五帝銭(ごていせん)は、中国・清の時代の5人の皇帝の銅銭を、5枚ひと組にしたものです。風水では、お金を招き、悪い気を家に入れないお守りとして、玄関の敷居の下に置いたり、赤いひもでつないで戸口に掛けたり、財布に入れたりして使われます。
とはいえ、もとは当時の人がふつうに使っていたお金です。ここでは、5枚の銭の名前と年号、なぜこの5枚なのか、風水の解説で紹介されている置き方、円い形と四角い穴の意味、そして本物の古銭と複製の見分け方を順にまとめます。金運や厄よけの効き目は風水の言い伝えで、確かめられたものではありません。
5枚の銭と、5つの年号

五帝銭の5枚は、清の初めから5代続いた皇帝の銭です。表には、年号の2文字と「通宝(つうほう)」の2文字が、四角い穴を囲むように鋳込まれています(銭の上の字は旧字の「寶」)。年号の古い順に並べると、次のとおりです。
- 順治通宝(じゅんちつうほう)
順治の年号は1644〜1661年。5枚のうち、いちばん古い銭です。 - 康熙通宝(こうきつうほう)
康熙の年号は1662〜1722年。61年続き、5つの年号の中でいちばん長い期間です。 - 雍正通宝(ようせいつうほう)
雍正の年号は1723〜1735年。5つの中でいちばん短い13年です。 - 乾隆通宝(けんりゅうつうほう)
乾隆の年号は1736〜1795年。この時代に、銭がとりわけ大量に作られました。 - 嘉慶通宝(かけいつうほう)
嘉慶の年号は1796〜1820年。5枚のうち、いちばん新しい銭です。
最初の順治から最後の嘉慶まで、合わせて170年あまり。この5枚の組が、ふつう「五帝銭」と呼ばれているものです。
中国の解説には、清の5枚を「小五帝銭」と呼び、それより古い時代の5枚を「大五帝銭」と呼び分けるものもあります。大五帝銭は、秦の半両銭、漢の五銖銭、唐の開元通宝、宋の宋元通宝、明の永楽通宝の組です。最後の永楽通宝は、室町時代の日本に日明貿易などで大量に入ってきて、江戸時代の初めまで使われた銭で、織田信長が旗印に用いたことでも知られています。
なぜこの5人の銭なのか
風水の解説が挙げる理由は、大きく二つあります。
一つは、時代の勢いです。台湾の解説では、この5人の時代を「中国の国力がもっとも強かった時代」と説明しています。英語の風水の解説でも、軍事力も経済も上り調子だった時代の銭なので、その勢いにあやかる、と説明されています。
もう一つは、字の縁起です。中国の解説には、乾隆の「乾」が、中国語でお金を表す「銭」と同じ音に通じる、という読み方を紹介するものがあります。
どちらも、あとから風水の側で付けられた説明です。5枚の銭はお守りとして作られたものではなく、それぞれの時代に、暮らしの中でお金として使われていました。
風水の解説で紹介されている使い方
置き方や持ち方は解説によって細かく違いますが、よく紹介されているのは次の使い方です。
- 玄関の敷居の下に置く
5枚を年号の古い順、順治から嘉慶へと並べて、敷居の下に置く、あるいは埋めます。家の中から玄関に向かって右から左へ並べる、文字の下側を家の内側に向けて表を上にする、と向きまで決めている解説もあります。 - 玄関マットの下に置く
敷居の下に置けない住まいでは、玄関の敷物の下に隠す方法が紹介されています。 - 戸口に掛ける
5枚を赤いひもでつなぎ、玄関のドアの内側やドアノブに掛けます。 - 財布やかばんに入れる
持ち歩くお守りとして使う方法です。 - 家を建てるときに置く
新しく家を建てるときに、四隅と真ん中に置く、という使い方を紹介する解説もあります。
どの使い方にも共通しているのは、家や持ち物の「出入り口」に置くことです。外から入ってくるものの通り道に、守りと財の印を置く考え方だと受け取ると、置き場所に迷ったときにも決めやすくなります。
円い形と四角い穴は「天円地方」
昔の中国の銭は、円い形の真ん中に四角い穴があいています。風水では、外側の円を天、内側の四角を地になぞらえて、「天円地方(てんえんちほう)」の形と読みます。中国の解説には、そのあいだに刻まれた年号を「人」にあてて、天・地・人の三つがそろった形と説明するものもあります。
穴は、暮らしの中では、ひもを通してまとめて持ち運ぶためのものでした。清の時代には、ひもに通した銭のひとつなぎが数える単位として使われ、ひとつなぎは建前では千枚とされていました。
本物の古銭と、複製の見分け方
お守りとして売られている五帝銭の多くは、当時の銭ではなく、形を写して新しく作った複製です。商品名に「レプリカ」と書かれているものもあります。複製を選ぶのも一つの選び方ですが、本物の古銭がほしい場合は、次の点を見てください。
- 作り方
清の銭は、溶かした金属を型に流して作る鋳造の銭です。中国で機械で打って作る銭が出てくるのは、清の終わり近くの1889年からです。縁や文字が機械で打ったように整いすぎているものは、新しく作られたものと考えられます。 - 材質と色
本物の多くは黄銅(真ちゅう)でできています。複製も黄銅のことがあるので、材質だけでは見分けられません。わざと古びた色を付けた複製もあります。 - すり減り方
本物はお金として長く使われたので、文字や縁がすり減っています。新品のようにくっきりしているもの、表面の色だけが古いものは、複製の可能性があります。 - 裏面の文字
裏には、作った銭局の名が満洲文字で入っています。左の文字が「宝」、右の文字が銭局の名です。多いのは、北京の戸部の銭局「宝泉」と、工部の銭局「宝源」のもので、地方の銭局のものには漢字が入るものもあります。 - 大きさ
英国ケンブリッジ大学のフィッツウィリアム博物館が公開している清の銭の記録では、7枚の直径が22.45〜27.53ミリの幅に収まっています。
清の銭は、とても多く作られました。乾隆の中ごろには、1年に370万串(ひとつなぎは建前で千枚)が鋳造されたとされ、英国の博物館の手引きでは、イギリスで最もよく見つかる中国の銭として紹介されています。本物の古銭だからといって、珍しいものとは限りません。
古銭として買うなら、信頼できる業者から買うように、という注意は英語の解説にも書かれています。市場に出回る「本物」には、墓からの出土品も少なくないとされます。気になる人は、買う前に出どころを尋ねてください。
手入れと、置き場所の注意
銅を含む金属なので、湿気の多い場所に置き続けると、緑青(ろくしょう)と呼ばれる青緑のさびが出ます。敷居の下や玄関マットの下は、湿気がこもりやすい場所です。ときどき取り出して乾いた布でふき、さびが広がっていないか確かめてください。
水で洗ったときは、すぐに水気をふき取って乾かします。赤いひもは濡れると色が移ることがあるので、白い布の上で乾かさないほうが安心です。
集合住宅では、玄関ドアの外側は共用部分にあたります。戸口に掛けるなら、ドアの内側にしてください。
例として、複製の五帝銭の販売ページです。商品名に「レプリカ」とあり、色を選ぶ形なので、届く色と大きさは販売ページの表示で確かめてください。
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よくある質問
Q. 五帝銭はどこに置くのがよいですか?
A. 風水の解説でよく紹介されているのは、玄関の敷居の下、置けなければ玄関マットの下、玄関ドアの内側やドアノブ、財布の中です。どれも言い伝えとしての置き方なので、暮らしの中で無理なく置ける場所を選んでください。
Q. 五帝銭の効果は本当にありますか?
A. 金運や厄よけの効き目は風水の言い伝えで、確かめられたものではありません。昔のお金を身近に置いて、お金の出入りを見直すきっかけにする、という受け止め方が無理のない使い方です。
Q. 大五帝銭と小五帝銭は何が違いますか?
A. 小五帝銭は清の順治・康熙・雍正・乾隆・嘉慶の5枚、大五帝銭は秦の半両銭から明の永楽通宝までの、もっと古い時代の5枚です。ふつう「五帝銭」と言えば、清の5枚を指します。
Q. 本物の古銭か複製か、どう見分けますか?
A. 鋳造の跡、すり減り方、裏面の満洲文字を見ます。機械で打ったように整いすぎたもの、新品のようにくっきりしたものは、複製の可能性があります。商品名や説明に「レプリカ」とあれば複製です。



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