説明していましたが、地震のときの危険には触れていませんでした。東京消防庁によると、近年の大きな地震のけが人のうち、約3割から5割は、家具類が倒れたり、落ちたり、動いたりしたことによるけがでした。

東京消防庁の家具の転倒防止のハンドブック(2024年1月発行)は、寝る場所や座る場所にはなるべく家具を置かず、置くなら背の低いものにするか、倒れたときに寝ている所へ向かない置き方にするよう勧めています。たんすが倒れてもベッドに届かない向きに置いた絵が、よい例として載っています。出入口や避難の通り道に、倒れたり動いたりしやすい家具を置かないことも挙げています。

ハンドブックは、寝室を、なるべく物を置かない安全な場所にする例として挙げ、散らばった陶器やガラスでけがをしないよう、厚手の手袋と底の厚い履物を用意しておくよう勧めています。家具のガラス戸には、飛散防止のフィルムを両面に貼ると効果が高く、片面なら外側に貼る、としています。鏡にも、裏に飛散防止のフィルムを貼った製品があり、割れたときに破片を減らす点で同じ考えが当てはまります。

寝室の鏡の地震の備え

  • 立てかける姿見は、倒れる側にベッドがない所へ。倒れても寝る場所に届かない向きにする
  • 壁に掛ける鏡は、寝る場所の上を避ける。重さに合った金具を使い、壁の下地を確かめてから掛ける
  • 鏡の付いた家具は、ねじで固定するのがいちばん効く。東京消防庁は、ねじで留める金具が最も効果が高いとしている
  • 壁に穴を開けられない部屋では、器具を組み合わせる。家具の下のストッパー式(または粘着マット式)と、天井との間の突っ張り棒式を組み合わせると、ねじで留める金具と同じくらいの効果が期待できる
  • 鏡には飛散防止の加工を。割れても破片が飛び散りにくいものを選ぶ

鏡が日光を集めて火事になる「収れん火災」

鏡は光を反射するので、日の当たる所では、光を一点に集めて物を焦がしたり燃やしたりすることがあります。これを収れん火災と呼びます。消費者庁に2010年4月から2020年9月までに寄せられた収れん火災の情報20件のうち、原因で最も多かったのは鏡の6件で、そのうち3件が凹面鏡でした。月別では1月が6件、4月が5件、11月が4件で、日が低く部屋の奥まで差し込む冬と、日差しが強くなり始める春に多くなっています。

東京消防庁は2019年に、化粧用の鏡について注意を呼びかけました。拡大率の違う凹面鏡を組み合わせた鏡は、持ち運んでどこにでも置けるうえ、日光の焦点が何か所もでき、三面鏡では反射して思わぬ所に光が集まります。2019年1月の朝9時ごろ、都内の共同住宅で、帰宅した女性がソファが燃えているのに気づきました。近くの床に、2倍と3倍の凹面鏡が付いた小さな三面鏡が開いたまま置かれていて、実験で、差し込んだ日光が鏡で反射してソファの位置に焦点を結び、煙が出ることが確かめられました。ペットのために、カーテンを開けたままにする習慣があったそうです。けが人はいませんでした。

東京消防庁の管内の収れん火災は、2009〜2018年の10年間に61件あり、そのうち22件は、凹面鏡やステンレスのボウルのように、へこんだ面で光を集める物によるものでした。火元の詳しい欄には、凹面鏡がほぼ毎年並んでいます。

消費者庁は、窓際や日の差し込む範囲に鏡やガラス玉を置かない、外出するときはカーテンを閉める、と呼びかけ、カーテンのすき間から光が差し込むこともあるので、使わないときは鏡などに布をかぶせるよう勧めています。もとの記事は、就寝中だけでも布で鏡を隠すと気の流れが変わる、と書いていましたが、消費者庁が勧める布は、昼間、使っていない鏡を日光から守るためのものです。また、もとの記事は鏡の近くに花やクリスタルを飾ると鏡が美しいエネルギーを増幅する、と書いていましたが、窓辺では、ガラス玉や花瓶のような透明な物も、光を集める物として注意の対象に挙げられています。

方角や形の作法は、出どころが見つからない

もとの記事は、北の鏡は水の気で眠りや健康運によく、東は木の気で仕事運、南は火の気で強すぎ、西は眠りが乱れやすい、と方角ごとに説明していました。五行で北を水、東を木、南を火、西を金とする方位の割り当ては古典にありますが、鏡をどの方角に置くと何の運によいか、という説明の出どころは見つかりませんでした。丸い鏡は気をやわらかく流す、木の枠は自然のエネルギーをもつ、大きな鏡ほど反射が大きい、という説明も同じです。

ただ、確かな理由で言い直せる部分もあります。南向きの窓は、冬に日差しが部屋の奥まで届くので、窓辺の鏡の収れん火災に気をつけたい場所です。小さく軽い鏡は、倒れたり落ちたりしたときの危険が小さくなります。二枚の鏡を向かい合わせる合わせ鏡を避ける、という言い伝えも紹介されていましたが、その出どころは確かめられませんでした。

例として、紫月香帆さん監修の『神さまが教える風水の教科書』(ナツメ社、2014年)の販売ページです。恋愛運や金運など七つの運の神さまがキャラクターとして登場し、イラストやマンガで、掃除やインテリア、日常の行動、方位まで、風水の基本を教える本です。寝室の鏡について書かれているかは確かめていません。

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よくある質問

Q. 寝室の鏡は、どこに置くのがいいですか?

A. 倒れてもベッドに届かない位置と向きにし、寝る場所の上には掛けず、窓の近くや日の当たる所を避けます。夜、窓や廊下の明かりが鏡で目に入らない向きにすると、眠りの面でも安心です。

Q. ベッドが映る鏡には、布をかけたほうがいいですか?

A. 寝姿を映さないのは風水の言い伝えで、眠りに悪いことを確かめた研究は見つかりませんでした。気になるなら布をかけてかまいません。使わない鏡に布をかぶせることは、日光を集めて火事になるのを防ぐ点で、消費者庁も勧めています。

Q. クローゼットの扉の鏡は、問題ありませんか?

A. 扉に付いた鏡は倒れる心配が小さく、寝る場所から外れていれば、地震の面では置きやすい形です。扉を開けたまま窓の日差しを受けないかは、確かめておいてください。

Q. 賃貸で、鏡の付いた家具を固定するには?

A. 東京消防庁は、壁に穴を開けたくない場合、家具の下のストッパー式(または粘着マット式)と、天井との間の突っ張り棒式を組み合わせると、ねじで留める金具と同じくらいの効果が期待できるとしています。倒れる側にベッドがない向きに置くことも大切です。

Q. 窓のそばのドレッサーは危ないのですか?

A. 鏡は日光を集めて物を燃やすことがあり、消費者庁の集計では収れん火災の原因で鏡が最も多くなっていました。日の差し込む範囲に鏡や拡大鏡を出しっぱなしにせず、使わないときは布をかぶせ、外出時はカーテンを閉めてください。

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