アパタイトは、青や青緑の色が人気の石で、ブレスレットにもよく使われます。パワーストーンの解説では、「伝える力」や「意欲」を後押しする石として紹介されることの多い石です。
ここでは、スピリチュアルな意味と石言葉の出どころを確かめ、そのうえで、名前の由来、鉱物としての素顔、扱うときの注意を順にまとめます。石の意味は言い伝えで、身に着けて何かが変わると確かめられたものではありません。
アパタイトのスピリチュアルな意味と石言葉

英語圏の石の解説では、アパタイトは、喉のチャクラ(声や表現に関わるとされる場所)に働き、人前で話すことを助ける石(ジュディ・ホール)、意欲を高める石(ミヒャエル・ギーンガー、2009年)として紹介されています。カトリーナ・ラファエルの本(1985年)などでは「実現の石」とも呼ばれ、食欲を抑える石という説明もあります(メロディ)。
日本の宝石店の解説では、石言葉として「信頼」「調和」「絆」「自信」「優しい誘惑」などが挙げられています。言われている意味は解説によってかなり違い、昔から一つに決まっていたものではないことが分かります。
喉のチャクラは、サンスクリット語で「ヴィシュッダ」と呼ばれます。チャクラは、体の中の力の中心を定めるインドの密教の考え方で、8世紀ごろの仏教の経典に、すでにその序列が現れます。いま広く知られる7つのチャクラの形は、1918年にジョン・ウッドロフがインドの経典を英語に訳して紹介したことで西洋に広まりました。チャクラに色を当てる説明は1927年のリードビーターの本に見られ、虹の7色の並びはそのあと少しずつまとまったもので、石との結び付きは、さらにあとで西洋で加えられたものです。
どの意味を選ぶかは自由です。人前で話す予定のある日に身に着ける、目標を書いた手帳と一緒に持つなど、自分の行動と結び付けておくと、石を見るたびに思い出す目印になります。
名前の由来は「だます」
アパタイトという名前は、ギリシャ語で「だます」を意味する言葉から付けられました。名付けたのはドイツの鉱物学者ヴェルナーで、1786年のことです。色の幅が広く、ほかの鉱物とよく取り違えられたことが理由とされています。
日本の宝石店の解説には、「宝石商を惑わすほど美しいから」と書くものもありますが、鉱物学の出典では、ほかの鉱物と見分けにくかったことが理由とされています。
歯や骨と同じ仲間の鉱物
アパタイトは、リン酸カルシウムでできた鉱物のグループで、和名は燐灰石(りんかいせき)といいます。私たちの歯のエナメル質や象牙質の主な成分であるヒドロキシアパタイトも、この仲間です。骨も、重さの最大7割ほどを、アパタイトの一種が占めています。
歯みがき粉の成分の表示で「ハイドロキシアパタイト」という言葉を見かけることがありますが、それも同じ仲間の名前です。手首の石と、自分の歯や骨が同じ仲間だと思うと、少し身近に感じられるかもしれません。
フッ素を含むアパタイト(フルオロアパタイト)は、ヒドロキシアパタイトより酸に溶けにくい性質があります。20世紀の半ばに、水道水にもともとフッ素を含む地域では虫歯が少ないことが分かり、歯のアパタイトの一部がフッ素と入れ替わることで、歯が酸に強くなると説明されています。
暮らしとのつながりは、ほかにもあります。アパタイトのいちばん大きな使い道は、肥料の原料となるリンです。アポロ計画で持ち帰られた月の石にもアパタイトがわずかに含まれていて、その中に閉じ込められた水から、月には考えられていたより多くの水がある可能性が示されました。
宝石としてのアパタイトの色は、青、青緑、緑、黄、紫、ピンク、褐色、無色など、幅があります。
硬さ5——モース硬度の「ものさし」の石
アパタイトのモース硬度は5です。モース硬度は、10の鉱物を基準にして硬さを10段階で表すもので、アパタイトはその「5」の基準になっている鉱物です。つまり、硬さ5のものさしそのものです。水晶(7)よりかなり軟らかく、もろい性質もあります。
- モース硬度の10の基準
1 滑石、2 石膏、3 方解石、4 蛍石、5 燐灰石(アパタイト)、6 正長石、7 石英(水晶)、8 トパーズ、9 コランダム、10 ダイヤモンド。 - 身近なものとくらべると
人の爪は2.5、銅の硬貨は3.5、ガラスは5、ナイフの刃は5.5ほどとされます。アパタイトはガラスと同じくらいの硬さで、ナイフの刃でも傷が付きます。
国際宝石協会や米国宝石学会の解説では、アパタイトは酸や熱、衝撃に弱く、急な温度の変化で傷むことがあるとされています。色をよくするために加熱されることがあり、とくに青や青緑の石で行われます。割れ目に油を含ませた例も報告されています。
ブレスレットの扱い方
- 水晶などの硬い石と一緒にしまわない。水晶は7、アパタイトは5なので、ぶつかるとアパタイトに傷が付く
- 水晶のさざれ石の上に置くなら、動かさない。やわらかい布を一枚挟むと安心
- 洗うなら、ぬるま湯と中性洗剤でさっと。熱いお湯、酸性の洗剤、超音波やスチームの洗浄機は使わない
- 夏の車の中や暖房器具のそばに置かない。熱と急な温度変化を避ける
ゴムのひもは、ポリウレタンでできたオペロンがよく使われています。ポリウレタンは光や湿気、化粧品で少しずつ傷むので、汗をかいた日は乾いた布でふき、ひもが伸びてきたら早めに通し替えてください。
外したほうがよい場面
硬さ5で衝撃や熱に弱い石なので、次のような場面では外しておくと長持ちします。
- 家事のとき
食器洗いでは、お湯や洗剤、食器とのぶつかりが重なります。掃除で酸性の洗剤を使うときも外します。 - 運動や力仕事のとき
手首を打ちつけたり、ほかの物とこすれたりしやすい場面です。もろい石なので、強くぶつけると欠けることがあります。 - 入浴やサウナのとき
熱いお湯や急な温度の変化は、アパタイトが苦手とするものです。 - かばんやポケットに入れて持ち歩くとき
ナイフの刃でも傷が付く硬さなので、金属の鍵やファスナーと一緒に入れないようにします。持ち歩くなら、布の袋に入れてから。 - 香水やハンドクリームを使うとき
宝石の手入れの解説では、香水やヘアスプレーは、ブレスレットを着ける前に済ませるよう勧められています。
外したブレスレットは、ほかのアクセサリーとぶつからないよう、布の袋や仕切りのある箱に一本ずつしまいます。毎日同じ場所に戻すようにすると、失くすことも減ります。
よくある質問
Q. アパタイトのスピリチュアルな意味は何ですか?
A. 英語圏の石の解説では、人前で話すことを助ける石、意欲を高める石、実現の石などとして紹介されます。日本の石言葉には「信頼」「調和」「絆」「自信」などがあります。意味は解説によって違います。
Q. アパタイトという名前の由来は?
A. ギリシャ語で「だます」を意味する言葉からです。ほかの鉱物とよく取り違えられたため、1786年にドイツの鉱物学者ヴェルナーが名付けました。
Q. 歯の成分と同じというのは本当ですか?
A. 本当です。歯のエナメル質や象牙質の主な成分であるヒドロキシアパタイトは、アパタイトの仲間です。
Q. 水晶のさざれ石の上に置いても大丈夫ですか?
A. アパタイト(硬さ5)は水晶(7)より軟らかいので、置いたまま動かすと傷が付きます。置くなら動かさないか、やわらかい布を挟んでください。
Q. 喉のチャクラの石、というのは昔からの考え方ですか?
A. チャクラはインドの古い考え方ですが、チャクラと石を結び付けるのは、20世紀以降に西洋で加わった読み方です。
Q. アパタイトの色は、処理されていることがありますか?
A. 青や青緑のアパタイトは、色をよくするために加熱されることがあります。割れ目に油を含ませた例も報告されています。気になる場合は、処理の有無を販売店に尋ねてください。


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