夜空を見上げていたら、すっと光が流れて消えた。ほんの一瞬のことなのに、何か特別なことが起きたように感じます。流れ星に願いごとをする、という言い伝えを思い出した人も多いでしょう。
ここでは、日本や世界で流れ星がどう受け止められてきたかを辞典や記録で確かめ、流れ星の正体と、これから流れ星を見やすい時期を国立天文台の説明から整理します。
日本の古い記録では、不吉のしるしだった

「日本では流れ星は亡くなった人の魂が天へ昇る姿として大切にされてきた」という説明を見かけますが、古い記録をたどると、流れ星はむしろ異変の前ぶれとして書かれています。
『日本書紀』の舒明天皇9年(637年)の記事では、雷のような音を立てて流れた大きな星を、中国の知識にならって「天狗(あまつきつね)」と呼んでいます。天狗という名前は、ここから始まったとされます。辞典は、この記事を、星の異変が地上の異変をもたらすものとして書いたものと説明しています。
平安時代の『日本紀略』には、899年に空に現れて動いた星を、見た人が「奇怪」として「人魂(ひとだま)」と呼んだ記録があります。人魂は、流れ星の俗な呼び名でもありました。流れ星を魂と結びつける見方はあったものの、それは大切にするというより、気味の悪いものとしてでした。
民俗の記録にも、「流れ星があると人が死ぬ」(千葉県市川付近、1950年の報告)、流れ星が寺の近くを通ったら死人が出る(山梨県)といった言い伝えが残っています。
反対に、良いしるしとする言い伝えもあります。香川県の三木町には、流れ星が右からふところに入ったら良いことがあり、左から入ると良いことも流れてしまう、という話が記録されています。流れ星の受け止め方は、土地によってさまざまでした。
流れ星の古い呼び名
流れ星には、奔り星(はしりぼし)、飛び星、抜け星、星の嫁入りなど、いろいろな呼び名がありました。古くは「婚い星(よばいぼし)」という呼び名が広く使われていたと、百科事典は説明しています。「流れ星」は、俳句では秋の季語です。
同じ百科事典は、古代の多くの民族が、死んだ人の魂は天に昇って星になると信じていた、とも書いています。ただし、これは星一般についての話で、流れ星を魂が昇る姿とした記録ではありません。
世界の言い伝え
オーストラリアの先住民97の集団に伝わる流れ星の話を分析した2010年の研究では、共通するテーマは、超自然的な出来事、死、前兆、戦争でした。研究者は、整った動きをする星空の中で、流れ星が予測できない存在だったからだと考えています。
もとの記事にあった、古代ギリシャで流れ星は天球のかけらと考えられた、ネイティブアメリカンの部族が精霊の使いとして崇めた、という話は、出典が見つかりませんでした。
願いを3回唱えると叶う、という言い伝え
流れ星が消えるまでに願いごとを3回唱えると叶う、という言い伝えはよく知られています。けれども、この習わしがどこから来たのか、日本でいつ広まったのかは確かめられませんでした。西洋では、古代の天文学者プトレマイオスが、流れ星は神々が地上をのぞいているしるしだと述べた、という説が紹介されますが、どの著作のどこにあるのかを示したものは見つかりませんでした。
国立天文台によると、流れ星が見えている時間は1秒以下のものが多く、長くても5秒ほど、まれに10秒ほどのものがある程度です。3回唱えるのは、実際にはかなり難しいことになります。言い伝えを楽しむなら、心の中で短く唱えるか、見えたあとに落ち着いて願いを思い浮かべるのでも十分でしょう。
流れ星の正体
流れ星(流星)は、星が落ちているわけではありません。宇宙にある直径1ミリから数センチほどのチリが地球の大気に飛び込み、大気と激しくぶつかって高温になり、気化したチリと大気の成分が光を放つ現象です。
- 光るのは、地上からおよそ120キロから80キロの高さ
- 大気に飛び込む速さは、秒速数十キロから70キロほど
- チリの多くは、彗星が太陽に近づいたときに放出したもの。小惑星から来るものもあると考えられている
- チリが数センチほどあると、マイナス4等ほどより明るい「火球」になる
- 大気の中で燃え尽きずに地上まで届いたものが隕石。隕石の落下は数年に一度ほどしか起こらない
流れ星の色
白い流れ星は浄化、金色は豊かさ、といった色ごとの意味を見かけますが、出典は見つかりませんでした。国立天文台の説明では、流れ星の色は、チリに含まれるカルシウム・マグネシウム・ナトリウム・鉄などが出す光と、大気の窒素や酸素が出す光の組み合わせで決まります。色の違いは、チリの成分や光り方の違いを表しています。
流れ星はいつ見られるか
流れ星は、めったに見られないものではありません。どの流星群にも属さない流れ星(散在流星)は一年中流れていますし、決まった時期に多く流れる流星群もあります。流星群のもとになるチリは彗星などの通り道に沿って散らばっていて、地球が毎年ほぼ同じ日にそこを通るため、同じ時期に現れます。
- しぶんぎ座流星群
1月4日ごろが極大。条件のよい暗い空で1時間に30個ほど。年によって数のむらが大きい - ペルセウス座流星群
8月13日ごろが極大。1時間に40個ほど - ふたご座流星群
12月14日ごろが極大。1時間に60個ほど
この三つは、毎年安定して多くの流れ星が出るので「三大流星群」と呼ばれます。数は、街明かりや月明かりのない十分に暗い空での目安で、街中では数分の1以下になることがあります。
これからの見ごろ
国立天文台の予報では、2026年のふたご座流星群は、12月14日の夜から15日の明け方が見ごろです。月は14日の21時ごろまでに沈み、最も多く流れるのは15日の0時から2時ごろで、空の暗い所なら1時間に60個ほどと予想されています。
2027年1月のしぶんぎ座流星群は、1月4日の未明が見ごろです。1時ごろから見え始め、5時ごろに最も多くなり、空の暗い所で1時間に15〜20個ほどと予想されています。2027年8月のペルセウス座流星群も、明け方に月が沈んだあとは良い条件で見られる見込みです。
流れ星を見るコツ
- 街灯など、人の明かりが少ない場所を選ぶ。天の川が見えるくらいの暗さが目安
- 外に出てすぐにあきらめず、目が暗さに慣れるまで15分ほど待つ。最低でも15分は見続ける
- 見る方向は気にしなくてよい。ただし月のある方向を正面にしない
- 望遠鏡や双眼鏡はいらない。肉眼で空を広く見渡す。レジャーシートに寝転ぶと楽
- スマートフォンなどの明かりは、暗さに慣れた目を戻してしまうので控えめに
冬の流星群は夜中から明け方が見ごろなので、防寒をしっかりして出かけてください。
流れ星を見たら
流れ星は、凶事の前ぶれとも、良いことのしるしとも受け止められてきました。どちらの言い伝えも、一瞬で消える光に、人が意味を見いだそうとしてきた跡です。
見えたときに良い気持ちになったなら、その気持ちを大切にしてかまいません。一つ見えたら、同じ方角だけでなく空全体を見渡して、次の一つを待ってみてください。
よくある質問
Q. 流れ星を見るのは縁起が良いのですか?
A. 良いしるしとする人は多いですが、日本の古い記録では、流れ星は異変の前ぶれや人魂として書かれています。一方で、良いことがあるとする地方の言い伝えもあり、受け止め方はさまざまです。
Q. 流れ星に願いを3回唱えると叶うのは本当ですか?
A. 言い伝えの出どころは確かめられませんでした。流れ星が見えている時間は1秒以下のことが多く、3回唱えるのは難しいのが実際です。
Q. 流れ星の色に意味はありますか?
A. 色ごとの意味は出典が見つかりませんでした。色は、チリの成分と大気の成分が出す光の組み合わせで決まります。
Q. 流れ星を何度も続けて見たのは特別なことですか?
A. 流星群の時期には、暗い空なら1時間に数十個流れることもあります。続けて見えるのは珍しいことではありません。
Q. 次に流れ星がたくさん見られるのはいつですか?
A. 2026年12月14日の夜から15日の明け方のふたご座流星群です。国立天文台は、15日の0時から2時ごろに1時間60個ほどと予想しています。
Q. 流れ星と隕石は違うのですか?
A. 流れ星は小さなチリが大気の中で光る現象で、ほとんどは燃え尽きます。燃え尽きずに地上まで届いたものが隕石です。


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