スピリチュアルの本やサイトを読んでいると、カタカナの用語が次々に出てきます。「古代から伝わる知恵」と紹介されることが多いのですが、調べてみると、意外に新しい言葉も少なくありません。
ここでは、よく使われる用語を、辞典での意味と、いつ・どこから来た言葉かに分けて並べました。言葉の出どころが分かると、同じ説明を読んでも、どこまでが古い伝統で、どこからが後の読み方かが見分けやすくなります。
体とエネルギーの言葉

- チャクラ
サンスクリット語で「輪」。ヨガで、体の中心線に沿って並ぶ生命エネルギーの中枢とされます。古いヴェーダ文献のチャクラは「車輪」の意味だけで、体の中の中枢として出てくるのは紀元8世紀ごろの仏教の密教の文献からです(数は4つ)。西洋には1880年代の神智学を通して伝わり、1919年のウッドロフの英語の本で広く知られました。色を一つずつ当てる形は1930年代に、色と性質を並べた一覧が一緒に印刷されたのは1977年とされています。 - オーラ
人の体を取り巻くとされる光の層。色に意味を当てる考え方は、1905年の神智学の本の25色の表がもとです。暗い部屋で「見える」人を確かめた試験では、偶然と同じ程度の結果でした。 - グラウンディング
「地に足をつける」という意味で使われます。1950年代に心理療法家のローウェンらが始めた、体を使う療法の考え方から来ています。 - 波動
物理学では、ある状態の変化が周りへ伝わっていく現象のことです。スピリチュアルで「波動が高い」と言うときの意味は、物理学の波動とは別のものです。
人と魂の言葉
- ソウルメイト
英語の古い用例は1822年の詩人コールリッジの手紙です。辞書の意味は「深い親しみを感じる相手」で、恋愛相手に限りません。 - ツインレイ(ツインフレーム)
英語圏では「ツインフレーム」が一般的で、1886年の小説に出てくる語です。いまの意味は1970年代から1999年にかけての著書で広まりました。ツインレイは日本で広まった呼び方です。 - ハイヤーセルフ
「より高い自己」。1889年の神智学の本ですでに使われている言葉で、ニューエイジで生まれた言葉ではありません。 - インナーチャイルド
「内なる子ども」。心理療法の本の中で使われ、1963年の本に早い例があり、1990年の本で広く知られました。心の状態を言い表す比喩で、測ることのできる概念ではありません。 - インディゴチルドレン
1970年代に、ある人物が人のオーラの色で性格を分けた説が始まりで、1999年の本で広まりました。その本は注意欠如・多動症と結びつけていましたが、存在を裏づける科学的な研究はありません。 - スターシード
宇宙から来た魂を持つとされる人。地球外の存在に由来する人々という考えは、1976年の本から広まったとされています。いまの意味で使われ始めた時期は確かめられませんでした。 - ライトワーカー
世の中に光をもたらす役目を持つ人、という意味で使われます。語源はたどれませんでしたが、1990年代には本の題名に使われていました。
法則と出来事の言葉
- カルマ(業)
サンスクリット語で「行為」。インドで生まれ変わりの考え方とともに理論になり、仏教では「業」と訳されました。「乱れた均衡を取り戻す法則」という説明は、1889年に神智学が加えた読み替えです。 - 因果応報
仏教の言葉で、善悪の行いに応じて報いを受けること。いまでは悪い行いに悪い報いがある、という意味で使うことが多い言葉です。 - シンクロニシティ
「意味のある偶然の一致」。心理学者ユングが1930年の講演から使い、1952年に物理学者パウリとの共著でまとめました。 - 引き寄せの法則
思いが似たものを引き寄せる、という考え方。19世紀アメリカのニューソートの著作に出てきて、1906年には「思考の振動」と題した本も出ています。2006年の映画『ザ・シークレット』で広く知られました。科学的な裏づけはありません。 - アセンション
もとは「上昇」「昇天」の意味です。肉体ごと高い次元に上がるという意味は1930年代のアメリカの宗教運動から、地球全体の意識が変わるという意味は1970年代以降、マヤ暦の周期と結びつけて広まりました。マヤの研究者は、古代マヤにそうした予言はないと否定しています。 - アカシックレコード
宇宙のすべての出来事が記録されているとされる場所。アーカーシャは「空」の意味です。1880年代から1900年代の神智学やシュタイナーの著作で広まりました。存在を示す証拠はないとされています。 - エンジェルナンバー
繰り返し見る数字に天使の知らせを読む考え方。1999年のドリーン・バーチューの本から広まりました。ユングのシンクロニシティとは別の考え方です。
言葉そのものの出どころ
- スピリチュアル
ラテン語のスピリトゥス(息、呼吸)から来た言葉で、そこから霊、魂、心の意味に広がりました。 - ニューエイジ
言葉の用例は19世紀からありますが、運動として広まったのは1970年代のアメリカです。もとになったのは19世紀の神智学でした。 - 精神世界
日本では1970年代に「精神世界」という呼び方で本が広まりました。テレビや本による大きなブームは2000年代で、ピークは2007年ごろとされています。
「古代からの知恵」は、どこまで古いか
並べてみると、よく使う用語の多くが、19世紀の終わりから20世紀にかけて、西洋で作られたり意味を変えたりした言葉だと分かります。神智学(1875年に始まった思想運動)と、1970年代以降のニューエイジが、二つの大きな出どころです。
チャクラやカルマのように、インドの古い言葉がもとになっているものもあります。ただ、いま使われている意味は、もとの意味からかなり変わっています。「古代から伝わる」と書かれていても、どの部分が古く、どの部分が新しいのかは、言葉ごとに違います。
新しい言葉だから価値がない、という話ではありません。言葉の出どころを知っていると、説明に振り回されずに、自分に合うものを選べるようになります。
用語を使うときの気をつけどころ
- 「古代から」「科学的にも」という前置きは、その言葉の出どころで確かめる
- 同じ用語でも、本や人によって意味が違うことが多い
- 体や心の不調を、用語の意味で説明しきらない。続くときは医療の相談先へ
- 用語を理由に高額な品物やセッションを勧められたら、その場で決めない
よくある質問
Q. チャクラは古代インドから伝わる考え方ですか?
A. 言葉はインドのもので、体の中の中枢としてのチャクラは紀元8世紀ごろの仏教の密教の文献から出てきます。古いヴェーダ文献のチャクラは「車輪」の意味だけでした。色と性質の一覧は20世紀の西洋でまとまったものです。
Q. カルマとは、どういう意味ですか?
A. サンスクリット語で「行為」。仏教では「業」と訳されました。「乱れた均衡を取り戻す法則」という説明は、1889年に神智学が加えたものです。
Q. ハイヤーセルフはニューエイジの言葉ですか?
A. 1889年の神智学の本ですでに使われています。ニューエイジより古い言葉です。
Q. 引き寄せの法則は、いつからある考え方ですか?
A. 19世紀アメリカのニューソートの著作に出てきて、1906年には「思考の振動」と題した本が出ています。2006年の映画『ザ・シークレット』で広く知られました。
Q. アセンションとは何ですか?
A. もとは「上昇」「昇天」の意味です。1930年代の宗教運動や、1970年代以降のマヤ暦と結びついた考え方を通して、意識が高い次元に上がるという意味で使われるようになりました。
Q. 日本でスピリチュアルが広まったのはいつですか?
A. 1970年代に「精神世界」の本が広まり、テレビや本による大きなブームは2000年代で、ピークは2007年ごろとされています。


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