ラピスラズリとは|金色の粒は本物の証拠ではない、瑠璃とウルトラマリン、日本で初めての産出、ブレスレットの手入れ

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パワーストーン

夜空のような深い青に、金色の粒がきらめくラピスラズリ。ブレスレットにして身につけると、どんな効果があるのか気になる人もいるでしょう。

ここでは、ラピスラズリがどんな石なのかを宝石学の資料で確かめ、よく言われる「金色の粒は本物のしるし」が正しいのかを見ていきます。仏典の瑠璃や絵の具のウルトラマリンとの関係、日本で初めて見つかったニュース、手入れの方法もまとめます。

ラピスラズリは鉱物ではなく岩石

ラピスラズリとは|金色の粒は本物の証拠ではない、瑠璃とウルトラマリン、日本で初めての産出、ブレスレットの手入れのイメージ

ラピスラズリは、一つの鉱物ではなく、いくつもの鉱物が集まった岩石です。アメリカの宝石学の機関によると、主に青いラズライト(青金石)、白い方解石、金色の黄鉄鉱からできています。青い鉱物の呼び方は資料によって違い、国立科学博物館は、アフガニスタンのラピスラズリは主に藍方石からなると書いています。鉱物の割合によっては、透輝石や角閃石、長石、雲母が混ざることもあります。塩酸をかけると、腐った卵のようなにおいの硫化水素が出るのも、ラズライトの性質の一つです。

ラピスラズリと呼ばれるものの幅は広く、ほとんどが青い鉱物のものから、青い部分が3割に満たない灰色の大理石のようなものまであります。硬さは資料によって5〜6ほどで、水晶(石英)より軟らかく、傷がつきやすい石です。

金色の粒は、本物の証拠にならない

もとの記事は、金色の粒(黄鉄鉱)は天然のラピスラズリの手がかりで、濃い青一色のものは着色の可能性がある、と書いていました。宝石学の資料では、これは逆です。

宝石学の機関によると、最も価値が高いのは、黄鉄鉱がほとんどなく白い方解石も含まない、むらのない濃い青のもので、取引では「アフガン」と呼ばれます。小さな金色の粒が散らばる程度なら価値は下がりませんが、多すぎると緑がかったくすんだ色になります。白い筋は価値を下げます。「アフガン」「ロシア」「チリ」といった呼び名は見た目の等級で、実際の産地を示すとは限りません。

見分けの決め手にならない理由の一つは、ラピスラズリによく似た方ソーダ石(ソーダライト)にも黄鉄鉱が入ることがあるからです。もう一つは、偽物にも金色の粒が入れてあるからです。2000年の宝石学の論文は、次のような例を挙げています。

  • ギルソンの人工品: 形と大きさのそろった黄鉄鉱の粒が加えられている。すき間が多く、水に浸けると重さがはっきり増える。硬さは約3と軟らかく、天然のものより軽い
  • 硫酸バリウムなどで作った模造品: 砕いた黄鉄鉱を筋のように入れてある
  • 青い合成スピネルを焼き固めたもの: 黄鉄鉱に見せるため、金の粒を加えることが多い
  • 染めたジャスパー(「スイスラピス」などと呼ばれる): 黄鉄鉱は入っていない

拡大すると、天然の青にはむらがあり、模造品は均一であざやかな青に見えることが多いそうです。天然のラピスラズリも、色をよくしたり白い部分を目立たなくしたりするために染めることがあり、染めていないものにもワックスや油をしみ込ませることがあります。宝石学の機関は、こうした処理の安定性を「まずまず」とし、宝石の専門家なら見分けられるとしています。染めたものは、長く日光に当てると色があせることもあります。染めたものは、除光液(アセトン)を含ませた綿棒で拭くと色が移ることが知られていますが、これは宝石の専門家の検査で、自分の石で試すと傷めてしまいます。

手入れは石けん水で、酸と熱に注意

もとの記事は「水に長く浸けない」と書いていましたが、宝石学の機関は、ラピスラズリの宝飾品は温かい石けん水で洗い、スチームや超音波の洗浄機は使わないよう勧めています。熱や溶剤は、染めたり含浸したりした石の表面を傷めることがあります。すき間の多い石なので、洗浄液を吸って色が変わることもあります。

白い部分の方解石が弱いのは、水ではなく酸です。酢やレモン汁、酸性の洗剤がつかないようにしてください。除光液やアルコールも、染料を溶かすことがあるので避けましょう。身につけたあとは、やわらかい布で軽く拭いてからしまうと安心です。

「天空の石」「真実の石」と呼ばれたのか

ラピスラズリは、古代から大切にされてきた石です。エジプトでは紀元前3100年より前から飾りに使われ、ツタンカーメンの黄金のマスクにも眉と目のまわりに象眼されています。さらに古く、シュメールのエリドゥの墓地からは紀元前5千年紀のビーズが出ていて、『ギルガメシュ叙事詩』には「ラピスラズリと金の戦車」が出てきます。メソポタミアのウルの王墓(紀元前2500年ごろ)からも、ラピスラズリの頭飾りや首飾りが出ています。人とラピスラズリの関わりは、資料によって6,500年以上前、7,000年以上前などと書かれています。

ただ、古代エジプトで「天空の石」「真実の石」と呼ばれたという資料は見つかりませんでした。名前のラピスはラテン語で「石」、ラズリは青を意味するペルシャ語や、天・空・青を意味するアラビア語から来ているので、「天空」は名前の由来としては言えます。大英博物館には、真理と秩序を表す古代エジプトの女神マアトをかたどった、高さ2cmのラピスラズリの護符があります。古代の加工品には、お守りのほか、ゲーム盤や鉢、短剣の柄、髪飾りもあります。マアトは頭に羽根をいただく女神で、『死者の書』では死者の心臓とマアトの羽根が天秤にかけられます。なお、古代のギリシャやローマで「サファイア」と呼ばれていた石は、実際にはラピスラズリだったと考えられています。

仏典の「瑠璃」

仏典に出てくる青い宝石「瑠璃」は、サンスクリット語を写した「吠瑠璃」を略した言葉で、金・銀に続いて七宝の3番目に置かれます。辞典はその正体を、アフガニスタンのバダクシャーン産のラピスラズリ「であろうとされる」と書いています。紀元後には青いガラスも瑠璃と呼ばれたので、瑠璃がいつもラピスラズリを指すとは限りません。七宝に何を数えるかは経典によって違いますが、どの数え方にも瑠璃が入っています。たとえば無量寿経では金・銀・瑠璃・玻璃・硨磲・珊瑚・瑪瑙、法華経では金・銀・瑠璃・硨磲・瑪瑙・真珠・玫瑰です。日本語の辞典での瑠璃の早い用例は、835年ごろの空海の詩文集『性霊集』です。

金と同じくらい高価だった青、ウルトラマリン

ラピスラズリを砕いて作る青い顔料がウルトラマリンです。砕いて洗うだけでは青がくすむため、粉を蝋などと練って灰汁の中でこね、青い粒だけを取り出しました。イタリアの画家チェンニーニが1437年の技法書に書いた方法です。工程に数か月かかることもあり、同じ重さの金と同じくらい高価だったといわれます。14〜16世紀の絵では、最上のものはキリストと聖母マリアの衣に限って使われ、フェルメールの『真珠の耳飾りの少女』のターバンにも使われています。知られている最も古い使用は、アフガニスタンのバーミヤンの石窟の6世紀後半の壁画です。1820年代に人工のウルトラマリンが作られると、値段はおよそ10分の1になりました。1824年にフランスの産業奨励の協会が6,000フランの懸賞を出し、1828年にギメが勝者に選ばれています。

産地と、日本で初めての産出

宝石として最上質のものは、数千年前と同じくアフガニスタンの山地でとれます。古代の文明で使われたものの多くは、バダフシャン地方のサレサン鉱山から来たと考えられています。マルコ・ポーロも1271年にこの地方の鉱山にふれています。ほかの主な産地はチリと、ロシアのバイカル湖のまわりです。小さな産地には、アンゴラ、カナダ、アメリカのコロラド州、パキスタンがあります。

2026年2月、国立科学博物館は、新潟県糸魚川市の姫川の支流で見つかった青い石がラピスラズリだと分かり、日本で初めての産出の確認だと発表しました。翡翠を集めていた地元の人が残した石の中から見つかったもので、いちばん大きいものは直径約20cm。外国産では報告のない鉱物の組み合わせだったそうです。見つかった石の表面は風化して灰色がかった冴えない青で、切って磨くと濃い群青色になりました。同館は、デュモルティ石とされている青い石の標本の中にも、ラピスラズリがまぎれている可能性があるとしています。同館は、正倉院の宝物などに見られるラピスラズリは、すべてアフガニスタン産と考えられるとしています。

12月の誕生石

日本の誕生石は、アメリカの宝石商の組合の一覧をもとに1958年に選ばれ、2021年12月に63年ぶりに改訂されて、10種類が加わり29種類になりました。12月はトルコ石、ラピスラズリ、タンザナイト、ジルコンです。2021年の改訂の前から、ラピスラズリは12月の誕生石に入っていました。一方、アメリカの宝石学の機関の12月の誕生石にはラピスラズリが入っていません。国によって一覧は違います。

「効果」について

もとの記事は、第三の目のチャクラに対応して直感を高める、ストレスや不安を和らげる、と書いていましたが、出典は見つかりませんでした。成人138人にローズクォーツか見た目の同じ偽物を使ってもらった試験では、本物と偽物で差はなく、不安が減ったのは石の力を信じている人だけでした。ラピスラズリは、数千年にわたって人を引きつけてきた青そのものを楽しむ石として、身につけてみてください。

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よくある質問

Q. ラピスラズリのブレスレットにはどんな効果がありますか?

A. 直感を高める、不安を和らげるといった効果を確かめた研究は見つかりませんでした。石の効き目を本物と偽物で比べた試験では、差はありませんでした。

Q. 金色の粒があれば本物ですか?

A. 決め手になりません。人工品や模造品にも黄鉄鉱や金の粒を入れたものがあり、最も価値が高いのは粒の少ない均一な青のものです。

Q. ラピスラズリは水に弱いのですか?

A. 宝石学の機関は温かい石けん水で洗うよう勧めています。弱いのは酸や熱、溶剤で、超音波やスチームの洗浄は避けてください。

Q. 瑠璃とラピスラズリは同じものですか?

A. 辞典は、仏典の瑠璃はラピスラズリ「であろう」としています。青いガラスを瑠璃と呼んだこともあり、いつも同じとは限りません。

Q. 日本でもラピスラズリはとれますか?

A. 2026年2月に、新潟県糸魚川市で見つかった石が日本で初めてのラピスラズリと発表されました。

Q. ラピスラズリは何月の誕生石ですか?

A. 日本の誕生石では12月です。アメリカの宝石学の機関の一覧には入っていません。

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