洗面所の風水|水回りの作法の出どころ、冬の脱衣所の寒さ、カビと洗剤・コンセントの注意

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風水・暮らし

洗面所の風水を調べると、洗面台の水滴を毎日拭く、鏡を磨く、排水口に髪の毛をためない、くたびれたタオルを替える、湿気がこもらないよう換気する、といった作法が並びます。そこに、北の洗面所には温かみのある色、西には金色、といった方角ごとの色や、水は金運とつながる、という説明が添えられています。

ここでは、こうした作法がどこから来たのかを、古い住宅の書物と辞典で確かめます。そのうえで、洗面所が脱衣所であり、掃除の場所であり、電気を使う水回りでもあることから来る確かな注意を、消費者庁や東京消防庁、厚生労働省の統計、製品の事故を調べる国の機関、日本中毒情報センターの資料でまとめます。冬の寒さ、カビ、洗剤、コンセントとドライヤー、鏡の順に見ていきます。

洗面所の作法の多くは、掃除と換気の話

洗面所の風水|水回りの作法の出どころ、冬の脱衣所の寒さ、カビと洗剤・コンセントの注意のイメージ

もとの記事が挙げていた作法を、風水の説明と、確かめられる理由とに分けてみると、次のようになります。

  • 洗面台の水滴を拭く、排水口をきれいにする
    風水では、水あかは気の停滞、排水口は悪い気が出入りする所と説明されます。この説明の出どころは見つかりませんでしたが、水気と汚れが残るとカビが増えやすい、という確かな理由があります。室内のカビは、浴室や窓枠のような湿った所に生えやすいとされています。
  • 鏡を磨く
    くもった鏡は運気もくもらせる、とされます。暮らしのうえでは、映りがよくなるのが何よりの理由です。窓のある洗面所の拡大鏡には、別の注意があります(最後の節で触れます)。
  • くたびれたタオルを替える
    古いタオルは古い気を持ち込む、という説明に出どころは見つかりませんでした。湿気とカビの面からは、使ったタオルを湿ったまま置かず、よく乾かすことのほうが大切です。
  • 換気をする
    湿った空気は悪い気を呼ぶ、とされます。湿気とカビを減らす点で理にかなっていますが、冬は、入浴前の脱衣所を冷やさないことが先です。換気は入浴のあとに回します。
  • 方角ごとの色を選ぶ
    北に温かみのある色、西や北西に金色などの組み合わせは、古典の五行の色の配当と合いません。次の節で確かめます。

つまり、洗面所の風水の作法の多くは、清潔にする、湿気をためない、という暮らしの知恵と同じ方向を向いています。違いが出るのは、方角の色と、冬の換気のしかたです。

古い書物の「水回り」は、井戸と便所と排水の溝

もとの記事は、風水を「古代中国から伝わる環境学のひとつ」と書いていました。辞典での説明は、占いの技術である術数の一派、陰陽家の術、あるいは中国の伝統的な自然観・環境観で、学問としての環境学とはされていません。

住宅の吉凶を見る中国の古い書物に『宅経』があります。古い本には『黄帝宅経』と題されていますが、清の時代の古典の目録の解説は、黄帝の名を借りたもので、歴史書『宋史』の書目にある『相宅経』一巻がこれではないか、としています。この書物は家を人の体にたとえ、地形を体、泉の水を血脈、土地を皮膚と肉、草木を毛髪、建物を衣服、門を冠と帯としています。

家の良しあしを「五つの虚」と「五つの実」で見る一節では、家の排水の溝が東南へ流れることが五つの実の一つに、井戸とかまどが置くべき所にないことが五つの虚の一つに数えられています。下巻には、二十四の方位ごとに、門や井戸、便所を置くのが吉か凶かが書かれ、たとえば巳(南南東)の方位には井戸を置かない、とあります。

日本の家相でも、水回りの話は台所や便所、井戸の置き場所でした。百科事典によると、北東の隅は鬼門として、台所や便所、出入口、窓を作るのを忌み、便所や土蔵、井戸、門口の配置にも方位の決まりがありました。こうした方位の家相の考えが一般の人々に広まったのは、近世(おもに江戸時代)以後のことです。戦後の1947〜50年の調査では、家相の吉凶を信じる人が46.5%、とくに鬼門除けをした人は66%に及んだ、と辞典は書いています。

古い書物が扱っていたのは、井戸や便所、排水の溝といった水回りの置き場所で、顔を洗って身支度をする洗面所という部屋は出てきません。いまの「洗面所の風水」は、こうした水回りの決まりを、新しい間取りに当てはめて作られたものと考えられます。江戸時代の随筆『闇の曙』(1789年)には、家相は難しいものではなく、住まいの使い勝手がよく、気が抜けすぎず、暗く陰気になりすぎないように造れば足りる、という趣旨の一文があり、辞典が用例に引いています。暗くしすぎない、という点は、明るさを大切にする洗面所の作法と通じています。

「水は財」と、方角の色

もとの記事は、風水では水は財(お金)のエネルギーと結びつく、と書いていました。山は人を、水は財をつかさどる、という言い回しは現代の風水の本や記事でよく使われていますが、どの古典の文なのかを示したものは見つかりませんでした。古典の『宅経』が水について書いているのは、先に見た血脈のたとえと、井戸や溝の置き場所です。

方角の色も、古典の五行の色の配当とは合いません。配当では、東は青、南は赤、中央は黄、西は白、北は黒です。もとの記事は、北の洗面所では青や白などの寒色を控えてベージュやピンクを、西や北西には金色を、東には白を勧めていましたが、北の色は黒、黄は中央の色、白は西の色です。方角と色の決まりの出どころは、リビングのカーテンの風水の記事にまとめています。洗面所の色は、掃除のしやすさや汚れの見えやすさで選んでかまわないでしょう。

冬の洗面所は、寒さがいちばんの心配

洗面所が脱衣所を兼ねている家では、冬の入浴の前後に気をつけることがあります。もとの記事は、洗面所を健康運の場所と書きながら、入浴中の事故には触れず、湿気対策として、換気扇をこまめに回すか少し窓を開けるよう勧めていました。

消費者庁が2025年12月にまとめた資料によると、厚生労働省の人口動態統計で、令和6年(2024年)に浴槽の中で溺れたり浴槽に落ちて溺れたりして亡くなった人は7,776人でした。そのうち65歳以上が7,363人と約95%を占め、80歳以上だけで4,717人です。同じ年に交通事故で亡くなった65歳以上は2,103人で、浴槽での死者はその3倍以上になります。

東京消防庁の管内では、令和5年に65歳以上の460人が溺れる事故で救急搬送され、月別では12月が85人、1月が78人と多く、8月は5人でした。消費者庁は、冬に多い原因として、暖かい部屋と寒い脱衣所や浴室との温度差による急な血圧の変動と、熱い湯に長くつかって体温が上がり、意識がもうろうとすることを挙げています。持病や前兆がなくても起こるおそれがある、とも書いています。

溺死と記録されない病死なども含めると、入浴中の急死はもっと多いと考えられています。厚生労働省の研究班が平成24〜25年度に、3都県の救急の記録から人口の比で推計した数は、全国で年間約1万9千人でした。

もとの記事の、少し窓を開けて換気する、という勧めは、季節を分けて考える必要があります。消費者庁は、入浴前に脱衣所や浴室を暖めておくよう呼びかけています。居間や脱衣所が18度未満の住宅では、42度以上の熱めの湯に入る人が増える、という国土交通省の事業の調査も紹介しています。冬の湿気を逃がす換気は、入浴が終わったあとや、日中の暖かい時間に回すとよいでしょう。

冬の入浴の前後に、洗面所でできること

  • 入浴前に脱衣所を暖める。温度計を置き、居間との温度差を目で見えるようにする
  • 浴室に暖房がなければ、湯気で暖める。シャワーで湯を張る、沸いた湯をよくかき混ぜて蒸気を立て、蓋を外しておく
  • 湯は41度以下、つかるのは10分まで。温度計やタイマーで確かめる。42度で10分つかると、体温は38度近くまで上がる
  • 入る前に水分をとる。食後すぐ、お酒のあと、精神安定剤や睡眠薬を飲んだあとの入浴は避ける
  • 家族に一声かけてから入る。長すぎる、音がしない、急に大きな音がした、と気づいたら、ためらわずに声をかける
  • 浴槽から急に立ち上がらない。手すりや浴槽のへりを使って、ゆっくり立つ。意識がもうろうとしたら、気を失う前に湯を抜く

浴槽でぐったりしている人を見つけたら、浴槽の栓を抜き、大声で人を呼び、すぐに119番で救急車を呼んでください。浴槽から出せなければ、蓋に上半身を乗せるなどして沈まないようにします。出せたら、肩をたたきながら声をかけて反応と呼吸を確かめ、呼吸がなければ胸骨圧迫を始めます。

湿気とカビ、それに濡れた床

ぜん息の発作を防ぐために東京都が作った冊子によると、室内のカビは温度20〜35度、湿度70%以上で増えやすく、生えやすい場所として、家具の裏や押入れ、エアコンのフィルター、畳と並んで、浴室と窓枠が挙げられています。風通しが悪く結露しやすい所を好み、ダニのえさにもなります。

冊子は、換気や除湿で室内の湿度が60%を超えないようにし、除湿のための換気は、空気の出入口を2か所以上作って行うよう勧めています。洗面所なら、入浴のあとに浴室の換気扇を回し、洗面所の戸を少し開けておく、といった形が考えられます。

カビを繰り返し吸い込むと、肺にアレルギー性の炎症が起きることがあります。日本呼吸器学会は、過敏性肺炎の原因として多いのがカビで、なかでもトリコスポロンというカビが原因のことが多い、と説明しています。乾いたせきや息切れ、発熱が出て、家を離れるとよくなり、戻ると悪くなるのが特徴です。

せきや息切れ、熱が続き、家にいると悪くなり、離れるとよくなる、という場合は、呼吸器の病気を診る医療機関を受診してください。原因から離れないまま長く続くと慢性になり、完全には治りにくくなることがあります。

床が濡れていると、転ぶ心配も出てきます。東京消防庁の管内では、掃除中の事故で、令和2〜6年の5年間に4,000人以上、令和6年には約900人が救急搬送され、転ぶ事故が4割以上と最も多く、大掃除の多い12月に増えていました。消費者庁は、足もとが濡れていたら先に拭き取るよう呼びかけています。洗面台の水滴を拭くついでに、床に落ちた水も拭いておくと、転倒を防ぐことにもつながります。

カビ取り剤と酸性の洗浄剤は、混ぜない

洗面所や浴室の掃除には、塩素系のカビ取り剤や、酸性タイプの洗浄剤を使うことがあります。この二つが混ざると、有害な塩素ガスが出ます。家庭用品品質表示法の決まりでは、決められた試験で100万分の1以上の濃さの塩素ガスが出る商品に「まぜるな危険」の表示が義務づけられていて、「まぜるな」は黄色に黒の縁取り、「危険」は赤の大きな文字で書かれます。

品名には「カビ取り用洗浄剤」「トイレ用洗浄剤」のように、用途を表す言葉と「洗浄剤」の語が入ります。液性は、酸性、弱酸性、中性、弱アルカリ性、アルカリ性のいずれかで表示され、次亜塩素酸塩を含むものにはその名前も書かれています。使う前に、品名と液性、「まぜるな危険」の表示を見ておきましょう。

日本中毒情報センターには、塩素系のカビ取り剤を使っていての事故の相談が寄せられています。窓を少し開けただけの浴室でマスクをせずに1本を5分ほどで使い、鼻に刺激を感じて気分が悪くなった例、天井に向けてスプレーして眼に入った例、浴室の床に酸性のトイレ用洗浄剤をまき、壁に塩素系のカビ取り剤をスプレーした例があります。別々にまいても、同じ場所で混ざることがあるのです。同センターは、防ぎ方として次のことを挙げています。

  • 使う前に、製品の表示、とくに使い方と使用上の注意をよく読む
  • 使いすぎない。いつも使っているから大丈夫、と過信しない
  • 換気に十分に気をつけ、マスクと眼鏡を着ける
  • 必ず単独で使い、ほかの洗浄剤と混ぜない

塩素系の漂白剤では、漂白中のコップや水筒の液を誤って飲んだという相談も多く、2025年は過去5年で最も多い600件超でした。同センターは、漂白中の物はシンクの中に置き、「漂白中」のメモを置くなどして家族に知らせるよう呼びかけています。洗面所で歯みがきのコップを漂白するときも同じです。

洗剤を吸い込んだり飲んだりしてしまったときは、日本中毒情報センターの中毒110番(一般の人向け、365日24時間、情報提供料は無料)に相談できます。大阪中毒110番は072-727-2499、つくば中毒110番は029-852-9999です。息苦しさが強いなど急ぐときは、119番に連絡してください。

コンセントとドライヤー

製品の事故を調べる国の機関である製品評価技術基盤機構は、コンセントに水や洗剤がかかったときは使うのをやめるよう呼びかけています。水でショートしたり、洗剤の成分でコードの覆いが傷んで異常に熱を持ったりするおそれがあり、台所や洗面所など水まわりで使うときは特に注意が必要だ、としています。差し込み口にシャッターの付いたコンセントやテーブルタップ、ほこりや液体が入りにくくするカバーも売られています。

差しっぱなしの電源プラグにも注意がいります。プラグとコンセントのすき間にほこりや湿気がたまると、刃の間に小さな火花が繰り返し飛んで、樹脂が少しずつ炭になり、発火することがあります。これをトラッキング現象と呼びます。プラグはすき間ができないようしっかり差し込み、たまったほこりは定期的に取り除きます。差し込みが緩い、プラグやコンセントが変形・変色している、というときは、使うのをやめて販売店やメーカーに相談します。同機構の集計では、電源プラグやコード、配線器具による事故は平成21〜25年度の5年間に1,003件あり、亡くなった事故が14件、火災と判断されたものが190件でした。

ドライヤーでは、コードを本体に巻きつけて片付けるのを繰り返したために、付け根でコードの中の線が切れ、使っている最中に火が出た例や、コードがねじれたまま使って火花が出て、胸にやけどをした例が報告されています。使わないときは、コードを丸く円を描くようにゆるく束ねます。スイッチを入れても電源が入らない、使っている間に温度や風の強さが不規則になる、といった不具合が出たら、使うのをやめてください。

洗面所の鏡は、割れと窓辺に気をつける

もとの記事は、よくある質問で、割れた鏡は運気を乱すので早めに交換を、と答えていました。風水の説明はさておき、割れたりひびが入ったりした鏡は、まずけがのもとです。早めに取り替え、次は割れても破片が飛び散りにくい加工のものを選ぶと安心です。玄関の鏡の記事でも、重さと取り付けの注意をまとめています。

窓のある洗面所では、ひげそりや化粧に使う拡大鏡の置き場所にも気をつけます。顔を大きく映す拡大鏡は凹面鏡で、日光を一点に集めます。消費者庁に寄せられた収れん火災の情報20件のうち、原因は鏡が6件で最も多く、東京消防庁は、拡大率の違う凹面鏡を組み合わせた化粧用の鏡を床に置いたままにしていて、ソファが燃えた火災を公表しています。窓辺や日の当たる棚に拡大鏡を出しっぱなしにせず、使ったらしまうか、布をかぶせておきましょう。

風水の考え方を、掃除やインテリアから一通り知りたいときは、紫月香帆さん監修の『神さまが教える風水の教科書』(ナツメ社、2014年)があります。恋愛運や金運など七つの運の神さまがキャラクターとして登場し、イラストやマンガで、掃除からインテリア、日常の行動、方位までを教える本で、最初の章は家の掃除です。

よくある質問

Q. 洗面所の風水で、まず何をすればいいですか?

A. 作法の多くは、水滴や汚れを拭く、排水口の髪の毛を取る、換気をする、といった掃除と換気です。湿気とカビを減らす点で、暮らしのうえでも理にかなっています。冬は換気より先に、入浴前に脱衣所を暖めることを考えてください。

Q. 北の洗面所に青や白を使うのは、風水でよくないのですか?

A. 古典の五行の配当では北の色は黒で、寒色を控えるという決まりは配当からは出てきません。北の洗面所が寒く暗いなら、実用の面から、暖房や明るい照明を考えるほうが確かです。

Q. 風水で水は金運とつながる、というのは古い教えですか?

A. 山は人を、水は財をつかさどる、という言い回しは現代の風水の本でよく使われますが、古典の出典は見つかりませんでした。古い住宅の書物『宅経』は、泉の水を家の血脈にたとえ、井戸や排水の溝の置き場所を説いています。

Q. 冬の洗面所の換気は、どうすればいいですか?

A. 入浴前は脱衣所と浴室を暖めておき、湿気を逃がす換気は、入浴が終わったあとや日中に回します。湿度は60%を超えないのが目安で、空気の出入口を2か所作ると換気しやすくなります。

Q. カビ取り剤と酸性の洗浄剤を、同じ日に使ってもいいですか?

A. 混ざると有害な塩素ガスが出ます。必ず単独で使い、換気をしてマスクと眼鏡を着けてください。浴室の床と壁に別々にまいて混ざった例もあるので、同じ場所で続けて使うのは避けてください。

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