前にも見た夢を、また見た。場所も筋書きもほとんど同じで、目が覚めてから「またこの夢か」と思う。夢占いの解説では、繰り返す夢を「心からの大切なメッセージ」と説明することがよくあります。
同じ夢を繰り返し見ることは「反復夢」と呼ばれ、研究されています。ここでは、どれくらいの人が経験するのか、どんな内容が多いのか、心の状態とどう関わるのかを見ていきます。そして、同じ悪夢が続くときに相談できる先をまとめます。
大人の6〜7割が、一度は経験する

反復夢は、めずらしいものではありません。研究の中では、大人の60〜75%が一度は反復夢を見たことがあると紹介されています。子どもについては、11歳の168人を調べた研究で、35%が反復夢を見ていると答えていました。
同じ夢を見るたびに「自分だけおかしいのでは」と思う必要はありません。多くの人が、人生のどこかで経験していることです。
子どものころに何度も見た夢を、大人になっても覚えている人は少なくありません。強い感情をともなった夢ほど記憶に残りやすく、それが何度も繰り返されれば、なおさらです。「昔よく見ていたあの夢を、久しぶりにまた見た」という形で戻ってくることもあります。
反復夢は、まったく同じ夢がくり返されるとは限りません。舞台や登場人物は少しずつ違っても、追われる、間に合わない、といった筋が同じなら、本人には「また同じ夢だ」と感じられます。研究でも、こうした筋の共通する夢を含めて数えています。
多いのは「追いかけられる」夢
反復夢の中身には、はっきりした傾向があります。212件の反復夢を調べた研究では、66%に、夢を見ている本人に向けられた脅威が含まれていました。誰かや何かに追われる、襲われる、危ない目に遭う、といった内容です。
テーマとして最も多いのが「追いかけられる」夢で、子どものころの反復夢では41.5%、大人の反復夢では14.6%を占めていたと報告されています。ほかにも、落ちる、試験に間に合わない、といった夢がよく挙げられます。
繰り返す夢の多くが不安や脅威を含んでいることは、研究ではっきりしています。「やさしいメッセージ」として受け取れる夢ばかりではない、ということです。
反復夢と、心の状態
18歳から21歳の52人を比べた研究では、いま反復夢を見ている人だけが、心の健康の得点が低くなっていました。以前は見ていたが今は見ない人、見たことがない人とは、差がありました。
反復夢が止むと心の状態が持ち直す、という報告もあります。ただし、どれも一時点で比べた研究なので、反復夢が心の状態を悪くするのか、心の状態が悪いときに反復夢が出るのかは分かりません。
言えるのは、同じ夢が続く時期は、何かを抱えている時期と重なりやすい、ということです。夢の意味を調べるより、いまの暮らしで何が負担になっているかを見るほうが、手がかりになります。夢は、そのことを知らせる目覚まし時計くらいに考えるとよいでしょう。
起きている生活が夢に続いて出てくることは、夢の研究でおおむね支持されています。試験の前に試験の夢を見る、職場で行き詰まっているときに道に迷う夢を見る、といった重なりは、その考え方で説明がつきます。気がかりが片づくと、同じ夢を見なくなることも多いものです。
同じ悪夢が続くときは、相談する
繰り返す夢が悪夢で、眠るのが怖い、日中もつらいという状態なら、夢占いではなく医療の話になります。
- 怖い出来事のあとに、同じ悪夢を見る
事故や災害、暴力など、怖い出来事を体験したあとに、同じ悪夢を繰り返し見ることがあります。心的外傷後ストレス障害の症状の一つです。出来事から数か月たっても続く、または生活に支障があるときは、専門の医療機関に相談するよう自治体が案内しています。 - 悪夢が頻繁で、日常生活に差し支える
国立精神・神経医療研究センターは、悪夢障害の可能性があると説明しています。治療として、起きているあいだに夢の筋書きを書き換えて繰り返し思い描く方法が知られています。
相談先が分からないときは、こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(受付時間は都道府県ごとに違います)や、よりそいホットライン 0120-279-338(24時間)に電話できます。まずは、かかりつけの医師に話してもかまいません。
繰り返す夢と付き合うために
- 見た夢を、朝のうちに数行書く。日付と、そのときの気分も
- どんな時期に同じ夢を見るかを、1か月ほど振り返る(忙しい時期、人間関係の変わり目など)
- 夢の筋書きを、自分の好きな終わり方に書き換えて、昼間に思い描いてみる
- 眠るのが怖い、日中もつらいなら、相談先を使う
三つめの方法は、治療として知られている方法の考え方を、軽い形で取り入れたものです。追いかけられる夢なら、振り向いたら相手が道を聞きたかっただけ、という結末を考えてみる。悪夢が強いときに一人で無理に行う必要はありませんが、気になる夢を見たあとに試す分には害がありません。
夢占いの読み方について
夢占いの本では、追いかけられる夢は「問題から逃げている」、落ちる夢は「不安や自信のなさ」といった意味が載っています。どれも著者の読み方で、確かめられたものではありません。
ただ、研究で分かっていることと方向が重なる部分もあります。反復夢の多くが不安や脅威を含み、心が疲れている時期に出やすい、という点です。夢占いの本を引くなら、意味をうのみにするより、「いま何が怖いのか」を考えるきっかけにすると役に立ちます。
よくある質問
Q. 同じ夢を何度も見るのは、よくあることですか?
A. よくあることです。大人の60〜75%が一度は反復夢を見たことがあると紹介されていて、11歳の168人の調査でも35%が見ていました。
Q. 繰り返し見る夢には、どんな内容が多いですか?
A. 212件の反復夢を調べた研究では、66%に本人に向けられた脅威が含まれていました。最も多いのは追いかけられる夢で、子どものころの反復夢の41.5%、大人の反復夢の14.6%を占めていました。
Q. 同じ夢を見るのは、心が疲れているからですか?
A. いま反復夢を見ている人は心の健康の得点が低かったという研究があります。ただ一時点の比較なので、どちらが原因かは分かりません。暮らしの負担を見直すきっかけにしてください。
Q. 同じ悪夢が続くときは、どうすればいいですか?
A. 怖い出来事のあとに同じ悪夢が続く、または生活に支障があるときは、医療機関に相談してください。悪夢障害には治療法があります。こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556 も使えます。
Q. 反復夢は、止めることができますか?
A. 確実な方法はありませんが、夢の筋書きを起きているあいだに書き換えて思い描く方法が、悪夢の治療として知られています。反復夢が止むと心の状態が持ち直すという報告もあります。
Q. 夢占いの意味は当たっていますか?
A. 載っている意味は著者の読み方で、確かめられたものではありません。「いま何が不安なのか」を考えるきっかけとして使うのが無理のない使い方です。
Q. 同じ夢を見ないようにする方法はありますか?
A. 確実な方法はありません。気がかりが片づくと見なくなることが多いので、まずいまの負担を見直してください。悪夢で眠れないほどなら、医療機関に相談すると治療の方法があります。
Q. 子どものころの夢を、また見るようになりました。
A. めずらしいことではありません。強い感情をともなった夢は記憶に残りやすく、忙しい時期や環境が変わった時期に、昔の夢が戻ってくることがあります。いまの暮らしの負担を見直すきっかけにしてください。


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