満月に眠いのはなぜ|月と睡眠の研究で分かっていること、月のせいにしやすい人、昼の眠気で受診する目安

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星読み・暦

満月の前後になると、なんだか眠い、体が重い。月の力が体に届いているのでは、と感じる人もいるでしょう。

ここでは、月の満ち欠けと睡眠を調べた研究で何が分かっているのかを紹介します。眠れないのを月のせいにしやすい人の調査、満月と心の言い伝えの出どころ、日本の月待の本来の過ごし方、昼の眠気が続くときの受診の目安もまとめます。

月と睡眠の研究で分かっていること

満月に眠いのはなぜ|月と睡眠の研究で分かっていること、月のせいにしやすい人、昼の眠気で受診する目安のイメージ

2013年、スイスのバーゼル大学のチームが、時刻の手がかりのない睡眠実験室で記録した30人あまりの睡眠を、後から月の満ち欠けに沿って分析しました。満月の頃は、深い睡眠の指標が30%低く、寝つくまでの時間が5分長く、睡眠時間が20分短かったと報告しています。

ところが翌2014年、ドイツのマックス・プランク精神医学研究所などのチームが、手元の睡眠データ1,265人・2,097夜を調べると、月の満ち欠けとの関係は見つかりませんでした。発表していなかった2万夜以上の分析でも同じで、研究所は、関係があったという結果ばかりが発表されてきたのではないかと指摘しています。スイスのローザンヌで2,125人の睡眠を自宅で測った2015年の研究でも、睡眠時間は満月398分、半月402分、新月403分で、差はありませんでした。

一方、2021年の研究では、アルゼンチンの先住民の共同体と、アメリカ・シアトルの大学生464人の睡眠を手首の機器で記録し、満月の3〜5日前の夜に寝つきが遅く、睡眠が短くなっていました。日が沈んだあとに月明かりがある時期にあたります。12か国の9〜11歳5,812人を調べた研究では、満月の夜は新月より約5分短いだけでした。

まとめると、差が出た研究でも「満月の前に寝つきが遅れ、睡眠が少し短くなる」というもので、満月に眠気そのものが強くなるという結果ではありませんでした。前の晩の睡眠が短くなれば翌日に眠く感じることはありえますが、大人数の調査では差がないものも多く、まだはっきりしていません。

眠れないのを月のせいにしやすい人

2026年に1,815人に聞いた調査では、睡眠を妨げると思う外の要因として最も多く挙がったのが月で、36%でした。外の気温(31%)や部屋の騒音(26%)より多い数字です。月のせいにしやすかったのは、天気のせいにもしやすい人、そして月の満ち欠けを日ごろから追っている人で、追っている人はそうでない人に比べて月のせいにする見込みが約2.4倍でした。月のせいにする答えは、満月の後の1週間に多くなっていました。

研究者は、月の影響の感じ方は、少なくとも一部は「何のせいだと思うか」と「そうなるはずだという思い込み」でつくられている、としています。もとの記事は満月前後の変化を「月の日記」に記録するよう勧めていましたが、満月を意識して体調を見るほど、月のせいだと感じやすくなるのかもしれません(どちらが先かは分かっていません)。

「体は水分が多いから月の影響を受ける」は

もとの記事は、人の体の多くは水分なので、潮の満ち引きのように月が体に影響する、と説明していました。百科事典によると、潮の満ち引きを起こすのは月の引力そのものではなく、地球の中心と表面での引力の差です。そして潮の差が大きくなる大潮は、満月だけでなく新月のころにも起こります。この説明では、満月の時期だけ眠くなる理由になりません。

月と体の「湿り気」を結びつける考えは古く、古代ローマのプリニウスは、満月が多くの露を生んで脳を湿らせ、狂気やてんかんを起こすと考えていました。

「ルナティック」と満月の俗説

英語のルナティック(常軌を逸した)は、ラテン語で月を意味するルナから来た言葉で、もとは「月に影響された」という意味です。月の気が人に流れ込んで狂わせる、という古い考えにもとづいています。ただ、月と「狂気」の関係を調べた37の研究をまとめると、月の満ち欠けで説明できたのは行動のばらつきの1%以下でした。

  • アメリカ・ノースカロライナ州の56万4,039件の出産で、出産の数にも分娩の方法にも、月の満ち欠けによる差はなかった
  • 6年間の救急患者1万1,134人で、救急の呼び出しは月の満ち欠けと関係しなかった
  • パリの精神科救急の受診6万9,764件でも、月の満ち欠けとの関係はなかった
  • 例外として、日本全国の交通事故による救急搬送84万2,554件では、満月の夜に約4%多かった(理由は調べられていない)

満月の夜は、念のため運転に気をつけるくらいがよさそうです。

日本の月待は「夜を明かす」行事だった

もとの記事は満月の夜は早めに床に就くよう勧めていましたが、日本の月の行事はむしろ逆でした。月待は、決まった月齢の夜に月の出を待ってまつる行事で、十九夜待や二十三夜待などがあります。二十三夜待が最も古く、16世紀ごろの京都の公家社会で行われていました。その夜、家の主人は身を清めて翌朝まで起きているのが本来で、講の仲間が集まって飲食をし、月を拝んで夜を明かしました。

十九夜には女性だけで集まって安産や子育ての無事を願うことが多く、各地に二十三夜塔などの石塔が残っています。満月の十五夜は芋を供えることから「芋名月」とも呼ばれ、もとは芋の収穫を祝う行事だったと考えられています。暦が月の満ち欠けで数えられていた時代、満月は小正月や盆の目印でもありました。

昼の眠気が続くときは

厚生労働省のe-ヘルスネットによると、令和元年の調査で、この1か月に週3回以上、昼間に眠気を感じた人は34.8%いました。昼の眠気は、睡眠不足のほか、睡眠時無呼吸、むずむず脚症候群、ナルコレプシーなどの病気、薬の副作用、うつ病でも起こり、居眠り運転などの事故にもつながります。

女性では、月経前の時期に眠気が強くなることがあります。e-ヘルスネットは、数か月のあいだ、月経と眠気の関係をカレンダーなどに書き込むと、変化の起こりやすい時期がつかみやすいとしています。眠気の波を記録するなら、満月より月経の周期と並べてみてください。

昼間に強い眠気があり、居眠りで仕事や勉強に差し支えるときは、睡眠障害を専門とする医療機関を受診してください。日本睡眠学会が認定医療機関の一覧を公開しています。満月の頃だけだと思っても、続くなら相談してかまいません。

眠りやすくするには、寝る1〜2時間前に入浴して体を温め、寝室を暗くすることが勧められています。一方、体が必要とする以上に長く床にいると、かえって寝つきが悪くなり、途中で目が覚めやすくなります。眠くないのに早く床に就く必要はありません。

これからの満月の日

国立天文台の暦によると、これからの満月は次の日です。

  • 2026年: 10月26日、11月24日、12月24日
  • 2027年: 1月22日、2月21日、3月22日、4月21日、5月20日、6月19日、7月19日、8月17日、9月16日、10月15日、11月14日、12月14日

月を眺めるのは、昔から人々が楽しんできたことです。眠気の理由探しではなく、月見の楽しみとして満月の夜を過ごしてみてはいかがでしょうか。

例として、月齢や旧暦、二十四節気を載せた月暦カレンダーの販売ページです。2026年版なので、来年の分は別に確かめてください。

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よくある質問

Q. 満月になると眠くなるのは本当ですか?

A. 満月に眠気が強くなると示した研究は見つかりませんでした。差が出た研究でも、満月の前に寝つきが遅れ、睡眠が少し短くなったというもので、大人数の調査では差がないものもあります。

Q. 満月の眠気はスピリチュアルなサインですか?

A. そう確かめた研究はありません。月の満ち欠けを日ごろから追っている人ほど、眠れないのを月のせいにしやすいという調査があります。

Q. 体の水分が月に引っぱられるのですか?

A. 潮の満ち引きは引力の差で起こり、大潮は新月にも起きます。満月の時期だけ眠い理由にはなりません。

Q. 満月の夜は早く寝たほうがいいですか?

A. 眠くないのに長く床にいると、かえって眠りが浅くなります。日本の月待は、本来は夜を明かして月を待つ行事でした。

Q. 昼間の眠気が続きます。

A. 睡眠不足のほか、睡眠時無呼吸などの病気や薬の副作用でも起こります。仕事や勉強に差し支えるときは、睡眠の専門の医療機関に相談してください。

Q. 次の満月はいつですか?

A. 国立天文台の暦では、2026年10月26日、11月24日、12月24日です。

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