瞑想やヨガのために天然ゴムのマットを探していると、「グラウンディングの効果がある」「大地のエネルギーとつながる」といった説明を見かけることがあります。
ここでは、天然ゴムがどこから来るのかを辞典で確かめ、ゴムと「大地とつながる」という話の関係を見ていきます。国が呼びかけているラテックスアレルギーの注意、ゴムの劣化、天然ゴムと森林の話、長く座るときの坐禅の工夫もまとめます。
天然ゴムはどこから来るか

天然ゴムの原料のパラゴムノキは、トウダイグサ科の高木で、アマゾン地域の原産です。名前は、アマゾン川の河口のパラ(今のベレン)の港から輸出されたことにちなみます。植えて6年以上たった木の幹に、内側の形成層を傷つけない程度に傷をつけ、幹の乳管から流れ出る乳液(ラテックス)を集めます。もとの記事は「樹液」と書いていましたが、乳液のほうが正確です。
1875年にイギリスのウィッカムが種子を持ち出し、翌年キュー植物園で育てた苗がセイロンに送られて、東南アジアが大産地になりました。主な生産国はタイ、インドネシア、マレーシア、インドです。乳液は約6割が水、約35%がゴムの成分で、タンパク質も約2%含みます。固めて乾かしたものが生ゴムで、1839年にアメリカのグッドイヤーが発明した加硫(硫黄でゴムの分子をつなぐ方法)によって、弾力のあるゴム製品になります。
ゴムは電気を通しにくい
もとの記事は、天然素材のマットにはグラウンディングの効果があり、合成素材のマットと違って地球のエネルギーを遮断しにくい、と書いていました。けれども辞典はそろって、電気をきわめて通しにくい「絶縁体」の例としてゴムを挙げています。
体を大地に電気的につなぐ「アーシング」を勧める研究者の総説(2012年)も、昔の人は地面に近い暮らしをしていたが、1960年代から絶縁性のゴムやプラスチックの靴底を履くようになって大地から切り離された、と書いています。つなぐ方法としては、素足で外を歩くか、屋外の大地につないだ導電性の敷物などを使う、としています。勧める側の説明に従っても、ゴムのマットは大地とつなぐものではなく、遮るものです。もとの記事が代わりに挙げていたコルクも、電気の絶縁性にすぐれた素材です。なお、アーシングの効果そのものも、十分に確かめられてはいません。
ラテックスアレルギーと、果物の注意
消費者庁・厚生労働省・経済産業省は2017年に、天然ゴム製品によるラテックスアレルギーへの注意を呼びかけています。天然ゴムに含まれるタンパク質が原因で、赤み、かゆみ、じんましんなどが出て、まれに呼吸困難や血圧の低下などのアナフィラキシーショックを起こします。仕事でゴム手袋をよく着ける人(医療、製造、清掃、介護など)、手術を何度も受けた人、アトピー性皮膚炎などで肌荒れが続く人は、なりやすいとされています。
天然ゴムの製品で皮膚に症状が出たことがある人は、天然ゴムの製品にふれるのを控え、アレルギーの専門の医療機関で確かめるよう勧められています。製品に天然ゴムが入っているかは表示を確かめ、表示がなければ販売店や事業者に聞いてください。ラテックスアレルギーの人の30〜50%には、栗、バナナ、アボカド、キウイフルーツなどを食べて起こる「ラテックス・フルーツ症候群」が出るとされます。
一方で、ゴム手袋のかぶれは、天然ゴムのタンパク質ではなく、合成ゴム(油に強いニトリルゴムなど)の手袋にも入っている「加硫促進剤」による、遅れて出るアレルギーのこともあります。手袋でかぶれたことがある人は、皮膚科やアレルギー科で原因を確かめておくと、マットを選ぶときの手がかりになります。
マットを使っていて、かゆみやじんましんが出たら、すぐに使うのをやめてください。息苦しさや、意識がぼんやりするといった症状があるときは、迷わず救急車を呼んでください。
光や熱で劣化する
辞典によると、ゴムは光や熱、酸素、オゾンの作用で酸化して老化し、時間とともに、べたつく、ひびが入る、硬くなるといった劣化が起こります。老化を防ぐために、ゴムの製品には酸化防止剤が使われています。もとの記事の「日光に当てると劣化する」は辞典の説明と合います。直射日光の当たる場所や、暖房器具の近くに置きっぱなしにしないようにしましょう。
自然由来は、環境にやさしいとは限らない
もとの記事は、天然ゴムのマットを環境にやさしい「エコ」な選び方として紹介していました。衛星のデータを使った2023年の研究では、東南アジアで1993年以降、ゴム園をつくるために400万ヘクタール以上の森林が失われたと推計されています(この推計の精度には、2025年に異論も出ています)。ヨーロッパ連合は、森林破壊を防ぐ規則の対象に、牛、木材、カカオ、大豆、パーム油、コーヒーと並べて天然ゴムとタイヤなどの製品を入れています。環境のことを考えるなら、自然由来という言葉だけでなく、産地や認証の表示を確かめるのが手がかりになります。
長く座るときの支え
もとの記事は、天然ゴムのクッション性で固い床でも快適に座り続けられ、より深いトランス状態に入りやすくなる、と書いていました。座る瞑想の伝統では、坐禅に坐蒲(ざふ)を使います。辞典によると、「蒲団」はもともと蒲(がま)の葉で編んだ円い敷物などのことで、坐禅に用いられてきました。曹洞宗の説明では、坐蒲がお尻の中心に来るように足を組み、両膝とお尻の3点で上体を支えます。長く座るときの楽さは、マットの厚さだけでなく、こうした座り方と敷物の組み合わせで変わります。
もとの記事の「瞑想には4〜6mmの厚さが合う」には、出典が見つかりませんでした。アメリカの救急外来の推計では、2001〜2014年にヨガに関係するけがでの受診は29,590件で、2014年の率は65歳以上で高くなっていました。研究者は、始める前に医師に相談し、資格のある指導者のもとで行うよう勧めています。滑りにくいマットを選んでも、無理な姿勢をとればけがは起こります。瞑想でも、まれに不安や気分の落ち込みが出ることがあるので、つらいときはやめて相談してください。
天然ゴムのマットを選ぶなら
- ゴム手袋などでかぶれたことがある人は、先に皮膚科やアレルギー科で原因を確かめる
- 天然ゴムが入っているか、素材の表示を確かめる(表示がなければ販売店に聞く)
- 持ち運ぶなら重さを、座る時間が長いなら坐蒲などと組み合わせるかを考える
- 日の当たる場所や暖房器具の近くに置かない
- 環境が気になるなら、産地や認証の表示を見る
よくある質問
Q. 天然ゴムのマットにグラウンディングの効果はありますか?
A. ゴムは電気を通しにくい絶縁体で、アーシングを勧める側も、ゴムの靴底は大地から切り離すと書いています。大地とつながる素材ではありません。
Q. ゴム手袋でかぶれたことがあります。使っても大丈夫ですか?
A. 天然ゴムのラテックスアレルギーのことも、加硫促進剤によるかぶれのこともあります。使う前に皮膚科やアレルギー科で確かめてください。
Q. バナナやキウイで口がかゆくなることがあります。
A. ラテックスアレルギーの人には、栗やバナナ、アボカド、キウイなどで症状が出るラテックス・フルーツ症候群があります。天然ゴムの製品を使う前に、医療機関に相談してください。
Q. 天然ゴムのマットは長持ちしますか?
A. ゴムは光や熱、酸素、オゾンで老化し、べたつきやひびが出ます。日の当たる場所や暖房の近くに置かないでください。
Q. 天然ゴムは環境にやさしい素材ですか?
A. 自然由来ですが、東南アジアではゴム園のために森林が失われたという推計があり、ヨーロッパ連合は天然ゴムを森林破壊を防ぐ規則の対象にしています。


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