夢を見ている最中に「これは夢だ」と気づく。その状態を明晰夢と呼びます。
夢のなかで自由に動けると聞くと魅力的ですが、練習には眠りの質を落とす面もあります。方法と、注意すべき点の両方を置いておきます。
明晰夢とは、どういう状態か

眠っているあいだ、多くの夢では自分が夢のなかにいることに気づきません。どれだけ不思議なことが起きても、その場では当たり前のこととして受け入れています。
明晰夢では、そこに気づきます。気づいたあと、そのまま眺めている場合もあれば、動きを選べる場合もあります。どこまでできるかには個人差があり、気づいた瞬間に目が覚めてしまうこともよくあります。
特別な能力ではありません。一度も見たことがないという方もいますが、子どものころに経験している方は珍しくありません。
怖い夢のなかで「これは夢だ」と気づいて落ち着いた、という形で経験している方もいます。意識して見ようとしなくても、自然に起きることがあるということです。
見るための練習
確実な方法はありませんが、報告の多いやり方をいくつか挙げます。どれも数日で結果が出るものではなく、数週間の習慣として続けるものです。
起きているあいだに「今は夢か」と確かめる
もっとも基本とされる練習です。日中、一日に何度か立ち止まって「今は夢ではないか」と自分に問いかけます。
問いかけるだけでなく、確かめる動作を決めておきます。手のひらを見る、文字を二度読む、時計を二度見る。現実ではどれも変化しませんが、夢のなかでは形が変わったり読めなかったりすると言われています。
これを習慣にしておくと、夢のなかでも同じ動作をすることがあり、そこで気づけるという仕組みです。思い出したときにやる、では足りません。時間を決めて、一日に何度かくり返してください。
夢を書き留める
夢を覚えていない状態では、明晰夢を見ても覚えていられません。まず思い出す力をつける段階が必要です。
起きたらすぐ、覚えている範囲を書きます。続けるうちに思い出せる量が増えていき、自分の夢によく出てくる場面が分かってきます。それが「夢の目印」になります。
目印を決めておく
記録を読み返すと、くり返し出てくる場所や状況が見つかります。学校、実家、水のある場所、遅刻しそうな場面。
「この場面が出てきたら夢だ」と決めておくと、実際にその場面で気づけることがあります。自分の夢の傾向を使う方法なので、人によって目印は違います。
一度起きてから、また眠る
明け方に一度目を覚まし、しばらく起きてから再び眠る方法が知られています。夢を見やすい時間帯に、意識がやや残った状態で入るためだと説明されます。
ただしこの方法は睡眠を分断します。翌日に予定がある日は避けてください。続けると寝不足になり、日中の活動に影響します。
どのくらいで見られるようになるか
報告を見ると、早い方で数日、多くは数週間から数か月というところです。個人差が大きく、同じ方法でも結果はそろいません。
はじめのうちは、「夢だと気づきかけたが目が覚めた」という段階が続きます。これは失敗ではなく、途中経過です。気づきかけたということは、練習が届いている合図だと考えてください。
夢を思い出せる量が増えてきたら、それも進んでいる証拠です。明晰夢そのものより先に、こちらの変化が現れることが多くあります。
気づいたあと、どうなるか
夢だと気づいた瞬間、多くの場合は興奮して目が覚めてしまいます。これは慣れの問題で、回数を重ねると落ち着いていられるようになります。
- 気づいたら、まず動かずに周りを見る。急に動くと覚めやすくなります
- 手をこすり合わせる、その場で回るなど、感覚に集中すると続きやすいと言われています
- 覚めそうになったら、夢のなかの何かに触れて感触を確かめる
- 覚めてしまっても、そのまま目を閉じていると戻れることがあります
何ができるかは人によって大きく違います。自由に飛べる方もいれば、気づいてもただ眺めているだけという方もいます。どちらでも構いません。
無理に続けないほうがよい場合
練習には代償があります。次のような状態になったら、いったんやめてください。
- 日中に眠気が強く、生活に支障が出ている
- 眠るときに緊張するようになった
- 夢と現実の区別があいまいに感じられる
- 明晰夢を見られない日に落ち込むようになった
とくに一度起きてから眠り直す方法は、睡眠のリズムを崩しやすいものです。もともと眠りが浅い方、不眠で困っている方には向きません。
眠りに関する不調が続く場合は、練習を中断して医療機関にご相談ください。明晰夢は、体調と引き換えにするようなものではありません。
練習を始める前に整えておくこと
方法そのものより、土台になる部分が整っていないと続きません。先に確認しておきたい点を挙げます。
- 眠る時間を確保する
睡眠が足りていない状態では、そもそも夢を覚えていられません。練習を始める前に、まとまった睡眠が取れているかを見てください。 - 起きる時刻をそろえる
リズムが安定していると、夢を見やすい時間帯も安定します。就寝時刻より起きる時刻をそろえるほうが調整しやすい部分です。 - 寝る前の刺激を減らす
強い光や刺激の強い映像は、眠りに入るまでの時間を延ばします。就寝の一時間前から控えるだけで変わります。 - 記録の道具を枕元に置く
起きてから探しに行くと、その間に夢が消えます。紙とペンを手の届く場所に置いておいてください。
この四つが揃っていれば、練習の効果が出やすくなります。逆に揃っていない状態で方法だけ試しても、続かないことが多いものです。
見られなくても困らない
明晰夢を見られる頻度には大きな個人差があります。毎晩見るという方もいれば、何年も練習して数回という方もいます。
見られないことが何かの欠けを意味するわけではありません。夢を覚えていられるようになっただけでも、自分の考えごとの傾向が見えてくるという収穫があります。
練習の途中で興味がなくなったら、そこでやめて構いません。記録だけ残しておけば、またやりたくなったときに再開できます。
夢に登場するさまざまなシンボルや状況の意味をもっと詳しく知りたい方には、夢のシンボルを項目ごとに引ける、夢占いの本が参考になります。夢日記と一緒に手元に置いておくと、夢の記録と読み解きがより深まるでしょう。
※ 価格は投稿時点のものです。最新の価格はAmazonでご確認ください。
よくある質問
Q. 明晰夢は誰でも見られますか?
A. 頻度には大きな個人差があります。練習で見られるようになったという報告は多くありますが、全員が同じように見られるわけではありません。見られなくても問題はなく、夢を思い出せるようになるだけでも得るものがあります。
Q. 明晰夢を見ると疲れませんか?
A. 夢のなかで動いても体は休んでいます。ただし練習の方法によっては眠りが分断され、その結果として疲れが残ることがあります。日中に強い眠気があるなら、練習の頻度を減らしてください。とくに明け方に一度起きる方法は負担が大きいので、翌日に予定がない日に限って試すことをおすすめします。
Q. 金縛りと関係がありますか?
A. 明晰夢の練習中に金縛りを経験したという報告はあります。体が眠っていて意識が起きている状態で起こるとされ、怖い体験になることもあります。頻繁に起こる、恐怖が強いという場合は練習を中断し、必要に応じて医療機関にご相談ください。
まとめ
明晰夢を見るには、日中の確認を習慣にし、夢を書き留める。この二つが土台になります。数週間は続ける前提で始めてください。
そして、眠りを削ってまで追いかけるものではありません。日中の眠気が出てきたら、そこで一度休む。その加減さえ守れば、自分の夢を知る面白い習慣になります。
見られる日と見られない日の差に一喜一憂しないことも、続けるうえでは大切です。毎晩見ようとするより、気が向いた時期にまた試すくらいの距離感のほうが、結果として長く付き合えます。
記録だけは残しておいてください。しばらく離れていても、自分の夢の傾向が書かれた紙があれば、いつでも再開できます。
眠りを整えることは、明晰夢を見るかどうかに関わらず日中の調子に返ってきます。そこだけでも十分に価値のある習慣です。



コメント