やることなすことうまくいかない。悪いことが続くと、運気が落ちている時期なのでは、どう過ごせば早く抜け出せるのか、と考えてしまいます。
ここでは、悪いことが続いたあとに何が起きやすいかを統計の考え方から確かめ、「運がいい人」を調べた研究を紹介します。よく聞く天中殺や大殺界、厄年の出どころ、開運の習慣で気をつけたいこと、つらさが続くときの相談先もまとめます。
悪い時期のあとは、何もしなくても戻りやすい

もとの記事は、紹介した習慣を続けると底打ちが早まる、変化は一般的に数週間から数か月で現れる、と書いていましたが、出典は見つかりませんでした。しかも、どのくらい続くかという同じ問いに、よくある質問の2か所で違う答えを書いていました。
統計には「平均への回帰」という考えがあります。もとは、背の高い父親の子は父親より背が低い傾向がある、というゴールトンの観察から来た言葉です。とても悪い値の次には、平均に近い値が出やすい。そのため、極端に悪い時期に何かを始めると、それが何であっても効いたように見えてしまう、と研究者は注意しています。悪い時期が過ぎて楽になったとき、それが習慣のおかげなのか、自然に戻ったのかは見分けにくいのです。
「そろそろ途切れる」「まだ続く」
同じことが続くと、人は「そろそろ途切れるはず」と考えたり(ギャンブラーの誤謬)、「まだ続くはず」と考えたりします(ホットハンド)。2004年の実験では、同じ人が、ルーレットの結果には「次は逆が出る」と予想し、自分の予想の当たり外れには「まだ続く」と予想していました。
日本の研究では、「運は使うと減る」という考え(運資源ビリーフ)を持つ人は、くじで当たったあとに、次の不確かなことへの自信が下がり、危ない選択を避けるようになりました。500人の調査では、この考えに男女の差はあったものの、地域や世代の差はありませんでした。運を、たまったり減ったりする量のように考える見方は、私たちにとって身近なものなのかもしれません。
「運がいい人」を調べた研究
イギリスの心理学者ワイズマンは、自分は運がいい、または悪いと思う18〜84歳の400人を調べました。新聞の写真を数えてもらう実験では、途中のページに大きく「数えるのをやめて。写真は43枚」と書いておいたところ、運がいいと思う人は数秒で気づき、運が悪いと思う人は平均約2分かけて数えていました。運が悪いと思う人は、緊張や不安が強い傾向がありました。
ワイズマンは、運がいい人は偶然の機会をつくって気づく、直感を聞く、よい結果を期待する、不運を「もっと悪くなり得た」と考えて立て直す、とまとめています。一方で、お守りを数週間持たせても、生活の満足度や運がいいと感じる度合いは変わりませんでした。ただし、これは本人の雑誌記事と本(日本語版『運のいい人、悪い人』2004年)による報告で、査読を受けた論文ではありません。
お守りや「幸運を祈る」の言葉で成績が上がったという2010年の実験もありますが、十分な人数で追試すると、「幸運のボール」と言われた人の成績は対照群とほぼ同じでした。自分は運がいいと強く信じる人ほど、ギャンブルに多くのお金を使っていたという研究もあります。
天中殺・大殺界・厄年の出どころ
運が悪い時期の言い方として、天中殺や大殺界がよく知られています。辞典によると、天中殺は、十干と十二支を組み合わせたときに余る2つの支のことで、6つの型があり、その年や月が回ってくると凶とされます。中国の占いでは「空亡」と呼び、算命学では天中殺、六星占術では大殺界と呼びます。大殺界は空亡に1年を加えたものです。
12年のうち天中殺は2年、大殺界は3年なので、どの年をとっても、およそ6人に1人が天中殺、4人に1人が大殺界にあたります(計算)。国立国会図書館で書名に「天中殺」を含む本は1972年が最も古く、1979年に最も多く出ていました。六星占術の本は1982年ごろから出ています。なお、六曜の「仏滅」も、もとは「空亡」と呼ばれた時刻の占いで、仏教とは関係がありません。
厄年は、辞典によって違いますが、男性25歳・42歳・61歳、女性19歳・33歳などとされ、起源は陰陽道ともいわれますが、はっきりしません。42を「死に」、33を「散々」とする説は語呂合わせにすぎない、とする百科事典もあります。文献での早い例は、1020年の貴族の日記『小右記』です。
開運の習慣で気をつけたいこと
もとの記事は、白いキャンドルを灯す方法を「使用時は安全に」の一言で勧めていました。東京消防庁の管内では、2022年にろうそくが原因の火災が36件あり、17件でけが人、3件で死者が出ています。東京都の調査では、ろうそくを使っているときに事故やひやりとした経験がある人は15.4%で、防炎加工のないカーテンはアロマキャンドルの炎ですぐ燃え広がりました。
火をつけたらその場を離れず、燃えやすい物の近くや不安定な場所では使わないでください。子どもや高齢の人、ペットのいる家では、電気のろうそくも考えてみてください。
塩風呂や盛り塩を使うときは、塩分を含む入浴剤を使わないよう案内している給湯器のメーカーがあることや、ペットが塩をなめる危険にも気をつけてください。もとの記事の「睡眠は7時間前後」については、厚生労働省の睡眠ガイドは、大人はおおよそ6〜8時間、少なくとも6時間を目安とし、高齢の人は床にいる時間が8時間以上にならないように、としています。
もとの記事が月ごとの浄化ワークの本として紹介していた本は、出版社の目次を見ると、月がどの星座にあるかに合わせて家の決まった場所を掃除する方法を中心にした本でした。月は平均約2.3日で次の星座へ移るので、月ごとの方法ではありません。
運が悪いと感じるときに
悪いことが続くと、自分のせいだと思いがちです。認知療法では、「自分の力ではどうにもならないことで自分を責めていないか」と問いかけることが勧められています。睡眠や食事を整え、部屋を片づける、外を歩くといったことは、運気のためでなくても、気分を立て直す助けになります。悪い時期は、何もしなくても平均へ戻っていくことが多いものです。
気持ちの落ち込みや眠れない状態が続くときは、運のせいにせず、医療機関や働く人の相談窓口「こころの耳」(0120-565-455)などに相談してください。
例として、月がどの星座にあるかに合わせて家の決まった場所を掃除する「ムーン・クリアリング」を紹介した本(大和出版、2016年)の販売ページです。新月や満月に合わせた月ごとのワークの本ではありません。
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よくある質問
Q. 運が悪い時期はどのくらい続きますか?
A. 決まった期間を確かめた研究はありません。極端に悪い時期のあとは、何もしなくても平均に戻りやすいことが統計で知られています。
Q. 開運の習慣を続けると運気は早く上がりますか?
A. そう確かめた研究は見つかりませんでした。悪い時期に始めたことは、平均への回帰で効いたように見えやすいので注意が要ります。
Q. 運がいい人には特徴がありますか?
A. ワイズマンの研究では、運がいいと思う人は偶然の機会に気づきやすいとされました。ただし査読論文ではなく、お守りを持たせても運がいいという感じ方は変わりませんでした。
Q. 天中殺や大殺界とは何ですか?
A. 天中殺は十干と十二支を組み合わせたときに余る2つの支のことで、六星占術では空亡に1年を加えて大殺界と呼びます。どの年もおよそ6人に1人が天中殺にあたります。
Q. 厄年には根拠がありますか?
A. 起源は陰陽道ともいわれますが、辞典でもはっきりしないとされています。42を「死に」とする説は語呂合わせとする百科事典もあります。
Q. キャンドルを灯すときの注意は?
A. 火をつけたら離れず、燃えやすい物の近くで使わないでください。東京では2022年にろうそくの火災が36件ありました。



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