ロードナイトは、ピンクから赤みを帯びた地の色に、黒い筋や斑点が入る石です。パワーストーンの世界では「愛と癒しの石」として紹介されることが多く、ブレスレットにも人気があります。
ここでは、スピリチュアルな意味と石言葉がどこで言われているのかを確かめ、そのうえで、鉱物としての性質、黒い模様の正体、名前の似たインカローズとのちがい、ロシアで使われてきた歴史、ブレスレットの手入れを順にまとめます。石の意味は言い伝えで、身に着けて何かが変わると確かめられたものではありません。
ロードナイトのスピリチュアルな意味と石言葉

パワーストーンの解説では、ロードナイトは「感情の傷を癒やす石」「ハートチャクラ(胸の中心にあるとされる、気持ちに関わる場所)に働く石」として紹介されます。アメリカの石の解説サイトは、その拠りどころとして、ジュディ・ホールの『クリスタル・バイブル』(2003年)や、メロディの『ラブ・イズ・イン・ジ・アース』(1995年)といった石の本を挙げています。
日本の宝石店の解説では、石言葉として「愛情」「友愛」「博愛」が挙げられています。「古くから愛と癒しの石」と書く解説もありますが、確かめられた範囲では、こうした意味を書いた本は1990年代以降のものでした。
「ハートチャクラ」という言い方にも、出どころがあります。チャクラは、体の中の力の中心をいくつか定めるインドの密教の考え方で、8世紀ごろの仏教の経典にすでに見られます。胸のチャクラはサンスクリット語で「アナーハタ」と呼ばれます。7つのチャクラという形が西洋に知られたのは、1919年のジョン・ウッドロフの本からです。チャクラに色を当てる説明は1927年のリードビーターの本に見られ、虹の7色を順に並べる今の形は、そのあと20世紀の西洋で少しずつまとまりました。チャクラと石を結び付ける読み方は、それよりあとに西洋で加わったものです。
意味は言い伝えなので、効き目を約束するものではありません。人との関係で疲れたときに、自分をいたわる目印として身に着ける、くらいの受け止め方が無理のない付き合い方です。
鉱物としてのロードナイト——和名は「ばら輝石」
ロードナイトは、マンガンを主な成分とするケイ酸塩の鉱物です。名前はギリシャ語で「バラ」を意味する言葉から来ていて、日本語ではばら輝石(薔薇輝石)と呼ばれます。名前に「輝石」と付きますが、鉱物の分類では輝石の仲間ではなく、「準輝石」に入ります。
硬さはモース硬度で5.5〜6.5。水晶(7)より少し軟らかい石です。主な産地は、ロシアのウラル地方、スウェーデン、オーストラリアのブロークンヒル、アメリカ、ブラジル、ペルーなどで、日本では岩手県の野田玉川鉱山が知られています。
バラのようなピンクから赤の色は、石に含まれるマンガンによるものです。同じマンガンの石であるインカローズがピンク色なのも、同じ理由です。アメリカのマサチューセッツ州では、ロードナイトが州の宝石に選ばれています。
結晶は二つの方向に割れやすい性質がありますが、これは透明な結晶の話で、ビーズに使われる塊の石は、ふだん使いで割れる心配は少ないとされています。
黒い模様の正体
ロードナイトの黒い筋や斑点は、マンガンの酸化物や水酸化物です。ロードナイトは、風化するとマンガンの酸化物に変わることが知られています。
黒い部分とピンクの部分は硬さが違うため、磨いたときに表面にわずかな凸凹が出ることがあります。手で触って小さな段差を感じても、それは石の性質で、傷とは限りません。
「黒が少ないほど価値が高い」という説明も見かけますが、確かな出典は見つかりませんでした。ピンクの多いもの、黒い筋がくっきり入ったもの、模様の入り方は好みで選んでかまいません。
インカローズ(ロードクロサイト)とのちがい
名前も色も似ているインカローズは、別の鉱物です。
- ロードナイト
マンガンのケイ酸塩。硬さ5.5〜6.5。黒い筋や斑点が入ることが多い石です。 - ロードクロサイト(インカローズ)
マンガンの炭酸塩。硬さ3.5〜4と軟らかく、塩酸をかけると泡立ちます。空気や湿気で黒ずみやすい石です。
硬さがかなり違うので、二つを同じ袋に入れて持ち歩くと、軟らかいインカローズのほうに傷が付きます。重ね着けするときも、ぶつかりやすい並べ方は避けてください。
ロシアで使われてきた石
19世紀のロシアでは、ウラル地方のエカテリンブルク近くが主な産地でした。サンクトペテルブルクのペトロパヴロフスク大聖堂では、皇后マリア・アレクサンドロヴナの墓石がロードナイトで作られています(1906年完成)。隣に並ぶ夫の皇帝アレクサンドル2世の墓石は、緑のジャスパーです。モスクワの地下鉄マヤコフスカヤ駅の柱にも、ロードナイトが使われています。
皇帝の棺がロードナイトだった、と書く解説もありますが、ロードナイトで作られたのは皇后の墓石のほうです。
ブレスレットを選ぶときに見るところ
ロードナイトのブレスレットは、同じ名前でも見た目や作りがさまざまです。選ぶときは、次の点を販売ページで確かめてください。
- 石の名前の表示
「ロードナイト」のほかに、似た名前を付けた品もあります。名前が似ていても中身が同じとは限らないので、鉱物名(ばら輝石)や産地が書かれているかを見ます。 - 色と模様
ピンクが多いもの、黒い筋が多いもの、粒ごとに模様が違うものと、見た目の幅が広い石です。写真が実物の一例なのか、届く品そのものなのかも確かめます。 - 粒の大きさと、手首の長さ
粒の直径(ミリ)と、内周の長さが書かれているかを見ます。粒が大きいほど、同じ長さでも内側がきつくなるので、手首の長さに少しゆとりを持たせて選びます。 - ひもの種類
ゴムのひもは、ゆくゆく通し替えが必要です。通し替えを受け付けている店かどうかも、長く使うなら確かめておきたい点です。
ブレスレットを長く使うための手入れ
国際宝石協会の解説をもとに、ロードナイトの手入れをまとめます。
- 洗うときは、ぬるま湯と中性洗剤、柔らかいブラシで。スチームや超音波の洗浄機は使わない
- ほかの石とは分けてしまう。水晶など硬い石とぶつかると、ロードナイトに傷が付く
- 香水やヘアスプレーは、ブレスレットを着ける前に済ませる
- 熱い場所から冷たい場所へ、といった急な温度の変化を避ける
ゴムのひもにも寿命があります。ブレスレットによく使われるオペロンはポリウレタンでできていて、ポリウレタンは光や湿気、化粧品で少しずつ傷む素材です。汗をかいた日は乾いた布でふき、ひもの弾力がなくなってきたら、切れる前に通し替えてください。
よくある質問
Q. ロードナイトのスピリチュアルな意味は何ですか?
A. パワーストーンの解説では、感情の傷を癒やす石、愛情に関わる石として紹介されます。石言葉は「愛情」「友愛」「博愛」など。こうした意味は、1990年代以降の石の本で広まったものです。
Q. ロードナイトとインカローズは何が違いますか?
A. ロードナイトはマンガンのケイ酸塩で硬さ5.5〜6.5、インカローズ(ロードクロサイト)はマンガンの炭酸塩で硬さ3.5〜4です。インカローズのほうが軟らかく、黒ずみやすい石です。
Q. 黒い模様は何ですか?
A. マンガンの酸化物や水酸化物です。模様の多い少ないは好みで選んでかまいません。
Q. ロードナイトは水に濡れても大丈夫ですか?
A. 国際宝石協会は、ぬるま湯と中性洗剤で洗う方法を勧めています。洗ったあとはよく乾かし、ゴムのひもが湿ったままにならないようにしてください。
Q. ハートチャクラの石というのは、昔からの考え方ですか?
A. チャクラ自体はインドの古い考え方ですが、チャクラと石を結び付ける読み方は、20世紀以降に西洋で加わったものです。ロードナイトをハートチャクラの石とする説明も、その流れの中にあります。


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