アセンションとは|辞典の意味は「昇天」、1930年代の運動から2012年のマヤ暦まで、日本で本が出た時期と「症状」の受診の目安

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スピリチュアル基礎

アセンションという言葉は、スピリチュアルの世界では、意識が高い次元に上がること、地球全体が次元上昇すること、といった意味で使われます。けれども、辞書で引くと出てくるのは「上昇」と、キリスト教の「昇天」です。

ここでは、辞典とカトリック中央協議会の説明から言葉のもとの意味を確かめ、肉体ごと高い存在に上がる、地球全体が変わる、という意味がいつ、どこから加わったのかを、アメリカの最高裁判所の判決や、アメリカ航空宇宙局、国立天文台の説明でたどります。日本でアセンションの本が出た時期は、国立国会図書館の書誌で調べました。「アセンション症状」と呼ばれる体の不調についても、受診の目安を紹介します。

辞典の意味は「上昇」と「昇天」

アセンションとは|辞典の意味は「昇天」、1930年代の運動から2012年のマヤ暦まで、日本で本が出た時期と「症状」の受診の目安のイメージ

英和辞典では、アセンションはまず「上昇」「登ること」で、天文学では、星が地平線の上へ昇ることも指します。もう一つの意味が「キリストの昇天」と、それを祝う昇天日です(プログレッシブ英和中辞典)。

国語辞典の「昇天」には、天高くのぼること、キリスト教でイエス・キリストが復活してから40日目に天にのぼったこと、の二つの意味があり、転じて、人が死んで魂が天にのぼることも言います(デジタル大辞泉)。日本大百科全書は、キリスト教の昇天を、肉体の死を経ずに天に昇ることと説明し、旧約聖書のエノクやエリヤの話も挙げています。新約聖書では、マルコによる福音書16章19節や使徒行伝1章9〜11節に、弟子たちの見ている前でイエスが天に上げられた、と書かれています。

聖母マリアについては、カトリックに別に「被昇天」という教義があり、祝日は8月15日です(世界大百科事典)。イエスの昇天とは区別されています。

「昇天」という言葉そのものは古く、日本国語大辞典は、892年ごろの漢詩集『田氏家集』の用例を挙げています。明治の初めには、西周の講義録『百学連環』(1870〜71年ごろ)に、英語のアセンションに「昇天」を添えた一文があります。

もとの記事は、キリスト教の昇天や仏教の解脱を、昔から世界中で語られてきた「精神的な上昇」の例として並べ、それが今のアセンションになった、と書いていました。けれども、辞典の言う昇天は、復活したイエスが天に上げられた一回の出来事を指す言葉で、意識が段階を追って高まっていく過程のことではありません。仏教の解脱も、生まれ変わりの輪から抜け出すことで、上へ昇ることとは考え方が違います(魂レベルの記事)。

主の昇天の祭日は、日本の教会では日曜日

カトリック中央協議会によると、主の昇天は、キリストが死んで3日目に復活し、40日目に天に昇ったことを記念する祭日です。典礼の暦では、伝統的に、復活の主日(復活祭)から数えて40日目の木曜日に祝ってきました。

ただ、日本のように平日に教会へ集まりにくい事情を考えて、第二バチカン公会議のあとの暦の改定で、主の昇天の祭日を、復活節の第7主日、つまり日曜日に移せるようになりました。カトリック中央協議会の移動祝祭日の表では、主の昇天は2026年が5月17日、2027年が5月9日で、どちらも日曜日です。木曜日に数えると、2026年は5月14日、2027年は5月6日にあたります。

ブリタニカ国際大百科事典は、昇天祭を、4世紀にさかのぼる大きな祭日の一つとしています。キリスト教のアセンションは、千年を大きく超えて祝われてきた、特定の出来事の名前です。

「肉体ごと高い存在に上がる」という意味は、どこから来たか

スピリチュアルのアセンションにつながる流れの一つは、19世紀の神智学です。1875年、ブラヴァツキー夫人がオルコットとニューヨークで神智学協会を作りました。ブラヴァツキーは、宇宙と人間の起源についての秘密が、太古から特定の秘儀参入者たちのあいだで伝えられてきた、と説きました(世界大百科事典)。

この流れを受けて、1930年代の初めにアメリカのシカゴで始まったのが、ガイ・バラードと妻エドナの「アイ・アム」運動です。バラードはゴッドフリー・レイ・キングという筆名で本を書き、肉体を持ったまま高い境地に上がったとされる「アセンデッドマスター」から教えを受けた、と説きました。この教えでは、アセンションは修行の高い段階を指す言葉として使われます。用語どうしの違いは、混同しやすい用語の記事にもまとめています。

この運動は、アメリカの裁判の歴史にも名前を残しています。運動を広めるのに郵便を使った詐欺の罪に問われた、バラードの妻と息子の事件で、連邦最高裁判所は1944年4月24日に判決を出しました。起訴状が「偽りの表示」として挙げた18の項目には、ガイ・バラードがアセンデッドマスターに選ばれた使者で、その言葉が彼を通じて人類に伝えられる、という話や、医者が治らないとする病気も一家の3人が治せる、という話が並んでいました。

最高裁は、宗教の教えが本当かどうかを陪審に判断させてはならない、としました。判決には、人は証明できないことも信じてよい、という趣旨の一文があります。そのうえで、本当に信じていたかどうかだけを問うた一審のやり方を認め、事件を控訴裁判所に差し戻しました。事件はその後、1946年の最高裁の判決で、陪審の候補から女性が外されていたことを理由に、起訴そのものが退けられています。

キングの名前で出た講話集は、2019年に『マスター・サン・ジェルマンの教え』として日本語に訳されました。国立国会図書館の書誌で、書名に「アセンデッド」を含むスピリチュアルの本が現れるのは、2020年からです。

地球全体の意識が変わる、という話と2012年

地球全体の意識が変わる、という意味が加わったのは、1970年代以降、古代マヤの暦と結びついてからです。1975年にニューエイジの書き手が、マヤの暦の周期の終わりを地球規模の意識の変容と結びつけ、1987年のホゼ・アグエイアスの本で広く知られるようになりました(用語一覧の記事)。

2012年12月21日に何かが起きる、という話について、アメリカ航空宇宙局は2012年12月22日に解説を出しています。考古天文学の研究所の所長ジョン・カールソンは、マヤの暦はその日に終わっておらず、その日に世界の終わりを告げるマヤの予言もなかった、と述べています。同局は、台所のカレンダーが12月31日でなくならないのと同じで、その日はマヤの長期暦の一つの周期の終わりで、次の周期が始まるだけだ、と説明しました。

同じ解説によると、2012年の終末の話は、もとは古代のシュメール人が見つけたという惑星ニビルが地球に向かってくる、という話から始まりました。最初は2003年5月に起きるとされ、何も起きなかったので2012年12月に移され、マヤの暦の周期の終わりと結びつけられたといいます。同局は、ニビルはネットのデマで、この先数十年は惑星が一直線に並ぶこともない、としています。

日本では、地球が「フォトンベルト」という光の帯に入る、という話も2012年と結びつけて語られ、2003年にはその題名の本が出ています。国立天文台は、フォトンベルトというものはなく、科学的な根拠のない話の例だ、と答えています。そうした天体が観測されたという正式な報告はなく、ある程度の質量を持つ天体があれば、ほかの天体の動きに影響するので、長いあいだ気づかずにいることはない、という説明です。

もとの記事は、2012年を境に多くの人が目覚めを経験し始めた、今では長い時間をかけたプロセスと見るのが主流だ、と書いていましたが、どちらも出典は見つかりませんでした。

日本で「アセンション」の本が出た時期

国立国会図書館の書誌で、書名に「アセンション」を含む本を古い順に見ると、スピリチュアルの意味で最も早いのは、1994年6月に出たボブ・フィックスの『アセンション』の日本語訳です。1996年から1999年にかけて翻訳書が続き、2000年11月には、ジョシュア・デイヴィッド・ストーンの『完全アセンション・マニュアル』が訳されました(原書は1994年)。1997年と1998年には「イシャヤ・アセンション」という瞑想法の本も出ていて、こちらは少し意味が違います。

「次元上昇」が書名に入る本では、1999年7月の西園寺昌美『次元上昇』が最も早いものでした。書名に「2012」が入るアセンションの本は、2003年5月のエハン・デラヴィ『フォトン・ベルトの真相』(副題に2012年12月22日の日付が入る)が最初で、「5次元」が並ぶのは、2008年2月の浅川嘉富『5次元入門アセンション&アースチェンジ』が最初です。

件数で見ると、書名にアセンションを含む本は2009年から2013年に多く、2014年に減りましたが、2016年や2021年にもまた多く出ています(漫画などを含めた大まかな数)。日本でスピリチュアルの本やテレビの大きなブームがあったのは2000年代で、ピークは2007年ごろとされます。アセンションの本は、それより少し遅れて、2012年の前後に多く出たことになります。

「地球の周波数」と「磁場」の話を確かめる

もとの記事は、シューマン共鳴(地球の電磁波の共鳴)の上昇がアセンションのしるしだと考える人もいる、と書いていました。アメリカ航空宇宙局の解説によると、地球ではいつも約2,000の雷雨があり、毎秒約50回の稲妻が光っています。稲妻が出す電磁波は、地面と上空約97キロの電離層の下の端とのあいだを回り、地球一周の長さに合う波長のものが重なって強め合います。これがシューマン共鳴で、最も低いものは約8Hzです。

シューマン共鳴は1952年に予言され、1960年代の初めに確かに測られました。季節や太陽の活動、地球の磁気の状態、大気中の水滴などによって変動することが分かっています。周波数を決めているのは地球の大きさで、人の意識と結びつける資料も、上がり続けているという資料も見つかりませんでした。

地球の磁場の変化についても、同局の2012年の解説があります。地球の磁石の向きは不規則に入れかわり、逆転は平均40万年に一度です。逆転で生き物に害が出ることは知られておらず、この先数千年のうちに起きる可能性はとても低い、とされています。太陽の活動はおよそ11年の周期で強まり、2012年に特別な危険はなかった、とも書かれています。

感情に周波数がある、恐れは低い周波数だ、という言い方も、物理学の周波数(1秒あたりの振動の回数)とは別のものです(用語のちがいの記事)。

「アセンション症状」と言われる体の不調

もとの記事は、耳鳴り、頭痛、だるさ、睡眠の乱れ、感情の波、急な涙などを「アセンション症状」として挙げていました。この呼び名がいつ、どこで使われ始めたのかは、たどれませんでした。挙げられているのは、どれも病気でも起こる症状です。

耳鳴りで気をつけたいのが、突発性難聴です。厚生労働省の健康情報サイトによると、突然、片方の耳が聞こえにくくなる病気で、耳が詰まった感じや耳鳴り、めまい、吐き気を伴うことが多く、耳鳴りで受診したら突発性難聴だった、という人もいます。すぐに治療しないと、難聴や頑固な耳鳴りが残ったり、聞こえなくなったりすることもあります。発症から1週間以内に適切な治療を受けると、約40%が完治し、50%に何らかの改善がみられる、とされています。

頭痛では、日本頭痛学会が、いつもと違う突然の強い頭痛はくも膜下出血のおそれがあるので病院に行くよう呼びかけています。眠れない日や気分の落ち込みが続くときも、変化のしるしと受け止める前に、まず休むこと、相談することを先にしてください。

急に片方の耳が聞こえにくくなった、耳鳴りやめまいが出たというときは、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。突然の強い頭痛、顔の片側がゆがむ、ろれつが回らないといったときは、すぐに救急車を呼んでください。迷うときは救急安心センター(♯7119)に相談できます。気持ちのつらさが続くときは、厚生労働省の「まもろうよ こころ」で相談先を探せます。

アセンションという言葉とつきあうために

もとの記事は、毎朝や毎晩に感謝を3つ書き出すことが、意識の周波数を高める、と勧めていました。感謝を書く取り組みの研究をまとめた2016年の分析では、何もしない比較と比べて幸福感が少し上がりましたが、別の心理的な取り組みと比べると差はありませんでした。続けて損のない習慣ですが、周波数とは関係のない話です。

アセンションという言葉の中身は、時代とともに変わってきました。キリスト教の昇天、1930年代の運動の教え、1970年代以降のマヤの暦の話、2000年代から2010年代の日本の本と、どこから来た意味なのかを分けて読むと、いつ起きるのか、何か準備がいるのか、と不安になる必要は小さくなります。2012年に起きると言われていたことは、起きませんでした。

神智学から、アメリカやイギリスのニューエイジ、日本の新しい宗教までの流れをたどった本に、宗教学者の大田俊寛さんの『現代オカルトの根源』(ちくま新書、2013年)があります。出版社の目次には、ブラヴァツキー夫人の神智学の章や、アグエイアスによるマヤの暦と2012年の終末を扱った節が並んでいます。

よくある質問

Q. アセンションのもとの意味は何ですか?

A. 英語では「上昇」と「キリストの昇天」です。国語辞典の昇天は、復活したイエスが40日目に天にのぼったことで、意識が高まっていく過程を指す言葉ではありません。

Q. 主の昇天の祭日はいつですか?

A. 伝統的には復活祭から40日目の木曜日ですが、日本のカトリック教会は日曜日に移して祝っています。2026年は5月17日、2027年は5月9日です。

Q. 2012年にアセンションは起きたのですか?

A. アメリカ航空宇宙局は、マヤの暦は2012年12月21日に終わっておらず、終末を告げるマヤの予言もなかったと説明しています。その日は長期暦の一つの周期が終わり、次の周期が始まっただけです。

Q. シューマン共鳴が上がっているのは、アセンションのしるしですか?

A. シューマン共鳴は、雷の電磁波が地球一周の長さに合って強め合う現象で、最も低いものは約8Hzです。季節や太陽の活動で変動しますが、人の意識と結びつける資料は見つかりませんでした。

Q. 耳鳴りや頭痛は「アセンション症状」ですか?

A. そう確かめた資料はありません。突然の耳鳴りや聞こえにくさは突発性難聴のことがあり、1週間以内の治療が大切です。いつもと違う突然の強い頭痛は、すぐに病院へ行ってください。

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