マルセイユ版タロットとは|ライダー版とのちがい、歴史と代表的な版、日本語解説書付きセットの中身

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占い・カード・数秘

マルセイユ版タロットは、17〜18世紀のフランスで作られた型のタロットです。素朴な木版の絵と、赤・青・黄などのはっきりした色が特徴で、いまもこの型をもとにした復刻版や、新しく描き直したデッキが数多く出ています。

日本で手に入るタロットの入門書の多くは、1909年にイギリスで作られた「ライダー版」をもとにしているので、マルセイユ版を手にすると、絵や番号の違いに戸惑うことがあります。ここでは、マルセイユ版の歴史と代表的な版、ライダー版とのちがい、日本語の解説書付きセットの中身、絵のない数札の読み方を順にまとめます。

17〜18世紀フランスの、木版のタロット

マルセイユ版タロットとは|ライダー版とのちがい、歴史と代表的な版、日本語解説書付きセットの中身のイメージ

マルセイユ版は、木の版に彫った線で刷り、色を手で塗ったり、型紙(ステンシル)を使って塗ったりして作られたタロットです。代表的な版には、パリで1650年ごろに作られたジャン・ノブレの版(フランス国立図書館が所蔵)や、マルセイユで1760年に作られたニコラ・コンヴェルの版があります。どの版をこの型の最も古い例とするかは、資料によって違います。

タロットそのものは、15世紀の北イタリアで、遊び用のカードとして生まれました。占いに使われた最も古い証拠は1750年ごろのもので、神秘的な読み方が広まったのは1780年代、フランスのクール・ド・ジェブランやエッテイラの著作からです。マルセイユ版も、もとはカード遊びのための札として刷られていました。

「マルセイユ」という名前は、あとから付いた

「マルセイユ版」という呼び名は、札が作られた当時のものではありません。19世紀半ばに札の歴史を研究したメルランが使ったのが始まりという説と、1930年代にフランスのグリモー社がコンヴェルの版を復刻して売り出したときの名前から広まったという説があります。

実際には、ノブレの版がパリで作られたように、この型の札はマルセイユ以外の町でも作られていました。「マルセイユ版」は、作られた場所というより、絵の型の名前と考えると分かりやすいでしょう。

ライダー版とのちがい

  • 数札に、場面の絵がない
    マルセイユ版の小アルカナの数札(1〜10)は、杖や杯、剣、金貨の記号が並んでいるだけです。ライダー版のように、一枚ずつ場面の絵が描かれていません。
  • 8番と11番が逆
    マルセイユ版では8番が「正義」、11番が「力」です。ライダー版を作ったウェイトは、占星術の対応(力=獅子座、正義=天秤座)に合わせて、この二枚を入れ替えました。
  • 愚者に番号がない
    ライダー版では愚者は0番ですが、マルセイユ版の愚者には番号がありません。
  • 13番に名前がない
    マルセイユ版の13番の札には、札の名前が書かれていません。一般には「死神」と呼ばれる札です。

ライダー版の入門書で意味を調べるときは、8番と11番を番号ではなく札の名前で引くこと、数札は絵ではなく組と数で読むことに気をつければ、多くの説明をそのまま使えます。

1997年の復元版——ホドロフスキーとカモワン

1997年には、映画監督のアレハンドロ・ホドロフスキーと、フィリップ・カモワンが、古い版をもとにマルセイユ版を復元したデッキを作りました。カモワン家は、婚姻によってコンヴェルの札作りの工房を受け継いだ家です。

日本では、カモワンと大沼忠弘さんによる『秘伝カモワン・タロット』(学習研究社、2002年)が、カード80枚付きの本として出ています。マルセイユ版の歴史を日本語で知りたい人には、夢然堂さんの「『マルセイユのタロット』史 概説」(『ユリイカ』2021年12月臨時増刊)のような文章もあります。

日本語の解説書付きセットの中身

日本で「マルセイユタロット 日本語解説書付き」として売られているものの一つは、イタリアのロ・スカラベオ社のデッキ「ユニバーサル・タロット・オブ・マルセイユ」に、日本語の冊子を付けたセットです。

  • もとになった版
    フランスのクロード・ビュルデルが1751年に作った版を、線と色を描き直したデッキです。
  • カード
    78枚。大きさは66×120ミリで、ふつうのトランプより縦長です。
  • 札の名前と冊子
    大アルカナの札の名前は、欧州の5つの言語で刷られています。もとの冊子も5言語で、日本語の解説は販売店が付けたものです。

日本語の解説書を誰が作ったか、どこまで詳しいかは、店によって違います。買う前に、解説書のページ数や、78枚すべての意味が載っているかを、販売ページで確かめてください。カードに日本語のキーワードが書かれているわけではない点にも注意が必要です。

マルセイユ版を選ぶときに見るところ

  • どの版がもとか
    コンヴェル、ノブレ、ビュルデルなど、どの時代のどの版をもとにしているかが書かれているかを見ます。もとの版によって、絵の細部や色が違います。
  • 復刻か、描き直しか
    古い札をそのまま写した復刻版と、線や色を描き直した版があります。古い札の素朴さを楽しみたいなら復刻版、見やすさを取るなら描き直した版が向いています。
  • 大きさ
    マルセイユ版は縦長の札が多く、手の小さい人には混ぜにくいことがあります。札の大きさを確かめておきます。
  • 解説書の言語
    付いている冊子の言語と、日本語の解説書が付く場合はその作り手を確かめます。

絵のない数札を、どう読むか

マルセイユ版で最初に戸惑うのが、数札の読み方です。場面の絵がないので、次のような手がかりで読みます。

  • 組で、テーマを決める
    杖はやる気や仕事、杯は気持ちや愛情、剣は考えや悩み、金貨はお金や物、というように、まず組からテーマを読みます。
  • 数で、段階を読む
    1は始まり、真ん中の数は動きや揺れ、10はまとまり、というように、数から物事の段階を読みます。
  • 記号の並び方を見る
    記号がきれいに並んでいるか、交差しているか、花や葉の飾りがどう描かれているかも、読む手がかりにする人がいます。

最初は、大アルカナの22枚だけで引いてみるのも一つの方法です。絵のある22枚で札に慣れてから、数札を加えると、無理なく読めるようになります。引いた札と、その日の出来事を一行ずつ書き留めておくと、自分なりの読み方が少しずつ育っていきます。

例として、イタリアのロ・スカラベオ社のデッキ「ユニバーサル・タロット・オブ・マルセイユ」に、日本語の解説書を付けて売られているセットの販売ページです。札の名前は欧州の言語で書かれていて、日本語は付録の解説書だけです。

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よくある質問

Q. マルセイユ版とライダー版、初心者に向いているのはどちらですか?

A. 日本の入門書はライダー版で説明しているものが多いので、本を見ながら覚えるならライダー版のほうが調べやすいでしょう。マルセイユ版を選ぶなら、まず大アルカナだけで慣れてから、数札を加えるのがおすすめです。

Q. マルセイユ版の数札に絵がないのはなぜですか?

A. もとは遊び用のカードとして作られた型だからです。数札に場面の絵を描いたのは、1909年のライダー版の大きな特徴でした。

Q. 8番と11番の札が、解説書と違います。

A. マルセイユ版は8番が正義、11番が力で、ライダー版はその逆です。ウェイトが占星術の対応に合わせて入れ替えました。意味は札の名前で引いてください。

Q. マルセイユ版に、日本語版はありますか?

A. 日本語の解説書を付けたセットや、カモワンと大沼忠弘さんの『秘伝カモワン・タロット』(2002年)のような本付きのものがあります。セットの解説書は販売店の付録のことがあるので、中身を確かめてから選んでください。

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