自分はどこか地球になじめない。もしかしたら、魂は別の星から来たのかもしれない。スターシードは、そんな感覚を説明する言葉として、ネットや本で目にすることが増えました。
ここでは、スターシードという考えがいつ、誰の本から広まったのかを確かめます。よく出てくるプレアデスやシリウスが天文学でどんな天体なのか、特徴のリストに当てはまると感じる理由、つらいときの相談先もまとめます。
スターシードとは

スターシードは、英語で「星の種」という意味の言葉です。宇宙の別の星や次元から来た魂が、人として地球に生まれている、と信じる考え方を指します。辞典をまとめたコトバンクには項目がなく、決まった定義はありません。その存在を確かめた研究もなく、経験的な証拠は示されていない、と説明されています。
言葉の出どころ
イギリスの大学の心理学者3人が2023年に書いた解説によると、スターシードの考えは、アメリカの作家ブラッド・スタイガーに帰せられるのが一般的です。スタイガーは1976年の著書で、一部の人は別の次元から来た、という考えを示しました。1981年には『スター・ピープル』という本も出しています。
「スターシード」という英語そのものは、1973年に心理学者ティモシー・リアリーが本の題に使っていますが、こちらは宇宙への移住をテーマにした本で、今の意味とは違います。1980年代には、この言葉を題に入れたチャネリングの本も出ています。宗教学の論文は、宇宙の存在と人とのつながりをめぐる話が、1950年代には「核戦争から救ってくれる宇宙人」として語られていた、と分析しています。今の意味で最初にこの言葉を使った本がどれかは、確かめられませんでした。
こうした考えは、ニューエイジと呼ばれる運動の中で広まりました。辞典によると、ニューエイジは1960年代のアメリカの対抗文化を背景に、1970年代に花開いた運動です。もとの記事は「1980年代から1990年代のニューエイジ」で広まったと書いていましたが、始まりはそれより前です。
日本では2010年代から
国立国会図書館で、書名に「スターシード」を含む本を調べると、スピリチュアルの意味で最も古いのは2011年5月の本でした。同じ年にもう1冊出たあと、しばらく間があき、2020年以降に続けて出版されています。日本でスピリチュアルが大きなブームになったのは2000年代で、ピークは2007年ごろとされますが、スターシードの本が増えたのはその後です。
「プレアデス系」「シリウス系」の出どころ
スターシードには、プレアデス系は癒やし、シリウス系は知性、アルクトゥルス系は技術、といった「種類」があると説明されます。けれども、この性格の割り当てを最初に書いた人や本は見つかりませんでした。「20種類以上ある」という説明にも出典はありません。
確かめられたのは、1990年にアルクトゥルス、1992年にプレアデスの存在からのメッセージをうたう英語の本が出ていること、シリウスからのメッセージをうたう本の日本語版が2011年に出ていることまでです。どれも、チャネリング(見えない存在の言葉を伝えるとする方法)で書かれたとされる本です。
天体としてのプレアデス・シリウス・アークトゥルス
- プレアデス星団(すばる)
おうし座にある散開星団。数百個の若い星がゆるく集まったもので、一つの星ではない。地球から約410光年。生まれて数千万年から1億年ほどと見積もられている。日本の「すばる望遠鏡」の名前はこの星団から - シリウス
おおいぬ座の一等星で、夜空で最も明るい恒星(マイナス1.46等)。地球から約8.6光年。小さな伴星は、最初に見つかった白色矮星。冬の大三角の一つ - アークトゥルス
うしかい座の一等星。オレンジ色に輝く年老いた巨星で、地球から34〜37光年(辞典によって幅がある)。日本では麦の実るころに見えることから「麦星」と呼んだ地方がある
すばるという名前は、「統べる(一つにまとまる)」から来たとするのが定説です。清少納言の『枕草子』にも「星はすばる」とあります。光の速さで約410年かかる距離なので、今夜見えるすばるの光は、江戸時代の初めごろに星を出た光です。スターシードの話とは別に、実際の星空を眺めてみるのもおすすめです。すばるは秋から冬の夜、シリウスは冬の夜に見えます。
特徴のリストに当てはまると感じる理由
スターシードの特徴として、「どこにいても違和感がある」「人の気持ちに敏感」「使命感がある」「直感が強い」といった項目がよく並びます。前述の心理学者たちは、こうした一覧に多くの人が「自分のことだ」と感じるのは、フォアラー効果(バーナム効果)で説明できるとしています。
バーナム効果は、占いや性格診断で、だれにでも当てはまるようなあいまいな説明を、まさに自分のことだと思い込んでしまう心の働きです。1949年に心理学者フォアラーが授業で示した実験が始まりとされます。当たったと感じた経験ばかりを覚えている「確証バイアス」も、「やはり自分はスターシードだ」という確信を強めます。
心理学者たちはほかにも、想像したことと実際に起きたことを取り違えやすい傾向(空想傾向)や、どこで知った情報かを取り違える記憶の誤りを挙げています。大きな出版社から本が出ていると、それだけで信じやすくなる面もある、と指摘しています。
「地球になじめない」と感じてつらいとき
同じ心理学者たちは、所属感の低さ(どこにも自分の居場所がないという感覚)は、うつと結びつくことが多い、とも書いています。スターシードという考えで気持ちが楽になるならそれもよいのですが、孤独やつらさが続くときは、人に話してみてください。
厚生労働省の「まもろうよ こころ」には、電話やチャットの相談窓口がまとまっています(こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556 など)。内閣府の「あなたはひとりじゃない」では、質問に答えると、自分の状況に合った相談先を探せます。
スターシードという考えとのつきあい方
スターシードは、1970年代のアメリカで生まれ、日本では2010年代から本が出始めた比較的新しい考えです。自分の感じやすさや違和感に、名前を与えてくれるものとして受け止める人もいます。
ただ、自分は特別な存在だと思い込みすぎたり、周りの人との違いを理由に人間関係をあきらめたりすると、生きづらさが増すことがあります。感じやすさは、星の出身でなくても、その人の大切な特性です。
よくある質問
Q. スターシードとは何ですか?
A. 宇宙の別の星から来た魂が人として生まれている、と信じる考え方です。辞典に項目はなく、その存在を確かめた研究もありません。
Q. スターシードという言葉は誰が言い出したのですか?
A. 心理学者の解説によると、アメリカの作家ブラッド・スタイガーの1976年の本に帰せられるのが一般的です。
Q. プレアデス系やシリウス系にはどんな特徴がありますか?
A. 性格の割り当ての出どころは見つかりませんでした。天文学では、プレアデスは約410光年先の若い星の集まり、シリウスは約8.6光年先の明るい恒星です。
Q. 特徴のリストに当てはまりました。私はスターシードですか?
A. 判定する方法はありません。だれにでも当てはまる説明を自分のことだと感じる「バーナム効果」で説明できる、と心理学者は指摘しています。
Q. 日本ではいつから知られていますか?
A. 国立国会図書館で書名を調べると、スターシードの本は2011年に初めて出て、2020年以降に増えています。
Q. 地球になじめず、つらいです。
A. 孤独やつらさが続くときは、厚生労働省の「まもろうよ こころ」などの相談窓口に話してみてください。


コメント