守護霊とは|辞典の意味と世界の守る霊、浅野和三郎の「霊的祖先」説、生まれ年の守り本尊、氏神とのちがい、日本人の調査

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スピリチュアル基礎

なんとなく守られている気がする。ふとした瞬間に、そばにだれかがいるように感じる。そんなとき「守護霊」という言葉を思い浮かべる人もいるでしょう。スピリチュアルの解説では、守護霊はだれにでもついていて、先祖の霊や指導霊などの種類がある、と説明されます。

ここでは、守護霊を辞典で確かめ、人を守る霊が世界でどのように考えられてきたか、そして今の日本でよく聞く守護霊の説明がいつ、だれの本から来たのかを、戦前の原本でたどります。生まれ年で決まる仏「守り本尊」や、氏神・産土神との違い、日本人がどれくらい霊を信じているかの調査、不安が強いときの相談先もまとめます。

辞典の「守護霊」

守護霊とは|辞典の意味と世界の守る霊、浅野和三郎の「霊的祖先」説、生まれ年の守り本尊、氏神とのちがい、日本人の調査のイメージ

デジタル大辞泉は、守護霊を、心霊主義的な考えにもとづいて、人に付き添ってその人を見守っているとされる霊、と説明しています。補説には、心霊研究家の浅野和三郎(1874〜1937年)が英語の訳語として提唱した語で、背後霊や地縛霊も守護霊に伴って作られた語という、とあります。

一方、百科事典は、もっと広い意味でも説明しています。世界大百科事典によると、守護霊とは特定の人や物、場所を守る霊的な存在で、事典はその例を世界の各地から挙げています。今の日本語の守護霊と、人類学でいう広い意味の守護霊とを分けて考えると、話が見えやすくなります。

世界の「守る霊・守る神」

百科事典が挙げる例は、次のように多様です。

  • へその緒や胞衣(えな)
    生まれたときのへその緒や胞衣を、その人を生涯にわたって不幸や災害から守る守護霊とする例が、日本をはじめ世界各地にあります。
  • 夢や幻に現れる動物
    北アメリカのオマハの人々のあいだでは、思春期の幻覚や夢に現れた動物の霊がその人の守護霊とされ、ワシなら敏感で鋭く、熊なら鈍感で怠けがちな性格になる、といわれました。
  • 守護天使と守護聖人
    ユダヤ教の守護天使やキリスト教の守護聖人は、個人の守護霊であると同時に、土地や職業、自然を守る守護神ともされます。
  • 生まれ年と結びつく神仏
    干支と結びついた神仏を個人の守護霊とする例は、現代の日本にも見られる、と百科事典は書いています。後で紹介する守り本尊がその例です。
  • 家や土地の神
    日本の氏神・産土神・鎮守の神は、家や土地を守る守護神として挙げられています。
  • シャーマンの守護霊
    シャーマンは守護霊の助けと指示で役目を果たす人とされ、守護霊との関係は、守護霊に選ばれて心身の不調を経て結ぶ形、修行で得る形、家で受け継ぐ形に分けられます。日本の修験道では、不動明王が守護霊にあたる、とも説明されています。

西洋で「天才」を表す言葉も、守護神や守護霊を指すラテン語のゲニウスから来ていて、古くはこうした神や霊が人に才能を授けると考えられていた、と辞典は説明しています。

もとの記事は、守護霊を、時代や文化を超えて世界中に存在する普遍的な霊的観念だ、と書いていました。人を守る霊や神の考えが世界に広く見られることは、辞典の説明とも合います。けれども、その形はへその緒から動物の霊、聖人、生まれ年の仏、村の神までまったく違い、今の日本で言う「一人ひとりに霊的な祖先が付き添う」という形は、その中の一つにすぎません。また辞典は、動物の守護霊は個人を守るものである点で、社会集団のしるしであるトーテムとは区別される、と書いています。もとの記事が並べていた「トーテムアニマル」は、別の考えです。

今の「守護霊」の説明は、戦前の心霊研究から

「守護霊」という漢字の言葉そのものは、浅野より前の翻訳書にも見えます。国立国会図書館のデジタル化資料で確かめると、1892年の神学書の翻訳には、動物の名をつけて種族の守護霊として崇める、という説の紹介があり、1894年のキリスト教の教理書の翻訳には、人それぞれに特別の守護霊がある、という天使の話が出てきます。1906年のプラトンの翻訳では、ソクラテスにしてはならないことをそのつど告げる霊的なものを、守護霊とも言うべきもの、と注で説明しています。

大正時代には、新宗教の大本の中でこの言葉が使われていました。1921年の『大本信徒の主張』には、その人の守護霊が何かを知るには鎮魂の法が最も便利だ、という1919年の文章が載っています。書いたのは谷口正治、のちに生長の家を始める谷口雅春です。同じ本には、鎮魂を受けると、天狗や狐など憑いている守護霊が正体を名乗る、という記述もあります。後で見る浅野の「霊的な祖先」とは、ずいぶん違う使い方です。

浅野和三郎は、東京帝国大学の英文科を出て海軍機関学校で教えていた英文学者です。宗教学の論文によると、1915年に息子の病気をめぐって行者の予言が当たったことから神霊の世界に目覚め、その後大本に入りました。1921年の第一次大本事件で検挙されたのを機に大本を離れ、1923年に心霊科学研究会を作って、心霊現象の研究と紹介に取り組みました。日本に心霊主義を紹介したのは1920年ごろの浅野だ、と百科事典も書いています。

浅野の『心霊講座』(初版は1928年。国立国会図書館で読めるのは1929年の増訂2版)は、欧米の交霊の実験で霊媒の背後に控え、向こうでは「コントロール」と呼ばれている存在を「守護霊」と書いています。例として、霊媒のレオナード夫人の守護霊フィダなどを挙げ、守護霊のほかにたくさんの補助霊も控えているらしい、と述べています。

1935年の『照魔鏡』になると、説明がはっきりします。守護霊とはその人の霊的な祖先で、どんな人にも必ずついていて、勝手に取り換えることはできない。胎児が男子なら男子の祖先、女子なら女子の祖先が守護霊として育てにかかり、生まれた子は性質も顔も守護霊に似る。浅野は、守護霊を本店とすれば子どもはその支店のようなもので、守護霊は霊界の役所にあたる産土神の命令でこの役につくらしい、と書きました。次の頁では、この考えは心霊研究家マイヤーズの「類魂」の説と同じだ、とも述べています。

1937年の『小桜姫物語』は、浅野が、入神した女性の口から出た言葉を書き留めて整理した「霊界通信」です。語り手の小桜姫はその女性の守護霊だと名乗り、子どもの守護霊は肉親と同じ系統の霊で、男の子には男性、女の子には女性の守護霊がつく、と説明しています。

今よく見る「守護霊はだれにでもいる」「守護霊は先祖の霊」という説明は、こうした1930年代の浅野の本に、ほぼそのままの形で出てきます。国立国会図書館で書名に「守護霊」が入る本を探すと、1980年代から目立って増え、2010年代は一つの宗教団体の本が大半を占めていました(2026年10月の検索)。浅野が日本に心霊主義を紹介した流れは、魂レベルが高い人の記事でも触れています。

生まれ年で決まる「守り本尊」

仏教の側には、生まれた年によって守ってくれる仏が決まる、という考えがあります。精選版日本国語大辞典によると、守り本尊は身の守りとして信じる仏のことで、古くは生まれた年で決まっていて、子年の人は千手観音、丑・寅年の人は虚空蔵菩薩、という説も信じられていました。言葉の例は1682年の『好色一代男』に見えます。

江戸時代の仏像の図集『仏像図彙』には「一代守本尊」という頁があり、8体の仏が十二支に割り当てられて、縁日も添えられています(国立国会図書館が公開している明治33年の刊本で確認)。

  • 子年
    千手観音(縁日は17日)
  • 丑年・寅年
    虚空蔵菩薩(13日)
  • 卯年
    文殊菩薩(25日)
  • 辰年・巳年
    普賢菩薩(24日)
  • 午年
    勢至菩薩(23日)
  • 未年・申年
    大日如来(8日)
  • 酉年
    不動明王(28日)
  • 戌年・亥年
    阿弥陀如来(15日)

8体で12年を受け持つのは、それぞれの仏に易の八卦の印が添えられていることから、八つの方角に十二支を割り当てた形だと読み取れます。北東の丑寅、南東の辰巳、南西の未申、北西の戌亥が、それぞれ1体にまとめられています。

虚空蔵菩薩については、うなぎとの関わりから丑寅生まれの人の守り本尊とする俗信があり、その信仰は全国に見られ、とくに陸前地方で強い、と辞典は書いています。干支が2巡目になる13歳の子が、虚空蔵菩薩に知恵を授かりに参る「十三参り」もあり、京都の法輪寺のものは1773年に始まったといわれます。

守り本尊は、生まれ年によって決まる仏で、霊媒が名前を告げる霊や、先祖の霊とは成り立ちが違います。百科事典は、こうした干支と結びつく神仏を、広い意味での個人の守護霊の例として挙げています。

氏神と産土神は、土地と人を結ぶ神

神道の氏神は、もとは古代の氏族がまつった祖先の神や縁の深い神で、時代が下ると、村を守る産土神や鎮守の神と同じものとみなされるようになりました。民俗学者の柳田国男は、氏神を、一門の氏神、村の氏神、屋敷の氏神の三つに分けています。産土神は生まれた土地の守り神で、近世以降は氏神と混同されるようになった、と辞典は説明しています。近世の神道思想には、産土神が氏子を守り、亡くなった人の霊魂を裁きの場へ導く、という説もありました。

神社本庁は、氏神神社を、自分が住む地域の氏神をまつる神社とし、その周りに住む人を氏子と呼んでいます。これに対して、地縁や血縁とは別に、個人の信仰で崇める神社を崇敬神社といい、一人が両方を信仰してもかまわない、としています。

もとの記事は、日本では古くからお守りや氏神様に守られるという感覚が根づいていて、守護霊もそうした感性とつながっている、と書いていました。百科事典は、氏神も守り本尊も、広い意味の「守る神・守る霊」に数えています。ただ、氏神は地域や氏族の人々をまとめて守る神、守り本尊は生まれ年で決まる仏、今の守護霊は一人ひとりに霊的な祖先がつくという近代の説明と、だれを、どのように守るかが違います。浅野の本でも、産土神は守護霊に役目を命じる側として描かれていました。

先祖が見守るという考えと、調査の数字

もとの記事は、先祖の霊を、血のつながりで守る存在とし、お墓参りや仏壇へのお参りで絆が深まる、と書いていました。日本人の先祖についての考えを民俗学から調べたのが、柳田国男の『先祖の話』(1946年)です。出版社の紹介によると、人は亡くなると子孫の供養や祀りを受けて祖霊となり、山々から家の繁栄を見守って、盆や正月に子孫と行き来する、という日本人の霊魂観を描いた本です。

日本放送協会の放送文化研究所が2018年に行った宗教についての調査(全国の18歳以上2,400人、有効回答1,466人)では、「祖先の霊的な力」があると思うかという問いに、「絶対にある」が5.6%、「たぶんあると思う」が33.6%で、合わせると39.2%でした。2008年は8.4%と37.8%で、合わせて46.2%でした。どちらの答えも、2018年のほうが統計的に少なくなっています。

同じ調査で「死後の世界」があると答えたのは、2018年に「絶対にある」5.3%、「たぶんあると思う」32.1%でした。統計数理研究所の調査で「あの世」を信じる人が1958年の20%から2013年の40%に増えたことは、魂とは何かを確かめた記事で紹介しています。

学生については、國學院大學日本文化研究所などが続けている学生宗教意識調査があります。2020年度の第13回(有効回答1,644人)では、霊魂の存在を「信じる」が26.0%、「ありうると思う」が45.3%、「あまり信じない」が24.1%、「否定する」が4.6%でした。同じ形の問いで、神を信じるは20.2%、仏は17.2%です。ただし報告書自身が、回答者は宗教学に関わる講義の受講者に偏っていて、適切な抽出を経ていない、と書いています。学生全体の割合ではありません。

「そばにいる気がする」感覚の研究

もとの記事は、ふとした瞬間にだれかの存在を感じることがある、と書き出していました。見えないのにだれかがすぐ近くにいるように感じる感覚は、研究の対象にもなっています。

スイスの研究者らが2014年に発表した研究では、この感覚を訴える脳の病気の患者を調べて、関わる脳の場所を絞り込みました。そのうえで、体の感覚と動きのあいだにずれを作るロボット装置を使い、健康な人にも同じ感覚を起こしています。研究者らは、自分の体から来る信号の出どころを取り違えることで起きる錯覚だ、と結論しています。この研究には東京大学の研究者も加わっています。

大切な人を亡くしたあとに、その人の気配を感じることもあります。配偶者を亡くした293人の約半数が相手の姿や気配を感じていたという1971年の研究は、白い羽根の記事で紹介しています。気配を感じたことは、守護霊がいる証拠にはなりませんが、珍しいことでもおかしなことでもありません。

もとの記事の「4つの種類」を確かめる

もとの記事は、守護霊を、主護霊・先祖霊・指導霊・動物霊(自然霊)の4つに分けていましたが、この分け方の出どころは見つかりませんでした。確かめられたのは、次のようなことです。

  • 浅野は、1929年の本では守護霊と補助霊、1935年の本では守護霊と支配霊(守護霊を助ける他界の住人)という組み合わせで書いていた
  • 「指導霊」は、1924年の心霊研究の本に、霊媒レオナード夫人の背後の霊を指す言葉として出てくる
  • 「主護霊」は、戦前の本の全文検索では見つからず、1949年の心霊雑誌の目次に記事の題として見えるのが、確かめられた早い例
  • 1937年の霊界通信には、人類が地上に生まれたころは自然霊が守護霊の役を引き受けていた、という語りがある

どれも、霊媒の語りや心霊研究家の説として書かれたもので、確かめる方法はありません。もとの記事のよくある質問にあった、指導霊は人生の方向性を、先祖霊は日常の安全を守る、という分担も、出典が見つかりませんでした。守護霊は生まれる前から決まっている、という説明も同じです。浅野は胎児のときから祖先の霊が育てにかかると書き、霊界通信は幼い子の世話役として説明していて、語り手によって少しずつ違います。

守護霊の話で不安になったとき

守護霊が弱っている、先祖が苦しんでいる、などと言われて不安になり、高額な祈祷やお祓い、品物を勧められたときは、その場で決めないでください。霊感などを持ち出した勧誘で結んだ契約は、2023年に改正された消費者契約法で取り消せる場合があります。消費者ホットライン188や、法テラスの霊感商法等対応ダイヤル(0120-005931)に相談できます。

霊の気配が気になって眠れない、だれかに見張られている気がする、だれもいないのに声が聞こえる、といった状態が続くときは、一人で抱えずに心療内科や精神科に相談してください。電話なら、こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556、受付時間は都道府県ごとに違います)があります。

守護霊を信じるかどうかは、人それぞれです。見守られていると感じることが支えになる人もいるでしょう。ただ、だれにでも霊的な祖先が一人ずつ付き添う、という今よく聞く守護霊の説明は、世界に共通する古い形ではなく、1930年代の日本の心霊研究家の本にはっきり形が見えるものです。そう知っておくと、守護霊を理由に言われたことに振り回されずに済みます。

先祖の霊が子孫を見守るという日本人の考えを、民俗の言い伝えからたどった本に、柳田国男の『先祖の話』(角川ソフィア文庫、2013年)があります。目次には「村の氏神」「生まれ替わり」「魂を招く日」などの章が並んでいます。

よくある質問

Q. 守護霊とは何ですか?

A. 辞典では、心霊主義的な考えにもとづいて、人に付き添って見守っているとされる霊のことです。補説には、心霊研究家の浅野和三郎が英語の訳語として提唱した語、とあります。

Q. 守護霊は、だれにでもいるのですか?

A. どんな人にも必ずついている、という説明は、浅野の1935年の本に出てきます。霊媒の語りや心霊研究家の説として書かれたもので、確かめる方法はありません。

Q. 守護霊は先祖の霊なのですか?

A. 浅野は守護霊を、その人の霊的な祖先と説明しました。一方、百科事典が挙げる世界の守る霊には、動物の霊や聖人、生まれ年の仏、村の神もあり、先祖とは限りません。

Q. 守り本尊と守護霊は同じですか?

A. 守り本尊は生まれ年で決まる仏で、子年は千手観音、丑・寅年は虚空蔵菩薩などと決まっています。百科事典は広い意味の守護霊の例に数えますが、霊媒が名前を告げる霊とは成り立ちが違います。

Q. 氏神と守護霊は、どう違いますか?

A. 氏神は、住んでいる地域や氏族の人々を守る神で、その周りに住む人が氏子です。一人ずつにつく霊として説明されるものではありません。

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