友人の結婚が続く、結婚式でブーケを受け取った、ウエディングドレスの夢を見た、同じ数字を何度も見る。結婚を意識していると、こうしたことが「結婚が近いサイン」に思えることがあります。
ここでは、結婚が近いサインという話の出どころを確かめ、まわりの結婚や離婚が自分の選択に関わるのかを調べた研究を紹介します。「類は友を呼ぶ」の本来の意味、ブーケトスや結婚式の夢の言い伝え、「いまがその時」と感じる心の研究、未婚の人が結婚に何を求めているかの調査もまとめます。
「結婚が近いサイン」の出どころ

もとの記事は、結婚が近いサインを7つ並べていましたが、出どころは一つも示していませんでした。国立国会図書館で題名に「結婚」と「前兆」を含む資料を探すと3件で、どれも結婚の前兆を扱った本ではありません。「結婚」と「サイン」では25件あり、占いの本は、耳に表れるしるしで結婚の時期を読む2010年の1冊だけでした。
エンジェルナンバーについて、もとの記事は、6・66・666を家庭や愛、安定を表す数字とし、1111を新しいステージの前兆としていました。けれども、エンジェルナンバーを広めた1999年の本では、666は、考えが物質の面に偏ってバランスを崩しているという意味で、向きが逆です。6や66、1111の項目は本にありません。444を天使が守ってくれているしるしとする説明は、天使が囲んで愛を伝えているという本の意味とおおむね合います。
まわりの結婚や離婚は、自分に関わるのか
もとの記事は、まわりで結婚が続くことやブーケトスを受け取ることを、自分のエネルギーが結婚のエネルギーと共鳴して、そうした場面を引き寄せている「引き寄せのサイン」としていました。研究では、まわりの結婚や離婚と自分の選択との関係は、エネルギーではなく、人のつながりを通じた影響として調べられています。
アメリカのフラミンガム心臓研究の2つの世代、合わせて約1万人を30年あまり追ったデータを使った2013年の研究では、直接つながっている人(配偶者を除く)が離婚していると、本人も離婚している見込みが75%高く、友人の友人では33%高く、さらにその先では関係が見られませんでした。研究者は、離婚がつながった人のあいだでまとまって見える理由として、一人の離婚がほかの人に影響すること、似た人どうしが友人になること、同じ環境にいることの三つを挙げ、それを分けて調べようとしています。示されたのは関連で、まわりが離婚すると自分も離婚する、と言い切れるものではありません。
結婚については、アメリカ陸軍の下級の兵士の人事記録を使った研究で、同僚に結婚している人が多い部隊に配属された未婚の兵士は、2年以内に結婚しやすかった、と報告されています。研究者は、同僚や身近な上司を手本にし、集団のふつうに合わせる行動として説明しています。一方、高校時代の友人関係を追ったアメリカの調査では、友人の結婚が本人の結婚に影響したとする論文も、影響が見られなかったとする論文もあります(どちらも学術誌に載る前の論文です)。
まわりで結婚が続くと、自分の気持ちが動くことはあり得ます。ただ、それは引き寄せではなく、人どうしの影響として説明されています。気持ちが焦りから来ていないか、立ち止まるきっかけにしてみてください。
「類は友を呼ぶ」は、似た者が集まること
もとの記事は、引き寄せの根拠として「類は友を呼ぶ」という言葉を挙げていました。辞典によると、「類は友を呼ぶ」は、気の合った者や似通った者は自然に寄り集まる、という意味で、中国の『易経』の一節から変化したと考えられています。出来事を引き寄せるという意味ではなく、先の研究の「似た人どうしが友人になる」に近い言葉です。
ブーケトスとジューンブライドの言い伝え
辞典によると、ブーケトスは、結婚式で花嫁が参列者にウエディングブーケを投げることで、未婚の女性が受け取ると次に結婚できる、とされています。ジューンブライドは6月の花嫁のことで、6月はローマ神話で結婚と女性の守護神ユノー(ジュノー)の月とされ、この月に結婚する女性は幸福になると伝えられています。六曜の大安は婚姻などによい日とされますが、六曜が日の吉凶として取り入れられたのは、明治の初めに太陽暦が採用されたあとです。
どれも、ブーケを受け取った人や、その月や日についての言い伝えで、結婚が近いことを知らせる前兆とは別のものです。
結婚式の夢は、古い夢の書では凶とも
もとの記事は、白いドレスやウエディングケーキの夢を、結婚が近い前兆として挙げていました。中国の古い夢占いの書『周公解夢』には、婚礼や喪を見る夢を凶とする一節や、夫婦が宴会をする夢は別れを表すとする一節があります(訳は試訳です)。一方で、水がたっぷり流れる夢は新婚があるしるしだ、とする一節もあります。夢の読み方は、伝統によってばらばらです。結婚を意識している人が結婚の夢を見るのは、起きているあいだの関心ごとが夢に出やすいためと考えるのが自然です。
「いまがその時」という感覚の研究
もとの記事の「何かが変わる予感が強くなる」「自分を大切にしたい気持ちが強くなる」は、心理学では、外から届くサインというより、自分の側の「準備ができた」という感覚として研究されています。「いまは真剣な関係を持つのにふさわしい時期だ」と感じる度合いはコミットメント・レディネスと呼ばれ、恋人のいない人を対象にした2018年の研究(5つの調査)では、この感覚が高い人ほど相手を探す行動をとり、追跡すると、交際を始めるかどうかや、その関係への打ち込み方を予測していました。
交際中の人を対象にした2019年の研究では、この感覚が高い人ほど、打ち明ける、歩み寄るといった関係を保つ行動をとっていました。2023年の研究では、準備ができていると感じている人は交際しているほうが独身より幸福感が高く、そう感じていない人では交際しているほうが低い、という結果でした(相関の研究です)。予感は、相手の気持ちや結婚の時期を知らせるものではありません。けれども、自分の準備ができているかを考える手がかりにはなります。
未婚の人は、結婚に何を求めているか
国立社会保障・人口問題研究所が2021年に行った調査で、18〜34歳の未婚の人のうち、結婚に利点があると答えたのは男性63.3%、女性70.9%でした。利点(2つまで選ぶ)では、1987年からほぼ増え続けていた「自分の子どもや家族をもてる」が減り、女性で39.4%でした。男性では「精神的な安らぎの場が得られる」が33.8%で、「自分の子どもや家族をもてる」の31.1%を上回りました。独身生活の利点では「行動や生き方が自由」が最も多く、男性70.6%、女性78.7%でした。
結婚するつもりのある25〜34歳の人が独身でいる理由(3つまで選ぶ)で最も多かったのは「適当な相手にまだめぐり会わない」で、男性43.3%、女性48.1%でした。結婚相手に求める条件は、男女とも「人柄」に次いで「家事・育児の能力や姿勢」「仕事への理解と協力」で、相手の家事・育児の能力や姿勢を重視する女性は70.2%(1997年は43.6%)でした。もとの記事が勧めていた「理想の関係を言葉にする」ことは、サインを待つよりも確かな手がかりです。こうした項目を参考に、自分が結婚に何を求めているかを書き出してみるとよいでしょう。
久しぶりの連絡や、新しい出会いのとき
もとの記事は、長く連絡を取っていなかった人からの突然のメッセージや、「どこかで会った気がする」出会いを前兆としていました。国民生活センターによると、契約した人が次の買い手を探し、買い手が増えるごとに収入が入るマルチ取引の相談は2025年度に4,003件あり、友人に勧められた副業や、マッチングアプリで知り合った相手に連れて行かれたセミナーで契約した、といった例が紹介されています。結婚をちらつかせてお金を求めるロマンス詐欺にも気をつけてください。
久しぶりの知人や出会ったばかりの人から、もうけ話や高い商品、セミナーに誘われたら、その場で契約せず、消費者ホットライン188に相談してください。
結婚を意識しはじめたら
サインを探したくなるのは、結婚を前向きに考えはじめたしるしでもあります。まわりの出来事に意味を読むより、自分が結婚に何を求めているか、相手とどんな暮らしをしたいかを言葉にしてみてください。恋愛や結婚を心理学から考えた本には、越智啓太さんの『恋愛の科学 出会いと別れをめぐる心理学』(実務教育出版、2015年)などがあります。
よくある質問
Q. 結婚が近いサインはありますか?
A. 前兆を確かめた研究も、結婚の前兆を扱った本も見つかりませんでした。
Q. まわりで結婚が続くのは、何かの知らせですか?
A. まわりの結婚や離婚と自分の選択に関連が見られる研究はありますが、人どうしの影響や、似た人が集まることで説明されています。
Q. ブーケを受け取ると、次に結婚できますか?
A. 辞典では、未婚の女性が受け取ると次に結婚できる「とされる」言い伝えとして説明されています。
Q. 結婚式の夢は前兆ですか?
A. 中国の古い夢の書には婚礼の夢を凶とする一節もあり、読み方は伝統によって違います。結婚を意識していると、結婚の夢を見やすくなるとも考えられます。
Q. 「そろそろ結婚かも」という予感に意味はありますか?
A. 「いまがその時」と感じる人ほど相手を探し、交際を始めやすいという研究があります。ただ、相手の気持ちや結婚の時期を知らせるものではありません。
Q. 久しぶりの知人から連絡があり、セミナーに誘われました。
A. その場で契約せず、消費者ホットライン188に相談してください。マルチ取引の相談では、知人やマッチングアプリの相手に誘われた例があります。


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