オルゴナイトは、樹脂の中に金属のくずや水晶などを封じて固めた置物です。ピラミッドの形のものが多く、見た目がきれいなので飾り物として人気があります。
一方で、「電磁波を和らげる」「空間を浄化する」といった説明とともに売られていることがあります。ここでは、その説明がどこまで確かめられるのかを見ていきます。電磁波については、行政が実際に判断を下した例があるので、そこから紹介します。
「電磁波を防ぐ」という説明に、行政が出した判断

日本では2021年6月17日に、消費者庁が、ある会社に対して景品表示法にもとづく措置命令を出しました。問題とされた表示の中に「電磁波を除去する効果」が含まれていて、会社が出した資料は「合理的な根拠を示すものとは認められない」と判断されました。
アメリカでも、2002年に連邦取引委員会が、携帯電話用の電磁波シールドを売る2社を提訴しています。「最大97%遮断」「99%遮断」という表示が虚偽だとされ、さらに、電磁エネルギーの大部分はアンテナや受話口以外から出ているため、こうした製品はそれに何の効果もないことを伏せていた、と指摘されました。
同委員会は、いわゆるシールドが電波を浴びる量を意味のある程度まで減らすという科学的な証明はない、と述べています。樹脂と金属片と石を固めた置物についても、電磁波を減らすという証明は見つかりませんでした。
「効果は確かめられていませんが、お守りとして」という書き方には注意が必要です。消費者庁は、こうした打ち消しの表示が、読む人の受け取り方を打ち消すものではないと判断しています。このサイトでは、電磁波への効果を魅力として挙げません。
電波について、分かっていること
総務省の説明では、電波には物質を電離させる作用はなく、確認されているのは神経などを刺激する「刺激作用」と、体の温度を上げる「熱作用」の二つだけです。
日本の電波防護指針は1990年6月に定められたもので、影響が出る値に対して10倍、一般の人がいる環境ではさらに5倍の安全率をとって基準が決められています。
そして総務省は、基準値を下回る電波について悪影響を示唆する報告は再現されておらず、科学的に確立した証拠として認められていない、と説明しています。つまり、基準を守って作られた機器のそばで暮らす分には、対策品を置く理由が示されていない、ということです。
国際機関はどう位置づけているか
国際がん研究機関は2011年に、無線電話の使用を発がん性の分類で「グループ2B」としました。脳の腫瘍について限定的な証拠があることにもとづく分類で、リスクの大きさは定量化されていません。
このとき挙げられた具体的な方法は、ハンズフリーの利用やメールの活用でした。シールドや置物は挙げられていません。2024年に出た世界保健機関の委託による系統的レビューでは、携帯電話の使用と頭部のがんの関連は認められていません(この分析の方法については、専門家からの批判もあります)。
「オルゴン」という考えの出どころ
オルゴナイトという名前のもとになっているのは、精神科医ヴィルヘルム・ライヒが唱えた「オルゴン」という考えです。生命のエネルギーを集められるとして、「オルゴン集積器」という装置が作られました。
この装置については、アメリカの食品医薬品局の判決記録が残っています。1959年に発行された記録で、ライヒらを相手にした訴えが扱われ、装置の販売が差し止められました。
いまの主流の査読のある学術誌を探しても、オルゴンの存在や、集積器の効果を示した対照のある研究は見つかりませんでした。オルゴナイトの「浄化」「癒し」「開運」の効果を調べた研究も、見つかりませんでした。
「水晶がエネルギーを増幅する」という説明
水晶を入れる理由として、圧電効果(ピエゾ効果)を挙げる説明があります。これは、力を加えると、その力に比例した電気の偏りが生じる現象です。1880年にキュリー兄弟が電気石で見つけ、いまは水晶発振子などに使われています。
ここで大事なのは二つです。力を加えなければ何も起きないこと。そして、起きているのはエネルギーの形を変える働きで、増幅ではないことです。置いてあるだけの水晶が、何かを増幅しているという説明には使えません。
ピラミッドの形について
「古代エジプトでは、ピラミッドの形が宇宙のエネルギーを集めるアンテナと考えられていた」という説明をよく見かけます。けれども、ピラミッドの形に力があるという説(ピラミッドパワー)は、1930年代にフランスで唱えられた近代のものです。
古代エジプトの考えとして語られているものが、実は20世紀に生まれた説だということです。形が好きで選ぶのはかまいませんが、古い由来として受け取る必要はありません。
自分で作るときに気をつけること
材料を買って自作する人もいます。使うエポキシ樹脂は、扱いに注意がいる薬剤です。
- 主成分は、皮膚にアレルギーを起こすおそれのある物質として区分されている(皮膚感作性 区分1)
- 皮膚と目への刺激性も区分されている(どちらも区分2A)
- 保護手袋と保護眼鏡を使い、換気をしながら作業する
- 硬化前の樹脂が肌に付かないようにする。作業台と床を養生する
- 子どもと一緒に作るときは、硬化後の仕上げ作業だけにする
見落とされがちですが、置物として置いたあとの注意もあります。ピラミッド形は角がとがっていて、落とすと床を傷めます。そして樹脂は見た目より重いので、高いところや、地震で落ちる場所には置かないでください。
飾り物として楽しむなら
中に封じられた金属や石の見え方は、オルゴナイトの面白さです。光を当てると色が変わるもの、気泡の形が違うもの、作り手ごとに表情があります。飾って気分が上がるなら、それは本物の効き目です。
気をつけたいのは、値段です。効果を理由に高額な品を勧められたときは、その効果が確かめられたものかを尋ねてください。答えが「個人差があります」「体感する人が多い」であれば、確かめられていないという意味です。困ったときは消費生活センターに相談できます。
例として、ピラミッド形のオルゴナイトの置物の販売ページです。樹脂に金属片と石を封じた飾り物で、大きさや中身は販売ページの表示で確かめてください。
※ 価格は投稿時点のものです。最新の価格はAmazonでご確認ください。
よくある質問
Q. オルゴナイトは電磁波を防げますか?
A. それを示す証明は見つかりませんでした。2021年に消費者庁は「電磁波を除去する効果」の表示について、提出資料が合理的な根拠を示すものとは認められないとして措置命令を出しています。
Q. 電磁波は体に悪いのですか?
A. 総務省は、確認されているのは刺激作用と熱作用の二つだけで、基準値を下回る電波について悪影響を示唆する報告は再現されておらず、科学的に確立した証拠として認められていないと説明しています。
Q. 携帯電話は発がん性があると聞きました。
A. 国際がん研究機関は2011年に無線電話の使用をグループ2Bに分類しましたが、リスクの大きさは定量化していません。挙げられた方法はハンズフリーやメールの利用で、シールドや置物ではありません。
Q. 水晶がエネルギーを増幅するというのは本当ですか?
A. 圧電効果は、力を加えたときに電気の偏りが生じる現象です。力を加えなければ何も起きず、エネルギーの形を変える働きであって増幅ではありません。
Q. ピラミッドの形には意味がありますか?
A. 形に力があるという説は、1930年代にフランスで唱えられた近代のものです。古代エジプトの考えとしては確かめられません。
Q. 自分で作るときの注意はありますか?
A. エポキシ樹脂の主成分は、皮膚にアレルギーを起こすおそれのある物質として区分されています。保護手袋と保護眼鏡を使い、換気をしながら作業してください。



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