誕生石の意味はどこから来たか|聖書の胸当てと1912年の一覧、2021年に日本で加わった石、毎日つけるときの手入れ

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生まれた月の石には、その人を守る意味がある。誕生石は、そんなふうに紹介されることが多い石です。

ここでは、誕生石の考えがどこから来たのかを聖書や宝石学の本でたどり、月ごとの一覧がいつ、だれによって決められたのかを確かめます。2021年に日本の一覧に加わった石、国による違い、石の「意味」の出どころ、毎日身につけるときの手入れもまとめます。

起源は聖書の「胸当て」の12の石

誕生石の意味はどこから来たか|聖書の胸当てと1912年の一覧、2021年に日本で加わった石、毎日つけるときの手入れのイメージ

旧約聖書の出エジプト記28章には、大祭司がつける「さばきの胸当て」に12の石を4列に並べ、イスラエルの12部族の名を刻む、という話があります。誕生石の起源として、よくこの12の石が挙げられます。

ただ、これらの石がいまのどの宝石にあたるのかは、はっきりしません。ユダヤの出版協会の英訳は、注に「いくつかの石は何の石か確かでない」と書いています。同じヘブライ語の石が、1611年の欽定訳ではダイヤモンド、ユダヤの出版協会の訳ではアメジストと訳されているなど、訳によって名前が違います。昔の「カーバンクル」は赤い石ならほぼ何でも指したといい、古い石の名前をそのまま今の鉱物に当てはめることはできません。

月と結びつけたのは1世紀の歴史家

1世紀のユダヤの歴史家ヨセフスは、胸当ての12の石について「月と考えても、ギリシャ人がゾディアックと呼ぶ十二の星座と考えても、意味を取り違えることはない」と書きました。この考えは、聖書をラテン語に訳したヒエロニムスの書簡にも取り入れられました。

アメリカの宝石学者クンツは1913年の本で、生まれた月の石を身につける習慣は古代にはなく、18世紀のどこかでポーランドで始まったようだ、と書いています。当時は石ごとに病気を治す力があると考えられ、自分の病気に合わせて石を選んだ、とも説明しています。月への割り当ての順は、新約聖書のヨハネの黙示録に出てくる新しいエルサレムの土台石の順から来ていて、最初の碧玉が、1年の始まりとされた3月に当てられたそうです。

いまの月ごとの一覧は1912年に決まった

いまの誕生石の一覧のもとは、1912年8月にアメリカ・カンザスシティで開かれた全米宝石商協会の会合で承認されたものです。日本の百科事典は、この一覧が「まったく商業的な目的から」定められたと書いています。当時のクンツは、商業主義に選び方を任せれば人々は誕生石への関心を失うおそれがある、と批判し、真珠はそもそも石ではないので一覧に入れるべきでない、とも書いていました。1937年には、イギリスの団体がこれにならって自国の一覧を発表しています。

日本の誕生石と、2021年に加わった石

日本では昭和33年(1958年)に業界の団体が日本の一覧を定め、日本古来のサンゴを3月に、東洋の宝とされたヒスイを5月に加えました。2021年には、業界全体で一覧をそろえるために63年ぶりに改訂され、次の10種類が加わりました。

  • 2月 クリソベリル・キャッツアイ/3月 ブラッドストーン、アイオライト/4月 モルガナイト
  • 6月 アレキサンドライト/7月 スフェーン/8月 スピネル/9月 クンツァイト
  • 12月 タンザナイト、ジルコン

日本ジュエリー協会のいまの一覧では、6月は真珠が先で、ムーンストーン、アレキサンドライトが続きます。12月はトルコ石、ラピスラズリ、タンザナイト、ジルコンの4つです。もとの記事は6月をムーンストーン、12月をターコイズとタンザナイトだけとしていて、公式の一覧と違っていました。

一覧は国によっても違います。アメリカの宝石学の機関の一覧には、日本の一覧にあるサンゴ、ヒスイ、ラピスラズリ、アイオライト、モルガナイト、スフェーン、クンツァイトなどが入っていません。自分の誕生石が国によって違うこともあるのです。

石の「意味」は、古い英語の詩と重なる

もとの記事は、ガーネットは誠実と友情、アメジストは心の平和、ダイヤモンドは純粋さ、と月ごとの意味を並べていましたが、出どころは書かれていませんでした。クンツの本には、作者の書かれていない英語の「月の気持ち」の詩が載っていて、記事の意味はこれとよく重なります。

  • 1月 ガーネット: 貞節、まことの友情と忠実
  • 2月 アメジスト: 誠実と心の平和
  • 4月 ダイヤモンド: 無垢のしるし
  • 10月 ベリル: 希望が苦しみを和らげる
  • 12月 ルビー: 成功

記事では10月のオパールに「希望」、12月のトルコ石に「成功」の意味を当てていましたが、詩ではそれぞれ別の石の言葉でした。石が入れ替わっても、月についた言葉が残っているように見えます。業界団体の日本ジュエリー協会も、誕生石については「身に着けていると幸せが訪れると信じられています」と書くだけです。

一方で、古くからの言い伝えのある石もあります。アメジストの名はギリシャ語の「酔わない」から来ていて、身につけると悪酔いを防ぐと信じられていました。トルコ石は、名が使われ始めた13世紀ごろから落馬のけがを防ぐと言われ、馬具にもつけられたそうです。

毎日身につけるときの手入れ

もとの記事は、アメジストは水に弱く、長く水に浸けると色があせると書いていました。アメリカの宝石学の機関は、アメジストは温かい石けん水で洗ってよく、色があせるのは強い光に長く当てたときだとしています。長く水に触れると傷むのは、琥珀やマラカイトなどです。

  • 真珠: とても軟らかく、汗や化粧品、香水、ヘアスプレーで傷む。「最後につけて最初に外す」。超音波やスチームの洗浄機は使わない
  • オパール: 強い光の熱や急な温度の変化でひびが入ることがある。洗うのは温かい石けん水だけ
  • トルコ石: 皮脂などを吸って色が変わりやすい
  • エメラルド: 多くは割れ目を油や樹脂で埋めてあり、熱や超音波、スチームは避ける
  • ダイヤモンド: いちばん硬いが、強くぶつけると割れたり欠けたりすることがある
  • アイオライト、クンツァイト、タンザナイト: 急な温度の変化に弱い

浄化として水晶のクラスターの上に置く方法も紹介されていましたが、水晶(硬さ7)より軟らかい真珠、トルコ石、オパール、ムーンストーンは、こすれて傷が付くことがあります。保管するときは石ごとに柔らかい布で包んでください。

誕生石とのつきあい方

誕生石の一覧は、聖書の胸当ての石から始まり、1912年に商業の目的で決められ、国や時代によって変わってきました。石の効き目を本物と偽物で比べた試験では差がなかったことも分かっています。誕生月の石にこだわらず、好きな色や、毎日の暮らしで扱いやすい硬さの石を選んで、長く楽しんでください。

よくある質問

Q. 誕生石にスピリチュアルな意味はありますか?

A. 月ごとの意味の多くは、古い英語の作者不詳の詩と重なります。業界団体も「幸せが訪れると信じられています」と書くだけで、効き目を確かめた研究はありません。

Q. 誕生石はいつ、だれが決めたのですか?

A. いまの一覧のもとは、1912年にアメリカの全米宝石商協会が決めたものです。日本では1958年に業界の団体が日本の一覧を定め、2021年に改訂されました。

Q. 2021年に日本の誕生石はどう変わりましたか?

A. クリソベリル・キャッツアイ、アイオライト、モルガナイト、アレキサンドライト、スフェーン、スピネル、クンツァイト、タンザナイト、ジルコン、ブラッドストーンの10種類が加わりました。

Q. 誕生石は国によって違いますか?

A. 違います。アメリカの宝石学の機関の一覧には、サンゴやヒスイ、ラピスラズリなどが入っていません。

Q. アメジストは水に弱いのですか?

A. 温かい石けん水で洗ってよい石です。色があせるのは、強い光に長く当てたときです。

Q. 真珠のアクセサリーを毎日つけても大丈夫ですか?

A. 汗や化粧品で傷むので、身支度の最後につけて最初に外し、つけたあとは柔らかい布で拭いてください。

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