ナグチャンパとは|1960年代に生まれたインドのお香、チャンパの花の正体、煙と火事の注意

※本記事にはアフィリエイト広告が含まれています。

アロマ・お香

甘く、少し粉っぽい独特の香り。ナグチャンパは、瞑想やヨガのときに焚くお香として世界中で知られています。古くからインドの寺院で使われてきた香り、空間を浄化する香り、と紹介されることもよくあります。

ここでは、ナグチャンパがいつ、どこで生まれた香りなのかを、メーカーの説明や辞典、インド政府の資料で確かめます。「チャンパ」の花の正体、日本の線香との違い、効果の研究、煙と火事の注意もまとめます。

ナグチャンパとは

ナグチャンパとは|1960年代に生まれたインドのお香、チャンパの花の正体、煙と火事の注意のイメージ

代表的なナグチャンパは、インド南部のベンガルールにあるシュリニバス・スガンダラヤ社のお香です。メーカーによると、創業者のK.N.サティヤム・セッティが1964年に小さなお香の製造所を始めました。「サティヤ・ナグチャンパ」という名前は1960年代のはじめにつけられ、1960年代後半から70年代に広く知られるようになりました。

名前の「サティヤ」は創業者の名前、「ナグ」は創業者の父ナガイアの名前、「チャンパ」は香りの中心となる花の香りから来ている、と公式サイトは説明しています。材料を練り込んだものを手で巻いて作る「マサラ香」で、メーカーは世界で最も多く輸出されているお香だと紹介しています。

もとの記事は「古来よりインドの寺院や儀式の場で使われてきた」と書いていましたが、インドで香を焚く習慣が古いのは確かでも、ナグチャンパという香りは1960年代に生まれたものです。

「チャンパ」の花はプルメリアではない

もとの記事は、チャンパの花を「プルメリアの一種」と説明していました。けれども、インドでチャンパと呼ばれる香りの花「チャンパカ」は、モクレン科の木で、和名をキンコウボクといいます。プルメリアはキョウチクトウ科の木で、原産は中南米です。まったく別の植物です。

シンガポール国立公園局や米国国立熱帯植物園によると、チャンパカの花は淡い黄色から橙色で、強い香りがあり、精油は香水に使われます。ヒンドゥー教や仏教では神聖な木とされ、花は供え物に使われ、寺院の境内にも植えられてきました。ただし、ナグチャンパのメーカーは、どの植物の香りを使っているのかも、原料の配合も公表していません。

インドのお香の作り方

インドの棒状のお香は「アガルバッティ」と呼ばれます。インド政府の資料によると、木の粉や木炭、つなぎの樹皮の粉などを水で練り、竹ひごに付けて板の上で手で転がして形を整えます。乾かしたものを、薄めた香料に浸して香りをつける製品も多くあります。

  • 練り物の配合例は、木くず40%、つなぎの樹皮の粉20%、木炭20%、香料や精油20%
  • 約75%は安価な品で、安い香料で香りをつける。上質な品でも、精油や樹脂に合成香料を合わせる
  • 主な産地は南部のカルナータカ州(マイソール、ベンガルール)
  • インドのお香の消費量は1日に約1,490トン(2020年のインド政府の発表)

お香に使う樹脂(ハルマディ)を採りすぎて多くの木が枯れ、森林局が採取を禁じた地域があったことも、国連食糧農業機関の資料に記録されています。もとの記事にあった「合成香料を極力使わない」という説明は、確かめられませんでした。

日本のお香との違い

日本で香木が記録に初めて出てくるのは、595年に淡路島へ香木(沈水)が流れ着いたという『日本書紀』の記事です。642年には蘇我蝦夷が法会で焼香したという記録があり、平安時代の貴族は香を練り合わせた薫物(たきもの)を楽しみました。焼香は、もとはインドの風習から来たと辞典は説明しています。

今の形の線香は、16〜17世紀ごろに中国から伝わったとされます。白檀や沈香などの粉をつなぎと練り合わせ、細い線の形に押し出して作るので、芯がありません。竹ひごの芯に練り物をつけて巻くインドのお香とは、ここが大きな違いです。燃え残る竹ひごは、インドのお香ならではのものです。

室町時代に生まれた香道では、香木を直接燃やさず、銀葉という薄い板の上で温めて香りを聞きます。煙を立てて焚くお香とは、焚き方そのものが違います。

効果は確かめられているか

「ナグチャンパ お香 効果」で検索する人がいましたが、論文のデータベースで調べても、ナグチャンパのお香の効果を人で調べた研究は見つかりませんでした。お香でリラックスできるかを確かめた研究も見当たらず、見つかったのは煙の害を調べた研究でした。

白檀の精油を嗅いだ人の実験では、脈拍や血圧が上がる「目が覚める」方向の反応が出ていて、白檀の香りでリラックスする、とは言い切れません。効果の差は、主にその香りを好きか嫌いかによっていました。もとの記事が使っていた「アンカリング」という言葉は、辞典では、先に示された情報が後の判断に影響すること、という意味で、香りで気持ちを切り替えるという意味ではありません。

お香の煙と健康

2008年に発表された研究のまとめによると、お香は燃やした1グラムあたり45ミリグラムを超える粒子を出し、たばこ(1グラムあたり10ミリグラム)より多いとされます。煙には一酸化炭素や、ホルムアルデヒドなどの化学物質も含まれます。研究者は、お香を焚くときは部屋をよく換気するよう勧めています。

  • 九州大学(2021年): マウスに線香の煙を吸わせると、気道が縮みやすくなった。研究者は、ぜんそくのある人は本数を減らし、換気して煙をできるだけ吸わないようにした方がよいかもしれない、としている
  • 台湾の中学生3,764人の調査(2011年): 家で香を焚く頻度が高いほど、ぜんそくの症状が多かった
  • シンガポールの約6万人の調査(2008年): 長年香を使ってきた人は、気道の一部のがんのリスクが1.8倍だった。毎日のように長く焚いた人の観察研究
  • 環境省: 微小粒子状物質(PM2.5)は家庭内でも発生し、小さな子どもや高齢者、呼吸器の病気がある人は影響を受けやすい可能性がある

空間を浄化する、と紹介されることがありますが、煙は部屋の中の粒子を増やすので、空気の面では逆の方向です。飼っている鳥は、煙や空気中の粒子による呼吸器の障害をとても受けやすいとされています。ペット、とくに鳥のいる部屋では焚かないようにしてください。

火事に気をつける

東京消防庁の統計では、2019年の住宅火災1,543件のうち、香りを楽しむための線香が火元だったものが4件、仏壇の線香が4件ありました。岡崎市消防本部は、線香の小さな火種が燃えやすいものに落ちると、長い時間くすぶってから燃え出すことがある、と注意しています。

  • 燃えない受け皿を使い、燃えやすいものから離して焚く
  • 火をつけたらその場を離れない。離れるときや寝る前は必ず消す
  • ペットや小さな子が近づかない場所で焚く
  • 燃え残った竹ひごも、熱が冷めてから捨てる

ナグチャンパとのつきあい方

ナグチャンパは、1960年代のインドで生まれ、世界に広まった香りです。好きな香りを焚いて、気持ちを切り替える時間をつくるのは、楽しみ方として自然なことです。ただ、効果を確かめた研究はなく、煙には体に負担になる面もあります。窓を開けて換気し、短い時間にとどめ、火の始末に気をつけて楽しんでください。

よくある質問

Q. ナグチャンパにはどんな効果がありますか?

A. 人で効果を調べた研究は見つかりませんでした。香りを好きかどうかで感じ方は変わります。煙には体に負担になる面もあるので、換気して使ってください。

Q. ナグチャンパはいつからあるお香ですか?

A. メーカーによると、名前は1960年代のはじめにつけられ、1960年代後半から70年代に広まりました。メーカーの創業は1964年です。

Q. チャンパとはどんな花ですか?

A. インドでチャンパと呼ばれる香りの花はチャンパカで、モクレン科のキンコウボクです。プルメリアとは別の植物です。メーカーは使っている植物を公表していません。

Q. 日本の線香とは何が違いますか?

A. インドのお香は竹ひごの芯に練り物をつけて作り、日本の線香は練った香を押し出して作るので芯がありません。

Q. お香の煙は体に悪くないですか?

A. お香の煙には微小な粒子や化学物質が含まれ、ぜんそくとの関係を示す研究もあります。換気をして、ぜんそくのある人や小さな子、鳥の近くでは焚かないようにしてください。

Q. お香で空間は浄化されますか?

A. 宗教の場で香が清めのために焚かれてきた歴史はありますが、空気の面では煙で粒子が増えるので逆の方向です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました