好きな人と偶然会うのはなぜ|近くにいて会う回数が好意を育てる研究、出会いのきっかけの統計、運命を信じる考え方と関係

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恋愛スピリチュアル

好きな人と駅でばったり会う。帰り道でまた見かける。偶然が重なると、二人に何かつながりがあるのでは、と期待したくなります。

ここでは、好きな人と偶然会うことを、恋愛や友情の研究から考えます。近くにいて顔を合わせる回数が好意にどう関わるのか、日本の夫婦はどこで知り合っているのか、運命の相手を信じる考え方が関係にどう影響するのかをまとめ、偶然を装わないための注意も載せます。

「ばったり」という言葉

好きな人と偶然会うのはなぜ|近くにいて会う回数が好意を育てる研究、出会いのきっかけの統計、運命を信じる考え方と関係のイメージ

辞典では、「ばったり」は勢いよく倒れるさま、続いていたものが急に途絶えるさまのほか、思いがけなく出会うさまを表します。人と偶然出会う意味では、江戸時代の人情本『春色梅児誉美』(1832〜33年)に「思わずバッタリ行き当たり」という例があります。

引き寄せではなく、近さが好意を育てる

もとの記事は、好きな人とよく会うのは自分のエネルギーや思考が相手を引き寄せているから、相手と波長が合ってきたサインだ、と書いていました。研究で確かめられているのは、むしろ逆の向きです。近くにいて、顔を合わせる回数が多いこと自体が、好意や友情を育てるのです。

  • 学生用の住宅で、部屋をくじで割り当てられた住人は、隣の部屋の学生の41%を親しい相手に挙げたが、4部屋離れると10%だった(1950年の研究)
  • 警察学校の訓練生は、名字の順で席が近い人と友人になりやすく、その影響はほかのさまざまな特徴より強かった(1974年)
  • ドイツの大学の新入生54人の説明会で席をくじで決めると、1年後、隣だった人との友情が強かった(2008年)
  • ハンガリーの小中学校182学級・2,966人の席を無作為に決めた実験では、隣の席になると互いに友達と認め合う確率が15%から22%に上がった。実際に友達になる上がり方は、性別が同じなど似た者どうしで大きかった(2021年)
  • 大学の授業で、同じ席を14週続けたクラスでは隣の人への友情が高かったが、7週や3週半で席を替えたクラスでは差がなかった(1961年)
  • 話をせずに授業に出る回数を変えると、出席が多い人ほどほかの学生から好かれた

ただ繰り返し目にするだけで好感が増すことは「単純接触効果」と呼ばれ、1968年に心理学者ザイアンスが実験で示しました。知らない人の写真を見せる回数を0回から25回まで変えた実験でも、多く見た人ほど好意が高くなりました。辞典によると、すでによく知っている相手では起こりにくいとされます。初対面の2人が話す時間を変えた実験でも、多く話すほど互いに惹かれていました。相手が自分に応えてくれる感じ、会話の心地よさ、相手を知っている感じが、その理由でした。ただし、多くの研究をまとめると、繰り返し見るほど好意は上がるものの、やがて下がる山なりの形でした。

会う回数は、相手の気持ちのしるしではない

好きな人とよく会うのは、通学や通勤の道筋、使う店や時間帯が重なっているからで、多くは生活の場の近さのしるしです。相手の気持ちが自分に向いている証拠ではありません。近さはいつも好意を育てるわけでもなく、近くに住むほど、嫌い合う人どうしの敵意が強くなったという研究もあります。相手を知るほど好きになると思いがちですが、違う点が一つ見つかると、そのあとの情報も違いの証拠として読まれやすく、知るほど好意が下がる場合もありました。

日本の夫婦は、どこで知り合ったか

国立社会保障・人口問題研究所の2021年の調査で、2018年7月から2021年6月に結婚した夫婦が知り合ったきっかけは、次のとおりでした。

  • 友人・きょうだいを通じて 25.9%
  • 職場や仕事で 21.4%
  • 学校で 14.1%
  • インターネットで 13.6%
  • 見合い 9.0%
  • 街なかや旅先で 5.8%

偶然の出会いに近い「街なかや旅先で」は5%ほどで、多くの人は、学校や職場、友人の輪のように何度も顔を合わせる場で相手と出会っています。恋人がいる18〜34歳の独身の人でも、知り合ったきっかけで最も多かったのは「学校で」でした。インターネットは男性11.9%、女性17.9%、街なかや旅先は男性4.2%、女性3.5%です。夫婦の「職場や仕事で」は前回(2015年)の28.2%から減っていて、調査の期間が新型コロナの感染が広がった時期を含むことに注意が必要です。

「運命の人」と信じる考え方と関係

偶然の出会いが重なると、運命の相手だと感じたくなります。研究では、運命の相手を信じる人ほど、関係のストレスに向き合わずに避けやすいことが分かっています。「ぴったりの相手を見つけることが大事」と考える人は、相手が理想どおりかどうかで、関係の満足度や続き方が大きく左右されていました。

一方、「関係は二人で育てるもの」と考える人は、けんかをしても関係を続けたい気持ちが下がりにくい傾向がありました(交際中の128人の10日間の日記と、75組のカップルの実験)。恋愛を「ひとつになること」と見るか「二人で歩む旅」と見るかを意識させた2014年の実験では、けんかを思い出したときに満足度が下がったのは「ひとつになる」見方のときだけでした。偶然を運命のしるしと読むより、会ったときの会話を大切にするほうが、関係は育ちやすいのかもしれません。

偶然を装って会いに行かない

もとの記事は「偶然を装ったような出会い」という書き出しで始まっていました。会いたい気持ちから、相手の行く場所や時間をねらって待つのは、相手に不安を与えます。恋愛感情を満たす目的で待ち伏せや見張り、うろつきなどをくり返すと、ストーカー規制法の「つきまとい等」に当たることもあります。偶然会えたときに、あいさつや短い会話をして、相手の反応を見ながら少しずつ距離を縮めましょう。

気持ちを書くことについて

もとの記事は、恋愛の気持ちを書き出すと「波動が高まる」と書いていました。波動が高まるという根拠はありませんが、書くことの研究はあります。交際中の86組を調べた研究では、片方が関係について深い気持ちを3日間書くと、3か月後も交際が続いている割合が高くなりました。ただし、これは付き合っている二人の研究で、片思いの相手について書く研究ではありません。気持ちを書き出す方法全体の効果も、研究をまとめると大きくはありません。

恋愛と心理学の研究を手元で読みたいときは、越智啓太さんの『恋愛の科学 出会いと別れをめぐる心理学』(実務教育出版、2015年)などがあります。

よくある質問

Q. 好きな人と偶然会うのはスピリチュアルなサインですか?

A. そう確かめた研究はありません。会う回数が多いのは、多くは生活の場が近いからで、相手の気持ちのしるしではありません。

Q. 好きな人とよく会うと、好きになってもらえますか?

A. 近くにいて顔を合わせる回数が多いほど好意が育つという研究はたくさんあります。ただ、会いすぎると下がることや、近さが敵意を強めることもあります。

Q. 好きな人とばったり会ったら、どうすればいいですか?

A. あいさつや短い会話から始めて、相手の反応を見ながら少しずつ距離を縮めましょう。

Q. 偶然が重なるのは運命の人だからですか?

A. 運命の相手を信じる人ほど、関係のストレスを避けやすいという研究があります。関係は二人で育てるものと考えるほうが、けんかに強いようです。

Q. 会えるように、相手が来そうな場所で待っていてもいいですか?

A. 相手に不安を与えます。待ち伏せや見張りをくり返すと、ストーカー規制法の「つきまとい等」に当たることもあります。

Q. 日本の夫婦はどこで知り合っていますか?

A. 2021年の調査では、友人・きょうだいを通じてが25.9%で最も多く、街なかや旅先は5.8%でした。

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