大安の読み方と意味|たいあん・だいあん、六曜の決め方、カレンダーで食い違った年、明治と戦時中に禁じられた歴史

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星読み・暦

カレンダーや手帳の日付の下にある「大安」の文字。結婚式や引っ越しの日を選ぶときに目にしますが、読み方は「たいあん」なのか「だいあん」なのか、どうしてその日が大安になるのかは、意外と知られていません。

ここでは、まず辞典で大安の読み方と意味を確かめ、六曜の決め方を旧暦の日付から説明します。そのうえで、カレンダーによって六曜が食い違った年、明治と戦時中に暦から外された歴史、今どれくらいの人が大安や仏滅を気にしているのか、大安と一緒によく語られる吉日の意味を紹介します。

大安の読み方は「たいあん」

大安の読み方と意味|たいあん・だいあん、六曜の決め方、カレンダーで食い違った年、明治と戦時中に禁じられた歴史のイメージ

辞典の見出しは「たいあん」です。日本国語大辞典は「だいあん」とも読むとしていて、ブリタニカ国際大百科事典も「だいあんともいう」と書いています。どちらの読みも間違いではありません。「大安吉日」は「たいあんきちじつ」と読み、「たいあんきちにち」とも読みます。

一方、奈良の大安寺は「だいあんじ」、大安寺の寺領だったことに名前が由来する三重県の旧大安町(2003年にいなべ市になりました)は「だいあんちょう」と読みます。「だいあん」と読む人がいるのは、こうした地名や寺の名に親しんでいることも一因かもしれません。

大安とは:六曜の一つで、一日中よい日

大安は、カレンダーに書かれる六曜(先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口)の一つで、何事にもよいとされる日です。百科事典は、婚姻・移転・建築・旅行・新しい事業など、すべてに一日中よい日とし、大安吉日に結婚式をすることは、友引に葬式をしないことと並んで、最も広く受け入れられた習わしだと説明しています。

もとの記事は、大安の「大」は「すべて・万事」を表す、と書いていましたが、辞典が挙げる言葉としての意味は「きわめて安らかなこと」です。

六曜は、もともとは日ではなく時刻の吉凶を占うものでした。百科事典によると、中国から室町時代のはじめごろに伝わり、「小六壬」と呼ばれ、名前も大安・留連・速喜・赤口・将吉・空亡でした。寛政年間(1789〜1801年)には、泰安・流連・則吉・赤口・周吉・虚亡と書かれ、天保年間(1830〜1844年)に今の名前と順番に落ち着きました。大安は、一時「泰安」と書かれていたことになります。もとの記事は室町時代ごろに広まったと書いていましたが、世の中に広まるのは江戸時代の末からで、明治以後に手軽な吉凶の目安として急に広まりました。

大安の決め方:旧暦の日付で決まる

六曜は、旧暦(太陰太陽暦)の日付から機械的に決まります。旧暦の各月の1日に決まった六曜を当て、あとは先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の順に繰り返します。

  • 旧暦の1日の六曜
    1月・7月は先勝、2月・8月は友引、3月・9月は先負、4月・10月は仏滅、5月・11月は大安、6月・12月は赤口。閏月は前の月と同じです。
  • 計算で表すと
    旧暦の月と日を足して6で割り、余りが0なら大安、1なら赤口、2なら先勝、3なら友引、4なら先負、5なら仏滅です。たとえば旧暦5月1日は、5+1=6で余りが0なので大安です。
  • 必ず決まっている日
    旧暦の5月1日と11月1日は必ず大安です。釈迦が亡くなったとされる旧暦2月15日は必ず仏滅で、幕末の暦の本では「物滅」と書かれていました。

旧暦の月は30日か29日なので、月が変わると、六曜はふつう1つか2つ飛びます(閏月に入るときは飛ばないこともあります)。旧暦の月の大小の並びは年ごとに違うため、飛ぶ場所に規則がないように見え、それが六曜を神秘的に見せている、と暦の研究者は書いています。実際には、旧暦の日付と六曜の対応は毎年同じです。

もとの記事は、月が変わるところで順番がずれ、「2日連続で大安になる」ことがある、と書いていました。けれども、月が変わるときは六曜が先へ飛ぶか、そのまま続くだけなので、同じ六曜が2日続くことは起きません。大安の決め方を研究ノートで示した暦の研究者も、月と日の和を6で割る同じ式を注に書いています。(計算)旧暦の30日の月には大安が5日、29日の月には4日か5日あるので、大安は1年のおよそ6分の1、60日前後になります。

カレンダーによって六曜が違った年

今の日本には、国が出す公式の旧暦がありません。国立天文台は、「今日は旧暦の何日か」という質問にはっきり答えられないことがある、と説明しています。六曜は、カレンダーを作る側が旧暦を計算して決めています。

そのため、2017年には、2月26日から3月27日までの六曜が違う、2種類のカレンダーが出回りました。旧暦2月の始まりを決める新月が2月26日の23時58分ごろと、日付の変わり目すれすれだったため、26日を旧暦2月1日とするか、27日とするかで割り当てが分かれたのです。暦の研究者によると、結婚式場や神社、お寺では深刻な問題になり、両方のカレンダーを見せて本人に選んでもらった式場もあったそうです。結局、国立天文台が前の年の2月に公表した暦要項に新月の時刻が2月26日23時58分と載っていたことから、26日を旧暦2月1日とする形に落ち着きました。

国立天文台は、2033年から2034年にかけて、旧暦のもとになった天保暦の決まりどおりには閏月を決められない「2033年問題」があると説明していて、閏月の入れ方は3通り考えられます。(計算)案によって旧暦の月の番号がずれるので、2033年の夏の終わりから2034年の2月ごろまで、カレンダーによって六曜が食い違う可能性があります。

公の暦には載らなかった六曜

もとの記事は、大安は迷信ではなく、日本人が長い年月をかけて育ててきた暦の知恵だ、と書いていました。けれども六曜は、江戸時代の幕府が認めた暦にも、それ以前の暦にも載っていません。明治5年(1872年)の改暦の詔書は、暦の中段・下段の吉凶の注記を、でたらめで人の知恵の発達を妨げるものとして退け、国立天文台も、これらの注記は迷信にすぎないとして廃止された、と説明しています。

それでも、取り締まりをかいくぐって出回る作者不明の暦は「おばけごよみ」と呼ばれました。1941年5月には、内務省が、六曜や三隣亡、九星などを載せた暦を取り締まる通牒を出した、と新聞が報じています(2か月ほどあとには、一部をゆるめる扱いも報じられました)。戦後の1946年7月、内務省令で暦の発行が自由になりました。今のように六曜入りのカレンダーが当たり前になったのは、そのあとのことです。

公的な手帳に六曜を載せない方針をとった自治体もあります。三重県は、2019年版の県民手帳の業者選びで、六曜の記載を求める声が多いという業者の質問に対し、記載は認めないと答えています。理由は、人権が尊重される三重をつくる条例にもとづき、根拠のない六曜を信じることが、決めつけやうわさ、偏見を後押しすることにつながるため、としています。

今どれくらい気にされているか

2006年に東京23区に住む1,200人に尋ねた調査では、仏滅の結婚式や友引の葬式は「避けた方がよい」と答えた人が58.4%、「気にする必要はない」は12.2%でした。佐賀県鳥栖市が2019年に行った調査(677人が回答)では、結婚式は大安がいちばんよい、友引に葬式をしてはいけない、という習わしについて、「当然だと思う」27.5%、「おかしいと思うが自分だけ反対しても仕方がない」29.1%、「間違っていると思う」15.2%と、答えが分かれました。

行動にも表れています。京都大学病院で1992〜1995年に退院した患者を調べた研究(1998年)では、1日あたりの退院数は大安が25.8人で最も多く、仏滅が19.3人で最も少なくなっていました。入院日数も大安に退院する人が最も長く、この差による病院の費用の増加は740万円と見積もられています。

もとの記事は、結婚式場や神社では大安の日に予約が集中することが多い、と書いていましたが、それを示す公的な統計は見つかりませんでした。

大安と一緒に語られる吉日

もとの記事は、大安と天赦日、大安と寅の日が重なる日を、特によい日として勧めていました。辞典の意味を確かめておきます。

  • 天赦日(てんしゃにち)
    四季にそれぞれ1回ずつある最上の吉日とされます(春は戊寅、夏は甲午、秋は戊申、冬は甲子の日)。(計算)干支は60日で一回りし、季節の長さによって同じ干支が1回か2回入るので、季節の区切りを目安に2020〜2035年を数えると、年に5〜7回(多くの年は6回)になります。
  • 一粒万倍日
    物事を始めるのによい日ですが、借金をするのには悪い日とされます。
  • 寅の日
    虎は千里行って千里戻ることから、婚礼などを避けた日とされてきました。毘沙門天の縁日でもあります。

もとの記事は、大安と寅の日の重なる日を金運の日として勧め、別の節では大安を結婚式や入籍に勧めていましたが、寅の日はもともと婚礼を避けた日です。吉日を選ぶなら、それぞれの日が何を避ける日なのかも知っておくと、行事と組み合わせるときに迷わずにすみます。

旧暦や暦の注記の成り立ちを詳しく知りたいときは、暦の研究で知られた岡田芳朗さんの『旧暦大全』(角川ソフィア文庫、2026年)があります。『旧暦読本』を改題して編み直した本です。

よくある質問

Q. 大安は何と読みますか?

A. 辞典の見出しは「たいあん」で、「だいあん」とも読みます。大安吉日は「たいあんきちじつ」です。

Q. 大安はどうやって決まるのですか?

A. 旧暦の月と日を足して6で割り、余りが0の日が大安です。旧暦の5月1日と11月1日は必ず大安になります。

Q. 大安が2日続くことはありますか?

A. ありません。旧暦の月が変わると六曜は1つか2つ先へ飛ぶだけなので、同じ六曜が2日続くことは起きません。

Q. カレンダーによって大安の日が違うことはありますか?

A. 公式の旧暦がないため、まれにあります。2017年の2月26日から3月27日には、六曜の違う2種類のカレンダーが出回りました。

Q. 大安と寅の日が重なる日に結婚式をしてもいいですか?

A. 寅の日は、もともと婚礼を避けた日とされてきました。気になる人は、両方の意味を知ったうえで選んでください。

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