二礼二拍手一礼は間違い?|神社本庁の説明、作法の成り立ち、四拍手の神社

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神社・神様

神社で手を合わせるとき、「二礼二拍手一礼」が正しいと教わった人は多いと思います。一方で、「実は間違い」「昔はそんな作法はなかった」という話を見かけて、戸惑った人もいるかもしれません。

ここでは、神社本庁と東京都神社庁の説明、辞典や研究者の説明をもとに、二礼二拍手一礼がどこから来た作法なのかを確かめます。神社によって違う作法や、よく見かける説明の誤りもまとめます。

二礼二拍手一礼は間違いではない

二礼二拍手一礼は間違い?|神社本庁の説明、作法の成り立ち、四拍手の神社のイメージ

神社本庁は、参拝の方法について、全国的に「再拝(礼)・二拍手・一拝(礼)」を基本としている、と説明しています。そのうえで、神社によっては特殊な拝礼方法をとっている所もあるので、その際は神社の作法に従ってほしい、と書いています。

東京都神社庁は、神社にお参りする際の作法には厳格な決まりはない、とも書いています。つまり、二礼二拍手一礼は今の神社で基本とされている作法で、間違いではありません。ただし、唯一の正解として決まったものでもなく、神社や地域によって違いがあります。

「間違い」と言われるのは、この作法が昔からずっと一般の人に行われてきたわけではないからです。次の節で、その成り立ちを見ていきます。

基本の手順

  • 拝殿の前で姿勢を正し、背中を平らにして腰を90度に折る深いお辞儀(拝)を2回する
  • 胸の高さで両手を合わせ、右手の指先を少し下にずらす
  • 肩幅くらいに両手を開いて、2回打つ(拍手)
  • 指先をそろえて手を合わせ、心を込めて祈る
  • 手を下ろし、最後にもう1回深いお辞儀をする

右手をずらす目安を、神社本庁は第1関節くらいまでとしています。東京都神社庁は、拍手のあとに両手をきちんと合わせて祈る手順を示しています。また、二拝二拍手一拝の前後に、軽い会釈(一揖〈いちゆう〉)を加えると、いっそう丁重な作法になると説明しています。伊勢神宮も、一般の参拝者には二拝二拍手一拝の作法を案内しています。

「礼」と「拝」は、一般向けの説明ではほぼ同じ動作として使われています。神社本庁は「再拝(礼)」のように両方を並べて書いています。

どこから来た作法か

國學院大學の神道の用語集によると、明治より前は、神社や流派によって祭りの作法はまちまちでした。1875年(明治8年)に全国の神社に共通の祭式が定められ、今行われている祭式は、1948年(昭和23年)に神社本庁が定めたものです。

『神道事典』は、神職の祭式で定められた宮司の拝礼作法「二拝二拍手一拝」が、一般の参拝の基準になったと説明しています。そして、この作法が一般に広まったのは太平洋戦争のあとだとしています。歴史的には、八度拝(はちどはい)や両段再拝(りょうだんさいはい)など、さまざまな拝礼がありました。

1985年の国会では、首相が靖国神社に正式に参拝する場合の手順として、お祓いを受け、玉串を奉り、二礼二拍手一礼をする、と説明されています。二礼二拍手一礼は、もともと玉串を奉る正式な参拝とともにある作法だったことがうかがえます。

「間違い」と言われる理由

宗教学者の島田裕巳さんは、二礼二拍手一礼が一般の参拝者に広まったのは、戦後に発足した神社本庁が勧めたからだとしています。平成の初めごろの初詣の映像を見ると、拍手を打つ人はほとんどおらず、大半は手を合わせて拝んでいた、とも書いています。

島田さんには『神社で拍手を打つな!』(中央公論新社、2019年)という本もあります。紹介記事によると、もとは玉串を奉るときの神職の作法で、一般に浸透したのは平成になってからではないか、という主張です。広まった時期については、『神道事典』は戦後、島田さんは平成と、見方が分かれています。

どちらの見方でも、二礼二拍手一礼が「古くからずっと続く唯一の作法」ではないことは共通しています。だからといって、今の神社で行うのが誤りということにはなりません。神社本庁が基本とし、多くの神社が案内している作法です。

神社によって違う拝礼

  • 出雲大社
    二礼四拍手一礼。年に一度、5月14日の例祭のときだけ八拍手になる
  • 宇佐神宮
    二拝・四拍手・一拝。文献に記録はないものの、古くからの作法として続いていると説明している
  • 彌彦神社
    二礼四拍手一礼。ただし二礼二拍手一礼で参拝しても結構だとしている
  • 伊勢神宮
    一般の参拝者には二拝二拍手一拝を案内している。辞典には、8回打つ「八開手(やひらで)」が神宮で行われると書かれている

宇佐神宮の作法を「四礼四拍手一礼」と書いた説明を見かけますが、宇佐神宮の公式の案内では礼は2回、拍手が4回です。参拝する神社の作法は、境内の案内や公式サイトで確かめるのが確実です。

拍手の意味と「柏手」

東京都神社庁は、拍手は相手を敬う気持ちの表れだと説明しています。古い中国の歴史書『魏志倭人伝』には、倭の人々が身分の高い人に対して手を打ってひざまずく習わしが書かれているそうです。

「柏手(かしわで)」とも書くのは、「拍」の字が「柏」と混同されて使われたことから生じた呼び方ともいわれる、と東京都神社庁は説明しています。辞典にも、中世から柏手と呼ばれるようになったこと、語源にはいくつかの説があることが書かれています。

拍手の打ち方は一つではありません。神葬祭(神道の葬儀)では、音を立てずに打つ「忍手(しのびて)」をします。ほかに短拍手(みじかて)、八開手などの打ち方もあります。

よく見かける説明を確かめる

  • 「拍手で神様を呼び起こす」… 出典は見つからない。東京都神社庁は、神さまをお招きする合図は鈴だと説明している
  • 「拍手で邪気を払う」… 出典は見つからない。神社本庁が祓い清めの意味を書いているのは鈴について
  • 「2は陰陽や天地を表す神聖な数」… 出典は見つからない
  • 「拍手は大きな音を出すのが正式」… 葬儀では音を立てない忍手があり、場面によって違う
  • 「住所と名前を心の中で伝える」… 神社本庁や東京都神社庁の説明には見当たらない

参拝の流れ

東京都神社庁は、鳥居は一礼してからくぐるのが丁寧で、参道の中央は神さまの通り道とされているので避けて歩くのが礼儀だ、としています。神社本庁は、参道の歩き方には厳格な決まりはないとしています。

手水で手と口を清めたら、拝殿の前へ進みます。東京都神社庁の説明では、賽銭箱にお賽銭を入れ、鈴のある神社では鈴を鳴らし、それから二拝二拍手一拝で拝礼する順番です。お賽銭に決まった額はないと、神社本庁は説明しています。

お寺では拍手をしない

お寺の参拝では、手を合わせる合掌が一般的です。成田山新勝寺は、賽銭箱の前で一礼し、お賽銭を入れ、合掌してお祈りし、その後に軽く一礼する、と案内しています。拍手については書かれていません。

島田さんも、お寺では二礼二拍手一礼のような決まった作法が勧められることはなく、多くの人は自然に合掌していると書いています。ただ、寺で拍手を禁じると明記した公式の説明は見つかりませんでした。迷ったら、そのお寺の案内に従ってください。

よくある質問

Q. 二礼二拍手一礼は間違いなのですか?

A. 間違いではありません。神社本庁は全国的な基本の作法としています。ただし、一般に広まったのは戦後で、出雲大社や宇佐神宮のように別の作法をとる神社もあります。

Q. 二礼二拍手一礼はいつからあるのですか?

A. もとは神職の祭式の作法で、明治に全国共通の祭式が定められ、今の祭式は1948年に神社本庁が定めました。一般の参拝者に広まった時期は、戦後とする辞典と、平成になってからとみる研究者がいます。

Q. 拍手は何のために打つのですか?

A. 東京都神社庁は、敬う気持ちの表れだと説明しています。神さまをお招きする合図は鈴の役目とされています。

Q. 出雲大社ではなぜ四拍手なのですか?

A. 出雲大社は二礼四拍手一礼を正式な作法としていて、5月14日の例祭のときだけ八拍手になります。宇佐神宮や彌彦神社も四拍手です。

Q. 拍手のとき、右手をずらすのはなぜですか?

A. 神社本庁の手順には、右手の指先を少し下にずらすとありますが、その理由は書かれていません。理由として広まっている説明にも、出典は見つかりませんでした。

Q. お寺で拍手をしてしまいました。

A. お寺では合掌が一般的です。寺で拍手を禁じると明記した公式の説明は見つかりませんでした。気にしすぎず、次からは合掌で拝んでください。

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