上司と合わないのはスピリチュアルなサイン?|上司と部下の関係の研究、パワハラの調査、異動の制度

※本記事にはアフィリエイト広告が含まれています。

仕事・金運・人生

上司と話すと、なぜか疲れる。言い方の一つひとつが引っかかる。ほかの人とはうまくいっているのに、この上司とだけは合わない。そんなとき、何か意味があるのでは、と考えたくなるのは自然なことです。

スピリチュアルの世界では、「魂の学び」「カルマ」「波動が合わない」といった説明がよく使われます。ここでは、そうした説明の出どころを確かめたうえで、上司と部下の関係を調べた研究と、日本の職場の調査を紹介します。合わない理由を自分だけに求めずにすむ材料になるはずです。

スピリチュアルでよく言われることを確かめる

上司と合わないのはスピリチュアルなサイン?|上司と部下の関係の研究、パワハラの調査、異動の制度のイメージ

「出会いはすべて必然で、魂の学びのために引き寄せ合っている」という説明があります。これは一つの考え方で、誰の説なのか、どこから来たのかは見つかりませんでした。

「前世からのカルマで、この上司と未解決のつながりがある」という説明もあります。辞典では、業(カルマ)はサンスクリット語の「行為」を意味する言葉の訳で、行いが残って結果をもたらす力のことです。その結果は基本的に来世で実を結ぶとされます。特定の相手とエネルギーでつながっている、という説明は辞典にはありません。

「相手に強く反応するのは、自分の中に同じ要素があるから」という「鏡の法則」もよく引かれます。心理学には、自分の性質を相手の性質のように感じてしまう「投影」という言葉があり、自分を守るための心の働きの一つとされます。ただ、相手に反応するときはいつもそうだ、という法則として確かめられたものではありません。

「強くぶつかるのは、その場所で学び終えたサイン」「波動の違いで消耗する」「塩を入れたお風呂で浄化する」といった説明には、裏づけになる資料が見つかりませんでした。仕事を辞めるかどうかのような大きな決断を、こうした説明だけで決めるのはおすすめしません。

上司と部下の関係を調べた研究

組織の研究には、上司と部下の1対1の関係の質を扱う「リーダー・メンバー交換理論」があります。1975年の研究から始まり、上司は部下ごとに質の違う関係を築く、という前提に立っています。ほかのリーダーシップの理論と違い、上司と部下の両方が関係に影響する、二人の間のものとして見るのが特徴です。

関係の質が高いときは、互いへの尊敬、信頼、助け合う義務感があります。質が低い関係は、決められた分だけ働く、取引のような関係になりやすいとされます。

研究で分かっていること

  • 関係の質は、仕事への満足、上司への満足、辞めたい気持ちと関係している(いずれも中程度の関係)
  • ただし、実際に辞めたかどうかとの関係ははっきりしなかった(1997年の分析)
  • 247の研究をまとめた2012年の分析では、関係の質を最もよく説明したのは、部下ではなく上司の側の要因だった
  • 上司と部下で、関係の見え方の一致は中程度。付き合いが長く、やりとりが多いほど一致しやすい
  • 23か国を比べた分析では、関係の質と満足や辞めたい気持ちとの結びつきは、欧米よりアジアのほうが弱かった

上司と部下で関係の見え方がずれるということは、自分が「合わない」と感じていても、上司は同じようには感じていないことがある、ということです。そして、関係の質を左右するのは上司の側の要因が大きいとされています。合わない理由を、自分の魂やカルマの問題だけに引き受ける必要はありません。

関係は変わりうる、という研究もあります。1984年に大手企業の83人を対象にした現場の実験では、上司の関わり方を変える取り組みのあと、もともと上司との関係の質が低かった部下のほうが、高かった部下よりも、生産性や仕事への満足、上司への満足が大きく伸びました。

合わないのか、パワハラなのか

合わないと感じる理由が、相性ではなくパワーハラスメントの場合もあります。厚生労働省の委託で2024年1月に行われた調査(全国の20〜64歳の働く人8,000人)では、過去3年間に勤務先でパワハラを受けた人は19.3%でした。パワハラをした人で最も多かったのは「上司(役員以外)」で、65.7%です。

同じ調査で、パワハラを受けたあとに「何もしなかった」人は36.9%と最も多く、その理由で最も多いのは「何をしても解決にならないと思ったから」(65.6%)でした。受けた影響としては、怒りや不満、不安を感じた人が68.5%、仕事への意欲が減った人が61.1%います。

職場のパワハラは、優越的な関係を背景に、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動で、働く人の就業環境が害されるもの、とされています。当てはまるかもしれないと感じたら、社内の相談窓口や、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。同じ調査では、勤務先の取り組みが評価されている職場ほど、社内で相談した人が多く、何もしなかった人が少ない傾向がありました。

上司は相談相手にもなっている

厚生労働省の2023年の労働安全衛生調査では、仕事のストレスを相談できる人がいる働く人は94.9%でした。相談できる相手は、家族・友人が71.7%、同僚が64.9%、上司が61.3%です。男性に限ると、上司が68.9%で最も多くなっています。実際に相談した相手でも、上司は54.3%でした。

直属の上司と合わないときは、その上の上司や、別の部署の先輩など、職場の中に相談できる人がいないか考えてみてください。

異動という選択肢

会社を辞める前に、社内で部署を変える道もあります。日本労働研究雑誌(2025年1月号)に紹介された調査では、社員の希望を人事が聞き取って配置に生かす自己申告制度を導入している企業は67.5%、部署が社内から人を募る社内公募制度は42.2%、社員が自分の力を示して部署が手を挙げるFA制度は11.8%でした。社内公募制度は、2006年の調査では34.7%だったので、広がってきています。

自分の会社にどんな制度があるかは、就業規則や社内の案内で確かめられます。

上司との関わり方を変えてみる

「上司をマネジメントする」という考え方は、1980年に『ハーバード・ビジネス・レビュー』に載った論考から広まりました。自分と上司と会社にとって最もよい結果を出すために、上司と意識して協力していくこと、と説明されています。実務家による論考で、データを分析した研究ではありません。

部下から上司への働きかけ方を調べた2003年の分析では、相手を立てる関わり方と、筋道を立てて説明する関わり方が、仕事の評価と結びついていました。好き嫌いとは別に、伝え方を工夫する余地はありそうです。

気持ちを書き出すこと

モヤモヤを紙に書き出す方法は、気持ちを整理する手段としてよく勧められます。つらい出来事や気持ちを書く方法を調べた146の研究をまとめた分析では、効果はあるものの、その大きさは小さいとされました。書けばすっきり解決する、というものではありませんが、自分が何に引っかかっているのかを確かめる助けにはなります。

スピリチュアルな見方とのつきあい方

「この経験にも意味がある」と考えることで、気持ちが少し楽になる人もいるでしょう。それはそれで大切にしてかまいません。ただ、合わない原因を自分の魂やカルマだけに求めると、我慢しすぎたり、必要な相談をためらったりすることがあります。

研究では、関係の質を左右するのは上司側の要因が大きく、関係は変わることもあると分かっています。眠れない、食欲がない、朝になると体が動かないといった状態が続くときは、医療機関や相談窓口に相談してください。

例として、目に見えない世界をテーマにした本『見えない世界の歩き方』(大野百合子、永岡書店、2018年)の販売ページです。

GO!GO!スピリチュアル 見えない世界の歩き方

¥496 (税込)

Amazonで詳細を見る

※ 価格は投稿時点のものです。最新の価格はAmazonでご確認ください。

よくある質問

Q. 上司と合わないのは、スピリチュアルなサインですか?

A. 魂の学びやカルマで説明する考え方はありますが、出どころは見つかりませんでした。研究では、上司と部下の関係の質を左右するのは上司側の要因が大きいとされています。

Q. 合わないのは自分のせいでしょうか?

A. 247の研究をまとめた分析では、関係の質を最もよく説明したのは上司側の要因でした。自分だけを責める必要はありません。

Q. 上司と合わないと、辞めるしかないですか?

A. 研究では、関係の質と実際に辞めるかどうかの関係ははっきりしていません。異動の希望を出す制度がある会社も多く、関係が変わった例もあります。

Q. パワハラかどうか分からないときは?

A. 社内の相談窓口や、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。調査では、パワハラをした人で最も多いのは上司でした。

Q. 鏡の法則は本当ですか?

A. 心理学には自分の性質を相手に映して感じる「投影」という言葉がありますが、相手に反応するときはいつもそうだ、という法則として確かめられたものではありません。

Q. 上司と合わないことを、誰に相談すればいいですか?

A. 調査では、ストレスを相談できる相手として上司を挙げる人も多くいます。直属の上司と合わないときは、その上の上司や別の部署の人、社内の窓口も考えてみてください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました