シトリンは、黄色い水晶です。小さな粒を集めた「さざれ石」の形で売られていることが多く、金運の石として紹介されます。けれども、店先に並んでいるシトリンの多くが、どうやって黄色くなったのかは、あまり書かれていません。
ここでは、シトリンが鉱物として何なのか、市場に出ているものの多くが加熱で色を変えたものであること、天然か加熱かを色で見分けられない理由、「商人の石」と呼ばれる話の出どころ、そして日光や熱を避ける扱い方をまとめます。
シトリンは、黄色い水晶

シトリンは石英(せきえい)の仲間で、化学組成は二酸化ケイ素です。水晶と同じ石で、黄色からオレンジ色をしたものがシトリンと呼ばれます。アメリカ宝石学会の説明では、この黄色からオレンジの色は、石の中にわずかに含まれる鉄によるものです。
モース硬度は7です。これは「傷のつきにくさ」の目安で、割れにくさを表すものではありません。硬さがあっても、落とせば欠けます。金属の留め具や、ほかの石とぶつかる保管の仕方には気をつけてください。
市場に出ているものの多くは、加熱で黄色くした石
アメリカ宝石学会は、天然のシトリンは稀で、市場に出ているシトリンの大半はアメシスト(紫水晶)を加熱して色を変えたものだと説明しています。もとのアメシストの色合いが、加熱したあとの黄色の濃さを決めます。ライム色のものは、スモーキークォーツを加熱してできることがあります。
加熱したものが偽物という話ではありません。もとは天然の石で、熱で色が変わっただけです。宝石の世界では広く行われている処理で、鑑別書には「加熱」と書いて示す決まりになっています。
加熱されたものが市場の何割かを示す数字は見つかりませんでした。アメリカ宝石学会の説明は「大半」という言い方です。「〇割が加熱品」と書いてあるページを見かけたら、その数字の出どころを確かめてください。
「天然か加熱か」は、色では見分けられない
「淡い黄色で色むらがあるのが天然」「鮮やかなオレンジは加熱品」といった見分け方が紹介されることがあります。これは成り立ちません。
日本の宝石鑑別のルールをまとめた資料では、シトリンは「人為的な処理が広く行われているとされているが、いまの鑑別技術ではその確証を得ることができない」宝石の一覧に挙げられています。鑑別機関でも、その石が加熱されたかどうかを確かめられないということです。見た目で分けられるはずがありません。
天然のまま黄色い水晶が採れる場所も知られています。ボリビア東部のアナイー鉱山では、紫と黄色が同じ結晶の中に並んだ二色の水晶が採れ、研究の結果、処理ではなく天然のものと結論づけられています。
買うときにできるのは、販売ページや値札に「加熱」の表示があるかを見ることだけです。書いていなければ、分からないと考えるのが正確です。加熱かどうかで石の意味が変わるという考え方をとらないなら、そこを気にせず、色と形の好みで選んでかまいません。
「さざれ石」とは何か
さざれ石は、辞書では「こまかい石。小石」とだけ説明されている言葉です。石の種類でも、特別な作りでもありません。宝飾品に使えない小さな粒や破片を集めたもの、と考えるとよいでしょう。だから値段が手ごろです。
「さざれ石の上に置くと石が浄化される」「粒が多いほどエネルギーが広がる」といった説明をよく見かけますが、その出どころは見つかりませんでした。いつ誰が言い始めたのかも分かりません。言い伝えとして受け取ってください。
「商人の石」と呼ばれる話
シトリンは「商人の石」と呼ばれることがあります。この呼び名は、米国の宝石業界団体のページにも載っていて、富や成功を集める助けになると信じられていた、と書かれています。ただし、いつ、どの地域で、誰が言い始めたのかは示されていません。
「古代から世界中で金運の石とされてきた」と書くには、根拠が足りません。黄色が金や太陽を思わせることから、後に結び付けられた呼び名である可能性もあります。金運の石として持つのは自由ですが、言い伝えだと分かって持つほうが、落胆がありません。
扱い方——日光と熱を避ける
アメリカ宝石学会の手入れの説明から、シトリンについて言えることをまとめます。
- 洗い方
温かい石けん水で安全に洗えます。超音波洗浄機は、染色やひび割れを埋める処理がされている稀な場合を除けば、ふつうは問題ないとされています。 - スチーム洗浄はしない
シトリンは熱にさらすべきではないとされ、スチーム洗浄はすすめられていません。 - 急な温度変化を避ける
急に温度が変わると割れることがあります。熱い湯や、暖房の近くは避けてください。 - 強い光に長く当てない
強い光に長くさらすと、色が褪せるものがあります。日光に当てる「日光浴」は、熱と強い光の両方を与えるので、すすめられません。
日光で浄化する方法を紹介しているページは多くありますが、宝石学の側からは、シトリンに日光と熱を当てることは止められています。気になるなら、乾いた柔らかい布でふく、ほこりを払う、という手入れで十分です。
よく書かれていて、出どころが見つからないこと
- ネガティブなエネルギーを吸収せず発散するので、浄化がいらない
- 浄化は月に1〜2回が目安
- 財布の近くや、部屋の西側・北側に置くと金運が高まる
- さざれ石は粒が多いので、エネルギーが広い範囲に広がる
どれも、確かめられる出典が見つかりませんでした。書いてあるページが多いことは、正しさの証しにはなりません。石を飾ったり持ったりして気分が上がるなら、それは本物の気分です。その気分を、石の力の証しとして扱わないほうが、お金の使い方も落ち着きます。
例として、シトリンのさざれ石の販売ページです。粒の大きさや量、加熱の有無が書かれているかは、販売ページの表示で確かめてください。
※ 価格は投稿時点のものです。最新の価格はAmazonでご確認ください。
よくある質問
Q. シトリンは、黄色い水晶のことですか?
A. はい。石英(二酸化ケイ素)の仲間で、黄色からオレンジ色のものがシトリンと呼ばれます。色のもとは、わずかに含まれる鉄です。
Q. 売っているシトリンは、加熱されたものですか?
A. アメリカ宝石学会は、天然のシトリンは稀で、市場に出ているものの大半はアメシストを加熱して色を変えたものだと説明しています。加熱品が偽物という話ではありません。
Q. 天然か加熱かは、色で見分けられますか?
A. 見分けられません。日本の鑑別のルールでは、シトリンは処理の有無について確証を得られない宝石の一覧に挙げられています。鑑別機関でも確定できません。
Q. さざれ石を日光に当てて浄化してもいいですか?
A. すすめられません。シトリンは熱にさらすべきでないとされ、強い光に長く当たると色が褪せるものがあります。乾いた布でふく程度にしてください。
Q. さざれ石とは、どんな石ですか?
A. 辞書では「こまかい石。小石」とされる言葉で、石の種類ではありません。宝飾品に使えない小さな粒を集めたものです。
Q. 金運が上がるという話には、根拠がありますか?
A. 確かめられた調べものは見つかりませんでした。「商人の石」という呼び名は業界のページにありますが、いつ誰が言い始めたかは示されていません。
Q. さざれ石は、どう置けばいいですか?
A. 置き方の決まりは見つかりませんでした。日光が当たらず、ほこりをふきやすい場所で、落としても割れない高さに置くのが現実的です。小さな粒なので、小さな子どもやペットが口に入れない場所を選んでください。
Q. 水や塩で洗ってもいいですか?
A. 温かい石けん水で洗えるとされています。塩に埋める方法については、宝石学の資料に記述が見つかりませんでした。留め具や糸のある製品は、濡らしたあとによく乾かしてください。



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