「ありがとう」「ごめんなさい」「許してください」「愛しています」。4つの言葉を唱えるホ・オポノポノを、日本に広めた本の一つが『人生が変わるホ・オポノポノの教え』です。
ここでは、この本がどんな本なのかを国立国会図書館の書誌と英語の原書で確かめます。本で紹介される方法と、ハワイで家族が集まって行ってきた伝統のホ・オポノポノとの違い、よく知られた病院の話で確かめられること、研究で分かっていることもまとめます。
どんな本か

国立国会図書館の書誌では、著者はジョー・ヴィターリとイハレアカラ・ヒューレンの2人、訳者は東本貢司です(もとの記事は「ヴィターレ著」とだけ書いていました)。PHP文庫から2017年7月に出た301ページの本で、2008年7月に出た単行本『ハワイの秘法 あなたを成功と富と健康に導く』を改題し、加筆と再編集をしたものです。
原書は、2007年にアメリカの出版社ワイリーから出た『ゼロ・リミッツ』で、ハワイの秘法で富と健康と平和を、という副題がついています。出版社の紹介によると、ヴィターリがヒューレン博士に会い、その方法を紹介する本です。ヴィターリは、引き寄せの法則を扱った映画『ザ・シークレット』に出演した自己啓発の作家です。
目次には、次のような章が並んでいます。
- 冒険の始まり/世界で最も並外れたセラピストを探して
- アイ・ラヴ・ユー/神なるものとのディナー
- より大きな富を受ける法/それでも信じられない人へ
- 舞台裏の真実/ゼロ・リミッツの基本原則
- あなた自身(もしくは別の誰か)を癒し健康と富と幸福を見つける法
本で紹介される4つの言葉
本の中心は、問題が起きたとき、その原因を自分の中の記憶としてとらえ、4つの言葉を心の中でくり返して「クリーニング」する、という方法です。英語の原書では、言葉は「愛しています」「ごめんなさい」「許してください」「ありがとう」の順で出てきます。
もとの記事は「4つの言葉を繰り返すだけで、特別な道具もお金も必要ない」と書いていましたが、原書は、この方法を十分に理解するには週末の講習に出て体験する必要があると書き、講習の案内先も載せています。
本の方法と、ハワイの伝統のホ・オポノポノ
本で紹介される方法は、ハワイに昔からあるホ・オポノポノそのものではありません。原書自身が、この方法のもとを作った人として、ハワイの伝統的な治療者だったモーナ・ナラマク・シメオナを挙げ、彼女が1983年に「更新したホ・オポノポノ」を作ったことで「ハワイの生きた宝」に選ばれた、と書いています。シメオナの方法は「セルフ・アイデンティティ・スルー・ホ・オポノポノ」と呼ばれ、一人で自分の内側の記憶に向き合うものです。この方法を教える団体は、問題として経験される記憶を手放すための「更新された」ハワイの問題解決のプロセス、と説明しています。
伝統のホ・オポノポノは「正す」という意味で、昔は近い家族の間だけで行われた話し合いです。1995年に紹介された説明では、次のように進みます。
- まとめ役(ハク)を選ぶ。昔は治療の専門家の男性、今は問題に関わっていない尊敬される年長者
- 全員が加わる、真実を話す、思いやりを持つ、外にもらさない、ハクは公正に、という条件に全員が同意する
- 始まりの祈りのあと、問題を言葉にし、一層ずつはがすように話し合う。参加者はハクに向けてだけ話す
- 必要なら沈黙の休みをはさみ、謝罪と許しを交わし、互いに解き放つ
- 終わりの祈りをして、食事をともにする
- 参加を拒み続ける家族を切り離す、最後の手段もあった
この伝統は、1972年に、ハワイ文化の知識の師メアリー・カヴェナ・プクイらがまとめた『ナーナー・イ・ケ・クム』に記録されました。1985年の論文は、紛争を解く儀礼だったホ・オポノポノが、ハワイの社会福祉の現場で、文化に合った家族療法として作り直されたと書いています。ハワイ大学では2025年にも、ハワイの調停者が集まる会が開かれ、ホ・オポノポノは今も多くの形で続いていると紹介されました。
伝統の形では、問題は家族の間で起きたこととして、みんなで話し、謝り、許し合って解いていきます。一人で唱える本の方法とは、ずいぶん違うものです。
病院の話で確かめられること
本でよく知られているのが、ヒューレン博士がハワイ州立病院の、罪を犯した精神障害者の病棟で働き、患者が回復していったという話です。もとの記事は「セラピーを行った」と書いていましたが、原書では、ヒューレン本人が「患者を専門家として診たことはなく、カウンセリングもしなかった。カルテを見ることには応じ、見ながら自分自身に取り組んだ」と語っています。原書には、当時その病院にいたソーシャルワーカーの文章も載っていて、その病棟は今は閉鎖されている、と書かれています。
ただ、病院の記録や当時の新聞など、本の外でこの話を確かめられる資料は見つかりませんでした。ネットで見かける、勤めていた年や回復した人数も、書き手によって食い違っています。本の中の証言として読むのがよいでしょう。
研究で分かっていること
医学の論文の検索で「ホ・オポノポノ」に当たるものは7件で、病院の話を調べたものはありませんでした。シメオナの方法については、ハワイ大学の研究者が2007年に、半日の講習を受けた23人の血圧を前後で比べた研究があります。上の血圧が平均11.86、下の血圧が5.44下がりましたが、比べる相手の群がない前後比較で、著者自身も予備的な結果としています。
この本を読むなら
この本は、一人の著者がヒューレン博士に会い、その考えを紹介した記録として読むと分かりやすい本です。問題を相手のせいにせず自分を振り返る考えに、救われる人もいるでしょう。ただ、ハワイの伝統は家族で話し合い、謝り、許し合うものでした。人との問題を抱えているなら、心の中で唱えるだけでなく、信頼できる人と話すことも大切です。心や体の不調があるときは、言葉を唱えることを治療の代わりにしないでください。
例として、『人生が変わるホ・オポノポノの教え』(ジョー・ヴィターリ、イハレアカラ・ヒューレン著、東本貢司訳、PHP文庫、2017年)の販売ページです。2008年の『ハワイの秘法』を改題し、再編集した文庫です。
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よくある質問
Q. 『人生が変わるホ・オポノポノの教え』と『ハワイの秘法』は同じ本ですか?
A. 同じ本です。2008年の単行本『ハワイの秘法』を改題し、加筆と再編集をして2017年にPHP文庫になりました。原書は2007年の『ゼロ・リミッツ』です。
Q. ホ・オポノポノの4つの言葉は何ですか?
A. 「ありがとう」「ごめんなさい」「許してください」「愛しています」です。英語の原書では「愛しています」から始まる順で出てきます。
Q. 4つの言葉を唱えるのがハワイの伝統ですか?
A. 伝統のホ・オポノポノは、家族が集まり、まとめ役のもとで話し合い、謝り、許し合うものです。4つの言葉の方法は、シメオナが作り直した方法から来ています。シメオナはその功績で1983年に「ハワイの生きた宝」に選ばれました。
Q. 病院の患者が回復した話は本当ですか?
A. 原書の中の証言で、病院の記録や当時の報道など本の外で確かめられる資料は見つかりませんでした。
Q. ホ・オポノポノに効果はありますか?
A. 23人の血圧が講習の前後で下がったという予備的な研究が1本あるだけで、比べる相手の群はありませんでした。
Q. ジョー・ヴィターリとはどんな人ですか?
A. アメリカの自己啓発の作家で、映画『ザ・シークレット』に出演しています。



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