感受性が強く、正義感があり、決まりごとや権威になじめない。そんな子どもや大人を「インディゴチルドレン」と呼ぶ考え方があります。特徴を読んで、自分や自分の子どものことかもしれない、と感じた人もいるでしょう。
ここでは、インディゴチルドレンという言葉を誰が言い出し、どの本で広まったのかを確かめます。この考えを子どもの発達の特性と結びつけることへの指摘、困ったときの公的な相談先もまとめます。
インディゴチルドレンとは

インディゴチルドレンは、藍色(インディゴ)のオーラを持つとされる子どもたちのことで、霊的に進んだ新しい世代だと信じる考え方です。辞典をまとめたコトバンクに項目はなく、日本語の学術論文も見当たりません。その存在や特徴を裏づける科学的な研究はない、と説明されています。
言い出した人
インディゴチルドレンは、アメリカのナンシー・アン・タッペが1970年代に言い出したとされます。タッペは、人をオーラの色で分ける独自の考え方を持ち、自らを共感覚者で霊能者と称していた人物で、1982年にその考えをまとめた本を自費で出しました。もとの記事はこれを「研究」と書いていましたが、科学的な研究ではありません。
1999年の本で広まった
この考えを広めたのは、リー・キャロルとジャン・トーバーの共著『インディゴ・チルドレン』(原書は1999年、アメリカのヘイハウス)です。日本語版は2001年にナチュラルスピリットから出ています(愛知ソニア訳、335ページ)。キャロルは、クリヨンという存在の言葉を伝えるとする本を1993年から出している人でもあります。
その後、ドリーン・バーチューが2003年に『クリスタル・チルドレン』(日本語版2004年)を出すなど、似た考えが続きました。日本では2009年と2017年に、インディゴ・チルドレンを副題に入れた本も出ています。
発達の特性との関係をめぐる指摘
1999年の本は、インディゴチルドレンを、注意欠如・多動症(注意力や落ち着きにかかわる発達の特性)の診断と結びつけて説明しました。もとの記事は、この重なりを「障害があるのではなく、時代を先取りした魂」という見方としてだけ紹介していました。
けれども、まさにこの点が批判されてきました。アメリカの精神保健の専門家は、手のかかる子どもを「インディゴ」と呼ぶことで、必要な診断や治療が遅れるおそれを心配している、と報じられています。宗教学の論文も、注意の障害の診断を受けた子どもを、この考えによって「よい子」と読み替える働きがあると論じています。
2017年に出た宗教学者の学術書は、インディゴの考えが、注意欠如・多動症や自閉症を読み替えるのにも使われていると紹介しています。信じる人たちの本では、インディゴは1980年代の初めから生まれているとされる、とも書いています。もとの記事の「1970年代から1990年代に多く生まれた」という説明には、根拠が見つかりませんでした。
前向きに受け止めることの研究
子どもの特徴を前向きに受け止めること自体は、悪いことではありません。2013年のアメリカの研究では、注意欠如・多動症と診断された7〜12歳の子どもの親を比べました。診断を受けたうえで、子どもの行動を前向きな特徴の表れと受け止めている親(インディゴと呼んでいた36人)は、子どもとの嫌な経験が少なく、子どもの将来も明るく見ていました。
ただし、この研究の子どもたちは全員、診断を受けています。診断の代わりにインディゴという呼び名を使った例ではありません。また、一度だけの質問紙の調査なので、前向きな受け止めが原因で親子関係がよくなった、とまでは言えません。相談や診断を受けたうえで、子どものよいところを見る。研究から言えるのは、そういう形です。
よく見かける説明を確かめる
- 「インディゴは第三の目のチャクラの色」… チャクラに虹の色を一つずつ当てる方式は20世紀の西洋で作られ、色と性質の一覧が一緒に印刷されたのは1977年
- 「とても敏感な人(感覚処理感受性の高い人)と重なる」… この言葉は1997年の性格特性の研究から来たもので、インディゴと重なるとする研究は見つからなかった
- 「直感が正しかった経験を何度も積んでいる」… 当たった経験ばかり覚えている確証バイアスで説明できる
- 「特徴に多く当てはまればインディゴかもしれない」… だれにでも当てはまる説明を自分のことだと感じるバーナム効果の形
子どもの発達で困ったときの相談先
国立精神・神経医療研究センターは、注意欠如・多動症を、家庭や学校など複数の場面で、落ち着きがない、待てない、注意が続きにくいといった特性が見られるもの、と説明しています。幼児期や学童期は、環境を整えたり、褒め方を工夫したりすることが中心で、親向けのペアレント・トレーニングもあります。薬は症状をやわらげるもので、根本から治すものではないとされます。
- 発達障害者支援センター
都道府県と政令指定都市にある専門の相談機関。本人だけでなく家族も相談でき、電話でも受け付けている。全国の一覧は国立障害者リハビリテーションセンターのサイトにある - 市区町村の母子保健の窓口
1歳6か月と3歳の健診は、法律で市町村が行うことになっている。健診のときや、それ以外の時期にも相談できる - こども家庭センター
妊娠から子育てまでを切れ目なく支える市区町村の窓口。2024年4月から設置に努めることになり、2024年5月時点で約半数の市区町村にある - 発達障害ナビポータル
国が運営する発達障害の情報サイト。相談先や支援の情報がまとまっている
こども家庭庁のサイトには、自治体ごとの子育ての相談窓口の一覧もあります。大人が自分のことで生きづらさを感じているときは、厚生労働省の「まもろうよ こころ」に相談窓口がまとまっています。
インディゴチルドレンという考えとのつきあい方
インディゴチルドレンは、1970年代のアメリカで生まれ、1999年の本で広まった考えです。子どもの感じやすさや、周りになじめなさに前向きな意味を与えてくれるものとして、受け止める人もいます。
ただ、その呼び名が、困っている子どもに必要な支援から遠ざける理由になってはいけません。子どもの特性で心配なことがあれば、まず身近な相談窓口に話してみてください。そのうえで、子どものよいところを大切に見ていけばよいのです。
よくある質問
Q. インディゴチルドレンとは何ですか?
A. 藍色のオーラを持ち、霊的に進んだ世代だとされる子どもたちのことです。1970年代に言い出され、1999年の本で広まりました。存在を裏づける科学的な研究はありません。
Q. インディゴチルドレンは誰が言い出したのですか?
A. ナンシー・アン・タッペが1970年代に言い出したとされます。広めたのは、リー・キャロルとジャン・トーバーの1999年の本です。
Q. インディゴチルドレンと注意欠如・多動症は関係がありますか?
A. 1999年の本は両者を結びつけましたが、専門家は、インディゴと呼ぶことで必要な診断や支援が遅れるおそれを指摘しています。
Q. 子どもがインディゴチルドレンかもしれません。
A. 判定する方法はありません。発達のことで心配があれば、発達障害者支援センターや市区町村の母子保健の窓口に相談してください。
Q. インディゴチルドレンの日本語の本はありますか?
A. 原書の日本語版『インディゴ・チルドレン』が2001年にナチュラルスピリットから出ています。
Q. 子どもの特徴を前向きに見るのはよくないのですか?
A. よくないわけではありません。診断を受けたうえで子どもの行動を前向きに受け止める親は、親子の嫌な経験が少ないという研究もあります。


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