風の時代とは|2020年12月の木星と土星の会合が空ではやぎ座だった理由、約200年の数え方、1980年の天秤宮、日本で広まった時期と冥王星

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星読み・暦

「風の時代に入った」という言葉を、2020年の暮れごろから見かけるようになりました。西洋占星術の言葉で、木星と土星が空で同じ方向に並ぶ「大会合(グレート・コンジャンクション)」が、風の元素の区画で起こるようになったことを指します。

ここでは、2020年12月の空で実際に何が起きたのかを国立天文台の説明で確かめ、アメリカのジェット推進研究所が公開している天体の位置の計算で、会合の時刻と場所、過去から未来までの会合の並びを調べました。「約200年」という数の出どころと、日本で「風の時代」が本の題になった時期は、国立国会図書館の記録で確かめています。占星術の考え方と、天文の事実は分けて書きます。

「風の時代」は、占星術の区画の話

風の時代とは|2020年12月の木星と土星の会合が空ではやぎ座だった理由、約200年の数え方、1980年の天秤宮、日本で広まった時期と冥王星のイメージ

西洋占星術では、太陽が1年かけて通る空の道(黄道)を、春分の点から30度ずつ12の区画に分け、牡羊座、牡牛座と呼びます。正確には「宮(きゅう)」と呼ばれる区画で、夜空に見える星座そのものではありません(宮と星座のずれは太陽星座の記事で紹介しました)。12の宮は、火・地・風・水の四つの元素に三つずつ割り振られていて、風の宮は双子宮・天秤宮・水瓶宮です。

木星と土星は、約20年ごとに地球から見て同じ方向に並びます。占星術では、この会合がどの元素の宮で起こるかで時代の性格が決まると考え、地の宮での会合が続いた時代を「土の時代」、風の宮に移ってからを「風の時代」と呼びます。土は形あるものや所有を、風は情報やつながりを表す、と説明されます。こうした元素の意味づけは占星術の中で組み立てられた枠組みで、天体の観測から分かった性質ではありません。

2020年12月21日の夕方、南西の低い空で

国立天文台によると、木星と土星が最も近づいたのは日本時間の12月22日3時ごろでした。ただ、この時刻には二つの惑星は日本では地平線の下にあり、見ることはできませんでした。日本で最も近づいた姿が見られたのは21日の日の入り後で、二つの惑星は満月の見かけの直径の約4分の1、角度にして約7分まで近づいていました。22日の日の入り後もほぼ同じ眺めでした。

見られる時間は短く、日の入りの1時間後の高さは、東京で15度もない南西の低い空でした。望遠鏡を向けると、土星と木星、木星のまわりを回るガリレオ衛星が同じ視野に入る眺めでした。17日には、二つの惑星の近くに細い月も並んでいます。

最も近づいたときの離れは、角度で約6.1分(1分は1度の60分の1)でした。これより近い会合は1623年までさかのぼりますが、1623年の会合は太陽に近くて見にくかったため、見やすい近い会合としては1226年以来だった、と英語版の百科事典は説明しています。

区画は水瓶宮、空ではやぎ座だった

もとの記事は「2020年12月22日、木星と土星がみずがめ座で重なりました」と書いていましたが、夜空の星座で見ると、このとき二つの惑星はやぎ座にありました。国立天文台の12月の惑星情報は、土星は中旬に、木星は下旬に、いて座からやぎ座へ移ると説明しています。

「みずがめ座」は、占星術の区画のほうの話です。ジェット推進研究所の計算サービスで、地球から見た黄経(春分の点から黄道に沿って測った角度)を1時間ごとに調べると、二つの惑星の黄経がそろったのは世界時で12月21日18時台、日本時間では22日3時台で、黄経は300.49度でした。水瓶宮は300度から始まるので、宮で言えば水瓶宮の0度29分にあたります(計算)。同じ時刻、国際天文学連合が決めた星座の境界で見ると、二つの惑星はどちらもやぎ座の中にありました(計算)。

宮で見ると、土星は日本時間12月17日の午後に、木星は19日の夜に、山羊宮から水瓶宮へ移っていました(計算)。宮と星座が約1か月分ずれているのは、地球の軸の向きが約2万6000年かけてゆっくり回る歳差のためです。占星術の宮は春分の点を基準にしているので、夜空の星座から少しずつ離れていきます。

会合は、平均すると約19.86年ごと

二つの惑星が同じ方向に並んでから、次に並ぶまでの平均の間隔を、会合周期といいます。辞典によると、会合周期の逆数は、二つの惑星の公転周期の逆数の差で求められます。木星の公転周期は11.862年、土星は29.458年なので、1÷(1÷11.862−1÷29.458)で約19.86年、日数にして約7253日になります(計算)。土星の周期は、土星回帰の記事で年齢を計算したときにも使った数です。

実際の間隔は、軌道の形のゆがみなどで変わり、18年10か月から20年8か月まで幅があります。また、地球から見ると惑星はときどき逆向きに動いて見える(逆行する)ので、1回の会合が3回に分かれる年があります。1940年から41年、1980年から81年がそうでした(計算)。

同じ元素の宮をめぐる仕組みと、「200年」の数え方

会合から次の会合までに、土星は360×19.86÷29.458で、約243度進みます(計算)。243度先は、反対回りに見ればほぼ120度手前で、120度ずつ離れた三つの宮は同じ元素の宮です。そのため会合は、同じ元素の三つの宮を順にめぐっていきます。

ただ、ぴったり240度ではなく約2.7度ずつ余るので、3回の会合(約59.6年)で約8.1度ずつずれていきます。この調子で30度ずれて、隣の元素の宮に移るまでを計算すると、星を基準にしたときは約220年(30÷8.1×59.6)です。占星術の宮は春分の点を基準にするので、歳差で春分の点が動く分(59.6年で約0.83度)を足すと1巡りで約8.9度ずつずれ、30度ずれるまで約201年になります(計算)。

英語版の百科事典は、会合は約220年で次の元素の三角形に移り、新しい元素への移り変わりは長くても約240年で起こる、としています。中世の占星術師は、四つの元素を一巡りする長さを960年とすることが多かった、とも書いています。「約200年」「約220年」「240年」は、同じ仕組みを、違う基準や上限で数えた数だと考えると分かりやすくなります。

1782年から2219年までの会合の並び

計算サービスで、実際に黄経がそろった年と、そのときの宮、夜空の星座を並べると次のようになります(計算)。

  • 1782年
    射手宮(火)。夜空ではいて座
  • 1802年
    乙女宮(地)。地の宮での会合の始まり。夜空ではしし座
  • 1821年
    牡羊宮(火)。地の並びの中に、火が一度だけ混じる。夜空ではうお座
  • 1842〜1961年
    山羊宮・乙女宮・牡牛宮と、地の宮が続く(1842年、1861年、1881年、1901年、1921年、1940〜41年、1961年)
  • 1980〜81年
    天秤宮(風)で3回。世界時で1980年12月31日、1981年3月4日、7月24日。夜空ではおとめ座
  • 2000年
    5月28日、牡牛宮(地)。地の宮での最後の会合。夜空ではおひつじ座
  • 2020年
    世界時で12月21日、水瓶宮(風)。夜空ではやぎ座
  • 2040〜2140年
    天秤宮・双子宮・水瓶宮と、風の宮が続く(2040年、2060年、2080年、2100年、2119年、2140年)
  • 2159年
    蠍宮(水)。風の並びの中に、初めて水が混じる
  • 2179年・2199年
    双子宮と水瓶宮(風)
  • 2219年から
    蠍宮・蟹宮・魚宮と、水の宮が続く

地の宮での会合は1802年から2000年まで並びますが、1821年の火と、1980〜81年の風が間に入っています。もとの記事は「それまで約200年続いた土の時代」と書いていましたが、地の宮だけがずっと続いたわけではありません。どこから数えるかで、地の時代の長さは、1842年からなら178年、1802年からなら218年になります(計算)。

夜空の星座で見ると、1980〜81年はおとめ座、2000年はおひつじ座、2020年はやぎ座で、四つの元素の並びは、宮の上でだけ成り立つ並びです。風の宮での会合も、2159年に一度水が混じり、2199年まで続きます。古い元素と新しい元素が入りまじるのは、計算で見ても移り変わりのたびに起きています。

1980年から81年の、天秤宮での3回の会合

1980〜81年の天秤宮での会合は、地から風への移り変わりの始まりとして扱われることがあります。占星術家のジェシカ・デイヴィッドソンは2020年11月の解説で、この3回の会合で地の宮の並びが崩れ、2000年の牡牛宮が地の最後になった、と書き、1980年からの40年を移行期と見ることもできる、と添えています。

一方、ジョン・マイケル・グリアは2020年12月の文章で、1842年から2020年までの178年を地の時代、2020年から2219年までの199年を風の時代と数えています。1980〜81年の天秤宮や2159年の蠍宮を、区切りに数えない数え方です。どの年を時代の区切りにするかは、占星術家によって違います。

会合で時代を読む考えは、9世紀にさかのぼる

木星と土星の会合で歴史の移り変わりを読む考えは、9世紀のイスラム世界の占星術師アブー・マアシャルらが発展させ、12世紀に会合の本がラテン語に訳されて、ヨーロッパの占星術に入りました。アブー・マアシャルの会合の本は、2000年に山本啓二さんとチャールズ・バーネットさんの校訂と英訳で出版されています。

16世紀の終わりには、1583年の会合が水の元素の最後の会合だとして、大きな変動の前ぶれと広く考えられました。次の1603年の会合は、射手宮の火の宮でした(計算)。1586年には占いを禁じるローマ教皇の勅書が出ています。けれども1603年の会合のあとに何も起きず、関心は急にしぼんだ、と英語版の百科事典は書いています。天文学者のケプラーも、1606年の本『新星について』に、会合が三角形を描いてめぐる図を載せています。

日本で「風の時代」が本の題になったのは、2020年の秋から

国立国会図書館の蔵書を書名で調べると(2026年10月25日)、占いの意味で題に「風の時代」を含む本の最初は、2020年11月に講談社から出た『「風の時代」に自分を最適化する方法』で、副題は「220年ぶりに変わる世界の星を読む」でした。

2021年になると、1月の『風の時代に、願いが叶う処方箋』(副題は「200年に一度の変化のとき」で始まる)をはじめ、題に「風の時代」を含む本が1年で十数冊出ました。12月に出た『「風の時代」開運の上昇気流に乗る方法』の副題は「200年ぶりの大変化」です。題に入る年数も、本によって220年と200年に分かれています。

それより前に同じ題を持つのは、1978年の詩集や、1999年に出た藤井フミヤさんの歌「風の時代」(ドラマの主題歌)などで、占いとは関係がありません。国立国会図書館の雑誌記事の索引で確かめられる範囲では、鏡リュウジさんと水晶玉子さんの対談が載った『婦人公論』2021年4月27日号、石井ゆかりさんの「『風の時代』の星占い的思考。」が載った『群像』2021年7月号が早い記事です。ただ、この索引は女性誌や占いの雑誌をすべて収めているわけではありません。

書名に「グレート・コンジャンクション」を含む本は、2020年9月の1冊だけでした。本の記録で見るかぎり、「風の時代」は会合の直前の2020年秋から本の題になり、2021年に一気に増えた言葉です。もとの記事は、世界的に注目を集め、日本でも多くのメディアで取り上げられたと書いていましたが、新聞やテレビでいつから使われたのかは確かめられませんでした。

冥王星の水瓶宮入りも、区画の話

「風の時代」とあわせて語られることがあるのが、冥王星の水瓶宮入りです。冥王星は1930年に見つかり、長く9番目の惑星とされてきましたが、2006年に国際天文学連合が準惑星に分類しました。公転周期は約248年です。

計算サービスで黄経300度を越えた日を調べると、冥王星は日本時間2023年3月23日に水瓶宮に入り、6月11日に逆行で山羊宮へ戻り、2024年1月21日に再び入って、9月2日にまた戻り、2024年11月20日に入ってからは戻っていません。次の魚宮には2043年3月9日に入り、一度戻ったあと、2044年1月19日に移ります(計算)。

これも宮の話で、夜空の星座で見ると、冥王星は2023年3月にいて座からやぎ座に入ったばかりでした。夜空のみずがめ座に入るのは2039年です(計算)。

社会の変化を、あとから星に当てはめない

もとの記事は、フリーランスやリモートワーク、副業、サブスクリプション、シェアリングエコノミーの広がりが、風の時代のエネルギーと共鳴していると書いていました。けれども、占星術で社会の動きを言い当てられるかは確かめられていません。占星術師が出生図から性格を当てようとした1985年の二重盲検の実験でも、当たる割合は偶然と変わりませんでした(太陽星座の記事で紹介した研究です)。会合の前から続いていた変化を、あとから星の並びに当てはめて読んでいる面があります。

一方で、会合そのものは、だれでも空で確かめられる出来事です。次に木星と土星の黄経がそろうのは2040年10月31日で、宮では天秤宮、夜空ではおとめ座のあたりです(計算)。「風の時代」を占星術の読み物として楽しみつつ、20年に一度の空の出来事として眺めてみるのも、一つのつきあい方です。

大会合が占星術の中でどう扱われてきたかを本で知りたいときは、福本基さんの『基礎からわかる伝統的占星術』(太玄社、2020年)があります。目次には「西洋占星術の歴史」「木星と土星の会合周期」「マンデン占星術」(国や社会の出来事を占う分野)の章が並んでいます。

よくある質問

Q. 風の時代とは何ですか?

A. 木星と土星の会合が、占星術の風の宮(双子宮・天秤宮・水瓶宮)で起こるようになった時代を指す、占星術の言葉です。2020年12月の水瓶宮での会合が始まりとされます。

Q. 2020年12月の会合は、みずがめ座で起きたのですか?

A. 占星術の区画では水瓶宮の0度29分でしたが、夜空の星座では、二つの惑星はやぎ座にありました(計算)。区画と星座は、歳差で約1か月分ずれています。

Q. 土の時代は、本当に200年続いたのですか?

A. 地の宮での会合は1802年から2000年まで並びましたが、1821年に火の宮、1980〜81年に風の宮の会合が混じっています(計算)。どこから数えるかで、178年にも218年にもなります。

Q. 次の木星と土星の会合はいつですか?

A. 黄経がそろうのは2040年10月31日で、宮では天秤宮、夜空ではおとめ座のあたりです(計算)。

Q. 冥王星が水瓶宮に入ったのはいつですか?

A. 日本時間2023年3月23日に入り、出入りをくり返したあと、2024年11月20日からは水瓶宮にいます(計算)。夜空の星座では、やぎ座にあります。

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