パワーストーンのブレスレットの付け方|「左手は受け取る」の出どころ、金具のかぶれと検査の前に外すもの、腕時計やお風呂で傷む理由

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パワーストーン

パワーストーンのブレスレットは、左手と右手のどちらに着けるのか。調べると、「左手は受け取る手、右手は出す手」という説明をよく見かけます。けれども、その決まりがいつ、どこから来たのかを書いた解説は、ほとんど見当たりません。

ここでは、左右の決まりを、英国の手相の本とアメリカの石の魔術の事典までさかのぼって確かめます。あわせて、日本皮膚科学会の金属のかぶれの説明、病院と磁気治療器のメーカーの注意、宝石学の硬さの目安をもとに、着けたままにしないほうがよい場面と、その理由をまとめます。石の浄化やゴムの手入れは、浄化の記事に分けて書いています。

「左手は受け取る手」は、どこから来た決まりか

パワーストーンのブレスレットの付け方|「左手は受け取る」の出どころ、金具のかぶれと検査の前に外すもの、腕時計やお風呂で傷む理由のイメージ

もとの記事は、左手は受け取る手、右手は発信する手という考え方を、東洋と西洋を問わず語り継がれてきたものとして書き、よくある質問では、厄除けや浄化が目的なら右手、とまで決めていました。たどってみると、決まりの形はそれほど古くなく、しかも左右ではなく、利き手で分けるものでした。

早い例の一つは、1901年にロンドンで出た、アルバート・ラファエルの手相の本です。右利きの人では、大きいほうの手が「能動の手」で、その人が自分の意志でなっていく姿を表し、左手は受け身で受け取る手で、親から受け継いだものや、人の影響に従ったときの姿を表す、と書かれています。右手のほうが受け身の人では、これが逆になる、とも説明しています。

利き手を能動、反対の手を受け身とし、左利きでは入れかわる、という分け方は、このころすでにあったことになります。ただし、これは手相で性格を読むための区別で、石の力が手から出入りするという話ではありません。

石を持って力を送る、受け取る、という形で確かめられた最も早い例は、アメリカで現代の魔女術(ウィッカ)の本を多く書いたスコット・カニンガムが、1988年に出した石と金属の魔術の事典です。そこでは、石を「送る手」に持つよう書かれていて、送る手はふつうは右、左利きなら左とされています。カニンガムは、食べ物の魔術の本(1991年)などでも、送る手を字を書く手とし、受け取る手をその反対の手として説明しています。

つまり、もとの形は「左手は受け取る」ではなく、「利き手でないほうが受け取る」です。右利きの人なら左手が受け取る手になるので、日本でよく見る説明と同じになります。この考えが、どの本を通じて日本に広まったのかは確かめられませんでした。東洋の言い伝えとしての出どころも、厄除けなら右手という決まりの出典も、見つかりませんでした。

石の効き目そのものを確かめた試験もあります。大人138人に、本物のローズクォーツか、見た目をそろえた偽物を14日間持ってもらった2025年の無作為化比較試験では、二つの群に差はなく、不安が下がったのは石の力を信じている人だけで、本物か偽物かとは関係がありませんでした。着ける手によって石の働きが変わるかどうかを調べた研究は、見つかりませんでした。

どちらの手に着ければいいか

決まりが一つではない以上、どちらの手に着けてもかまいません。言い伝えに沿いたいなら、利き手でないほうを受け取る手と考えるのが、もとの形に近い選び方です。使いやすさで言えば、字を書く、包丁を使う、マウスを動かすといった作業は利き手ですることが多いので、利き手でないほうに着けると、机や道具にぶつける場面を減らせます。ただ、そちらの腕に腕時計をしているなら、あとで見る傷の心配があります。

金具と汗で、かぶれることがある

ブレスレットの石は天然の鉱物でも、玉のあいだの飾りや留め具、チャームには金属が使われています。日本皮膚科学会は、アクセサリーや時計、コイン、革製品などに含まれる金属が、汗などで溶け出して、かぶれ(接触皮膚炎)を起こすと説明しています。

日本の接触皮膚炎の研究班は、1994年から、かぶれの原因を調べる全国調査を続けています。検査で陽性になる人が多い上位5つは、硫酸ニッケル、金チオ硫酸ナトリウム、ウルシオール、パラフェニレンジアミン、塩化コバルトです。このうちウルシオールは漆の成分、パラフェニレンジアミンは毛染めの成分で、金属はニッケル、金、コバルトの三つです。

同学会は、ピアスなどの装身具をニッケルを使わないものにすると、ニッケルのアレルギーになる人は減る可能性が高い、としています。ニッケルを使わない装身具や日用品が広まったスイスでは、1990〜1994年に、ニッケルとコバルトの検査で陽性になる人の割合が下がる傾向がありました。日本でもニッケルを使わない装身具を日常的に使う必要がある、と同学会は書いています。金具を選べるなら、ニッケルを使っていないものを選ぶと安心です。

かぶれの治療で最も大切なのは、原因を見つけて取り除くことです。皮膚科では、いつ、どこに出たか、汗や日光と関係があるかなどを詳しく聞いて原因をしぼり、かゆみや湿疹には、ステロイドの塗り薬を使います。ゴム製品に使われる薬品でかぶれることもありますが、ブレスレットのゴムにそうした薬品が入っているかどうかは、確かめられませんでした。

ブレスレットを着けたところがかゆい、赤くなった、ぶつぶつが出たというときは、まず外してください。外しても治らない、くり返すというときは、皮膚科で相談してください。原因の物質は、肌に貼って反応を見るパッチテストという検査で調べられます。

磁石の入ったブレスレットと、MRIの検査

パワーストーンと並んで、磁石を入れたブレスレットも売られています。こりや血行に働くものとして売られている品の一つに、家庭用永久磁石磁気治療器という家庭用の医療機器があります。日本ホームヘルス機器協会の一覧では、その効能は「装着部位のこり及び血行の改善」です。

腕用の磁気アクセサリーを作っているメーカーは、家庭用永久磁石磁気治療器の使用上の注意として、次のような項目を挙げています。

  • ペースメーカーなど、電磁波の影響を受けやすい、体の中に植え込む医療機器を使っている人は使わない。
  • 磁気で圧を調節する、脳と脊髄の液を流すための管(シャント)を入れている人は使わない。
  • 時計や磁気カードなど、磁気の影響を受けるものに近づけない。
  • MRIの検査を受ける人は、検査の前に使うのをやめる。
  • 皮膚の弱い人は、同じところに続けて使わない。

MRI(磁気共鳴画像)の検査は、強力な磁石でできた筒の中に入って受けます。滋賀県立精神医療センターは、磁石に吸い寄せられる事故と、磁気によるやけどを防ぐため、アクセサリーや補聴器、ヘアピン、カードなどの金属類は、検査の直前に外すよう案内しています。関西ろうさい病院も、金属を着けたまま検査をすると、金属が磁石に引き付けられたり、金属が熱を持ってやけどをしたりするおそれがある、と説明しています。化粧品やカラーコンタクト、入れ墨の色素にも、金属を含むものがあるそうです。

天然石そのものを名指しして外すよう書いた病院の資料は、見つかりませんでした。ただ、金具や磁石の入ったブレスレットは、病院の言う外すものに当たります。検査の日は着けていかないか、着けていくなら検査の前に外し、石だけのものでも迷ったら、検査の担当者に見せて確かめてください。

体の中に医療機器や金属が入っている人は、MRIの検査を受ける病院に、必ず前もって伝えてください。磁石の入ったブレスレットやネックレスは、ペースメーカーなどを使っている人は使わないよう、メーカーが注意しています。

腕時計と同じ腕に重ねると、どちらかが傷む

ブレスレットと腕時計を同じ手首に重ねると、歩いたり手を動かしたりするたびに、石と時計がこすれ合います。どちらが傷つくかは、硬さで決まります。鉱物の硬さは、モース硬度という1〜10の目安で表し、硬いものが軟らかいものに傷をつけます。

  • 石英の仲間(7)
    水晶、アメジスト、シトリン、ローズクォーツ、タイガーアイは石英の仲間で、硬さは7です。
  • ふつうのガラスと鋼の刃物(5.5〜6)
    身近な物の硬さの目安として、百科事典はガラスを5.5、鋼の小刀を6としています。
  • サファイアガラス(9)
    高級な時計の風防に使われるサファイアガラスは、アルミナを大きな結晶にした人工の素材で、硬さは9とされます(時計店の説明)。
  • プラスチックの風防
    傷はつきやすいものの、磨けば傷を消せる、と時計店は説明しています。
  • 7より軟らかい石
    トルコ石とラピスラズリは5〜6、マラカイトは3.5〜4、真珠は2.5〜4、琥珀は2〜2.5です(米国宝石学会の学術誌の表)。

ここから分かるのは、石英の玉は、サファイアガラスには傷をつけにくい一方で、ふつうのガラスやプラスチックの風防、金属のケースやバンドには傷をつけうる、ということです。反対に、7より軟らかい石は、サファイアガラスや金属に当たると、石のほうが傷みやすくなります。

米国宝石学会も、硬い石をほかの石の隣にしまうと、傷をつけることがあると注意しています。外したブレスレットをしまうときも、ほかのアクセサリーと触れ合わないよう、袋や仕切りで分けておくと安心です。磁石の入ったブレスレットは、時計そのものにも影響します。メーカーが時計に近づけないよう注意しているので、腕時計とは別の腕に着けてください。

お風呂、温泉、プール、台所で外す理由

もとの記事は、入浴中や料理中は「なるべく外す」とだけ書いていました。外したほうがよい理由は、場面ごとに違います。

  • お風呂
    多くのブレスレットのゴムは、水分や熱で傷みやすいポリウレタンです(くわしくは浄化の記事)。石の中にも、アパタイトやオパールのように、急な温度の変化でひびが入りやすいものがある、と米国宝石学会は説明しています。
  • 温泉
    銀の表面が黒くなるのは、空気中の硫化水素などと反応して、硫化銀ができるためです(化学辞典)。硫黄泉は硫黄分を多く含む温泉で、硫化水素を含むものもあるので、銀の飾りや留め具は黒くなることがあります。
  • プールや塩素系の洗剤
    米国宝石学会は、塩素が金の地金を傷めることがあり、塩素や香水、化粧品が、真珠のように繊細ですき間の多い石を傷めたり変色させたりする、と説明しています。
  • 台所
    料理中に着けていると、熱や油はねにさらされる、と同じく米国宝石学会が注意しています。
  • 汗をかいたあと
    汗で溶け出した金属は、かぶれのもとになります。真珠も汗で傷みます。汗をかいた日は外して、乾いた布でふいておきます。
  • 寝るとき
    もとの記事は、寝ているあいだは石が吸い込んだエネルギーを出すので外すように、と書いていましたが、出典は見つかりませんでした。外すかどうかは寝心地で決めてかまいません。外すなら置き場所を決めておくと、なくしにくくなります(なくしたときの記事)。

もとの記事から直したところ

もとの記事は、左右の決まりを、東洋と西洋に共通する古い言い伝えのように書いていましたが、たどれたのは1901年の手相の本と1988年の魔術の事典で、どちらも左右ではなく利き手で分けていました。厄除けなら右手、という決まりの出典はありません。

石の選び方では、石の色と心の働きは深く結びついている、アメジストとシトリンは相性のよい組み合わせとして知られている、と書いていましたが、どちらも出典は見つかりませんでした。市場に出ているシトリンの多くは、加熱で黄色くした石です(シトリンの記事)。月光浴はどんな石にも使えるとも書いていましたが、屋外に置くと露がつきます。浄化を月に1〜2回、毎日着けるなら週に1回、という目安にも出どころはありませんでした。

本の紹介では、初心者からコレクターまで役立つ一冊として人気がある、と書いていましたが、中身も人気も確かめられませんでした。

左右の決まりの出どころの一つ、カニンガムの石と金属の魔術の事典は、『願いを叶える魔法のパワーアイテム事典』(白井美代子訳、パンローリング、2016年)として日本語に訳されています。副題によると、113の石と16の金属を扱う本です。左右の一節は英語の原書で確かめたもので、訳書でどのように訳されているかは確かめていません。石の力を説く魔術の本で、効き目を確かめた本ではないことも書き添えておきます。

よくある質問

Q. パワーストーンのブレスレットは、左右どちらの手に着けますか?

A. 決まった正解はありません。「左手は受け取る手」という説明は、利き手でないほうを受け取る手とする考え方がもとで、1901年の手相の本や1988年の魔術の事典に見られます。着けやすいほうでかまいません。

Q. 左利きの場合はどうなりますか?

A. もとの考え方では、左利きなら左手が送る手、右手が受け取る手になります。1988年の事典も、送る手はふつうは右で、左利きなら左としています。

Q. MRIの検査の日は外したほうがいいですか?

A. 金具や磁石の入ったブレスレットは外します。病院は、金属が磁石に引き付けられたり熱を持ったりするおそれがあるとして、アクセサリーを検査の前に外すよう案内しています。迷うときは検査の担当者に見せてください。

Q. お風呂や温泉に着けたまま入ってもいいですか?

A. 外すほうが無難です。ゴムは水分と熱で傷み、急な温度の変化に弱い石もあります。硫黄泉では、銀の飾りや留め具が黒くなることがあります。

Q. 腕時計と同じ腕に着けてもいいですか?

A. 硬さ7の石英の玉は、ふつうのガラスや金属に傷をつけることがあり、軟らかい石は逆に自分が傷みます。磁石の入ったものは時計に近づけないようメーカーが注意しているので、別の腕にすると安心です。

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