「黒いオーラが出ている」と言われた、あるいは自分でもそう感じるほど、疲れて気持ちが沈んでいる。そんなときに、黒いオーラの意味や整え方を調べる人もいるでしょう。
ここでは、オーラの色の考えのもとになった本で、黒が何を意味していたかを原文で確かめます。日本で黒がどう受け止められてきたか、黒い服を着ると攻撃的になるのかという研究、気持ちを紙に書く方法の研究、疲れや落ち込みが続くときの相談先もまとめます。
もとの本では、黒は「憎しみと悪意」

人のまわりの色に意味を当てる考えは、神智学の著述家リードビーターの1902年の本から広まりました。その「色とその意味」の章は、黒について「濃い黒い雲は憎しみと悪意を示す」と書いています。激しい怒りに身を任せると、憎しみの思いが重く有毒な煙のようにオーラに漂う、とも説明しています。
同じ本で、深い落ち込みを表すのは「重い鉛色の灰色」、利己心はくすんだ茶色がかった灰色です。ベサントと共著の本(初版は1901年)も、黒は憎しみと悪意、深く重い灰色は落ち込み、くすんだ薄い灰色は恐れ、としています。
もとの記事は、黒いオーラを「心身が疲れているサイン」とし、「黒は悪を意味するわけではなく、変容の前ぶれ」と説明していましたが、どちらももとの本の意味とは違います。また、リードビーターは落ち込みを最も人にうつりやすい状態とし、落ち込みに身を任せる人はまわりに害を与えている、と本人を責める書き方をしていました。もとの記事の「他人のネガティブなエネルギーを受け取る」という説明も、出典は見つかりませんでした。
日本の喪服は、白から黒へ
黒は喪の色、という受け止め方は日本でも古くからありますが、ずっと黒だったわけではありません。辞典によると、奈良時代の制度では、喪服は染めない生地か白い布で作りました。平安時代には黒や鈍色(にびいろ)が喪の色になり、亡くなった人と親しいほど濃く染めました。990年の規定で一位から四位の服の色が黒になり、この時代以降、黒が喪の色として受け取られた、とする辞典もあります。一方で、律令では最も低い身分の人の衣も黒に近い色とされていました。
江戸時代の女性の喪服は、白無垢に白い帯でした。明治以後、天皇の喪服は黒と定められましたが、一般の近親者は明治の終わりまで白い着物を着ていたといいます。女性にも黒の紋服が広まったのは昭和に入ってからで、洋服でも西洋にならって黒が使われるようになりました。黒紋付は、男女とも礼装の着物でもあります。黒は喪の色であると同時に、改まった場の色でもあるのです。
五行の黒、「腹黒い」の黒
中国の五行の考えでは、黒は「水」にあたり、季節では冬、方角では北の色です。冬を「玄冬」と呼ぶのは、「玄」が黒を意味するからで、北を守る四神の玄武もこの色に結びつきます。
一方、「腹黒い」は平安時代の『蜻蛉日記』(974年ごろ)にすでに例がある古い言葉で、「黒幕」「黒星」のように、黒は悪い意味の言葉にもよく使われてきました。百科事典は、黒が地域によっては再生や豊かさを表す色にもなる、と書いています。黒の意味は一つではありません。
黒い服を着ると攻撃的になる?
1988年の有名な研究は、アメリカのプロフットボールとアイスホッケーで、黒いユニフォームのチームは反則が多く、黒に替えたとたんに反則が増えた、と報告しました。けれども、トルコのサッカーの2,142試合を調べた研究では、黒いユニフォームのチームと警告や退場の数に差はなく、アイスホッケーで同じ相手との試合を比べた別の研究でも、黒と攻撃性の関係は見つかりませんでした。アイスホッケーの25シーズン、5万試合あまりを調べて関係があったとする研究もあり、結果は分かれています。
「黒いオーラのサイン」は、うつ病のサインと重なる
もとの記事は、疲れがとれない、やる気が出ない、悪い考えが続く、人間関係に疲れる、といった状態を黒いオーラのサインとして、自分で確かめるよう勧めていました。国立精神・神経医療研究センターは、うつ病の症状として、一日中気分が落ち込む、自分がダメな人間だと感じる、イライラや焦り、体がだるい・疲れやすい、眠れないか寝すぎる、などを挙げています。
もとの記事は、占い師やオーラ診断の専門家への相談も勧めていました。同センターが挙げる相談先は、精神科や心療内科、かかりつけの医師、保健所や精神保健福祉センターです。国民生活センターには、占いサイトについての相談が年に1,400〜1,800件ほど寄せられていて、無料でも名前や生年月日を安易に入力しないよう呼びかけています。
つらい状態が続くときは、働く人の相談窓口「こころの耳」(0120-565-455)や、厚生労働省の「まもろうよ こころ」に載っている電話・チャットの窓口に相談してください。
気持ちを書いて、捨てる
もとの記事は、感情を紙に書き出して燃やす方法を勧めていましたが、火を使う必要はありません。名古屋大学の2024年の実験では、腹の立つことを言われたあと、その原因と考えを紙に書いてごみ箱やシュレッダーに捨てた人は、怒りが元の程度まで下がりました。紙を手元に残した人は高いままでした。自分の体についての考えを書いた紙を破って捨てた人は、その考えをあとの判断に使わなくなった、という研究もあります。
ただ、気持ちを書き出す方法の研究をまとめると、効果はあるものの大きくはありません。書いて楽になることもありますが、それで足りないときは人に話してください。
塩風呂、セージ、石について
塩風呂に入るなら、お湯は41度以下、つかるのは10分までが目安です。ホワイトセージは、北米の先住民の儀式で焚かれてきた植物で、自生地が限られ、採りすぎが心配されています。焚くなら換気と火の始末をしてください。ブラックトルマリンは、昔は喪のジュエリーにも使われた石ですが、石の効き目を本物と偽物で比べた試験では差がありませんでした。
「黒いオーラ」という言葉とのつきあい方
「黒いオーラ」は、もとの本ではむしろ憎しみの色でした。疲れや落ち込みを黒いオーラのせいにすると、休むことや相談することが遅れてしまうかもしれません。まずは眠る時間と休みをとり、続くときは医師や相談窓口を頼ってください。オーラやチャクラについて手元で読みたいときは、矢尾こと葉さんの『はじめてチャクラの本』(永岡書店、2013年。CDつき)などがありますが、本によって説明が違うことも知っておいてください。
よくある質問
Q. 黒いオーラとはどういう意味ですか?
A. オーラの色の考えのもとになった1902年の本では、黒は「憎しみと悪意」、深い落ち込みは「鉛色の灰色」とされていました。
Q. 黒いオーラは疲れているサインですか?
A. もとの本にそうした意味はありません。疲れや落ち込みが続くのは、うつ病の症状と重なることがあるので、医師や相談窓口に相談してください。
Q. 黒い服を着ると攻撃的になりますか?
A. 黒いユニフォームのチームは反則が多いとした研究と、差がなかった研究があり、結果は分かれています。
Q. 日本の喪服はなぜ黒なのですか?
A. 平安時代には黒や鈍色が喪の色でしたが、江戸時代の女性の喪服は白でした。一般の女性に黒が広まったのは昭和に入ってからです。
Q. 気持ちを書いた紙は燃やしたほうがいいですか?
A. 燃やす必要はありません。書いた紙をごみ箱やシュレッダーに捨てるだけで怒りが下がった実験があります。
Q. 黒いオーラを占い師に見てもらうべきですか?
A. 占いサイトの相談は毎年多く寄せられています。つらい状態が続くなら、まず医師や公的な相談窓口に相談してください。


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