体が熱くなるのはスピリチュアルなサイン?|胸や背中が熱いときに確かめたい病気、熱と瞑想の研究

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サイン・前兆

急に体がかっと熱くなる。胸や背中のあたりが、じんわり熱い。スピリチュアルの世界では、こうした感覚をエネルギーの高まりや目覚めのサインと説明することがあります。

けれども、胸や背中が熱い、体が熱いという感覚は、急いで治療が必要な病気でも起こります。ここでは、まず確かめたい症状と病気を厚生労働省や学会の説明でまとめ、そのあとで、感動や瞑想で体が温かくなる仕組みや、クンダリニーと熱の話の出どころを見ていきます。

まず、すぐに119番する症状

体が熱くなるのはスピリチュアルなサイン?|胸や背中が熱いときに確かめたい病気、熱と瞑想の研究のイメージ

厚生労働省の「こんな時は迷わず119へ」では、大人の胸や背中について、次の症状があれば迷わず救急車を呼ぶよう案内しています。

  • 突然の激痛
  • 急な息切れ、呼吸困難
  • 胸の中央が締め付けられるような、または圧迫されるような痛みが2〜3分続く
  • 痛む場所が移動する

すぐ病院に行くべきか、救急車を呼ぶべきか迷うときは、♯7119(救急安心センター)に電話すると、医師や看護師などに相談できます。地域によって番号が違う場合があるので、住んでいる地域の案内も確かめておいてください。

胸や背中の症状で考えられる病気

  • 狭心症・心筋梗塞
    胸の前のほうに、時に左腕や背中に痛みや圧迫感が出る。狭心症は1〜5分ほどで長くても15分以内、心筋梗塞は15分以上、数時間続くこともある。糖尿病の人や高齢の人では症状が分かりにくいことがある
  • 大動脈解離
    ほとんどの場合、前触れなく、突然の胸や背中の激痛とともに起こる。様子を見てよい病気ではなく、一刻も早く救急車を呼ぶ必要がある
  • 胸やけ(胃食道逆流症)
    みぞおちの上の焼けるようなジリジリする感じ。食後2〜3時間までに起こりやすい。胸が詰まるような痛みが出ることもある
  • 帯状疱疹
    体の片側の神経に沿って、痛みや違和感が数日から1週間ほど続き、そのあと赤い発疹が出る。胸や背中などの体幹に多い。薬はできるだけ早く始めることが大切

心臓や大動脈の病気の説明では、症状は「熱い」ではなく「締め付けられる」「圧迫される」「激しい痛み」と書かれています。熱い感じに、締め付けや圧迫感、息苦しさ、冷や汗が加わるときは、ためらわずに相談してください。国立循環器病研究センターは、夜中でも朝まで我慢する必要はないとしています。

体全体が熱くなるときに考えられること

  • 更年期のほてり: 閉経をはさむ10年ほどの時期に、顔ののぼせやほてり、汗が急に出る(ホットフラッシュ)。1回は1〜5分ほど
  • 甲状腺の病気(バセドウ病): 暑がり、汗かき、動悸、手の震え、体温の上昇など。20〜30代の女性に多く、更年期の不調と似ていて見過ごされやすい
  • パニック発作: 強い不安とともに、動悸や胸の不快感、「冷感または熱感」などが突然出て、10分以内に頂点に達する
  • 発熱: 健康な大人では、朝37.2℃以上、夕方37.7℃以上が発熱の目安とされる

更年期の症状かなと思ったら婦人科へ、甲状腺の病気が気になるときは内科へ、と学会や厚生労働省のサイトは勧めています。日本産科婦人科学会は、更年期の症状の陰に深刻な病気がないか確かめることも大切だ、と書いています。

「短時間で収まり体温計に出なければスピリチュアル」は誤り

もとの記事のよくある質問には、スピリチュアルな熱感は短時間で収まり、体温計には出ないことが多い、という見分け方が書かれていました。けれども、ホットフラッシュは1回1〜5分、狭心症の発作は長くても15分以内、パニック発作も10分以内に頂点に達し、どれも体温計の数字には出ません。

短い時間で収まった、熱は測っても平熱だった、ということは、病気ではない理由になりません。同じ感覚が繰り返すとき、ほかの症状をともなうときは、医療機関で相談してください。

感動で「胸が熱くなる」

「胸が熱くなる」は、辞書では、感動がこみ上げてきて胸がじいんとする、という意味の言い方です。うれしいとき、心を動かされたときに胸のあたりに何かを感じるのは、多くの人に覚えがあるでしょう。

2014年に発表された研究では、701人に、感情を思い起こしたときに体のどこで活動が強まったと感じるかを、人の形の図に塗ってもらいました。多くの感情は胸の上のほうの高まりと結びつき、幸せだけは全身の高まりと結びついていました。ヨーロッパと東アジアの参加者で、結果はほぼ一致しました。ただし、測ったのは「活動が高まった感じ」で、熱さそのものではありません。

手のひらが温かくなるのは

瞑想やヒーリングの練習中に手のひらが温かくなる、という話はよく聞かれます。これには、体がリラックスすると手足の指先の皮膚の温度が上がる、という説明ができます。

1932年にドイツの医師シュルツがまとめた自律訓練法には、「両腕・両脚が温かい」と心の中で唱える段階があります。2015年の研究では、自律訓練法のあと、参加した人の指の皮膚温が上がりました。手が温かくなるのは、才能のしるしというより、体がゆるんだときに起こる自然な反応と考えられます。

瞑想と体温の研究

チベットには「トゥモ」と呼ばれる、体の内に熱を起こす修行があります。2013年の研究では、チベットの僧院で熟練した修行者を測り、強い呼吸法を使う型のトゥモのときだけ、わきの下の体温が最高38.3℃まで上がりました。瞑想の経験のない人が呼吸法だけをまねたときは、上昇は正常の範囲にとどまりました。

1982年の研究でも、3人の修行者で手足の指の皮膚温が上がったと報告されています。呼吸や体の使い方で体温が変わることはありますが、それは訓練による体の反応として調べられているものです。

クンダリニーと熱の出どころ

背中が熱くなるのは「クンダリニーの目覚め」だ、という説明があります。辞典によると、クンダリニーは体の下のほうにあるチャクラに宿る力で、とぐろを巻いた蛇の形をとり、背骨の中の管を通って上っていくとされます。辞典のクンダリニーの説明に、熱の記述はありません。

熱と結びつけた古い記述としては、16世紀ごろの『ハタ・ヨーガ・プラディーピカー』があります。呼吸と体を締める技法で体の中の火が燃え上がり、焼けるような感覚が起こり、熱せられたクンダリニーが目覚める、という内容です。ただしこれは修行の技法の説明で、目覚めた人の体験談が古典に数多くある、というわけではありません。

精神医学の世界では、1994年にアメリカ精神医学会の診断の手引きに「宗教的または霊的な問題」という区分が加わりました。病気の名前ではなく、神秘的な体験などを病気と取り違えないための区分です。体験そのものを否定するのではなく、体の病気がないかを確かめたうえで向き合う、という考え方です。

レイキやプラーナヒーリングについて

もとの記事は、レイキやプラーナヒーリングを「西洋のヒーリング」と書いていましたが、レイキは1920年代に日本で臼井甕男が始めたものとされます。プラーナヒーリングの本で最も古いものは、1987年のチョア・コク・スイの本です。

レイキの比較試験9件をまとめた2008年の研究は、どの病気にも有効な治療だと示すには証拠が足りない、と結論しています。施術中に熱を感じたという話があっても、それで病気の治療の代わりにはなりません。

体が熱くなったときの受け止め方

感動したとき、祈りや瞑想で心が落ち着いたときに体が温かく感じるのは、ごく自然なことです。その感覚を大切にしたいと思う気持ちは、否定しなくてかまいません。

ただ、胸や背中の熱さに、締め付け、圧迫感、息苦しさ、冷や汗、激しい痛みが加わるときは、迷わず119番してください。繰り返すほてりや暑がり、片側だけの痛みや違和感が続くときも、まず医療機関で確かめることを先にしてください。

よくある質問

Q. 胸や背中が熱くなるのはスピリチュアルなサインですか?

A. そう説明されることはありますが、胸や背中の症状は心臓や大動脈の病気、胸やけ、帯状疱疹でも起こります。締め付けや圧迫感、息苦しさ、激しい痛みをともなうときは、すぐに119番してください。

Q. 短時間で収まって熱も出ていなければ、病気ではないですか?

A. そうとは言えません。ホットフラッシュは1回1〜5分、狭心症の発作は長くても15分以内で、どちらも体温計には出ません。

Q. 救急車を呼ぶか迷ったときは?

A. ♯7119に電話すると、医師や看護師などに相談できます。地域によって番号が違う場合があります。

Q. 瞑想中に手のひらが熱くなるのはなぜですか?

A. リラックスすると手足の指の皮膚温が上がることが知られています。自律訓練法のあとに指の皮膚温が上がったという研究もあります。

Q. クンダリニーが目覚めると背中が熱くなるのですか?

A. 16世紀ごろのヨーガの書に、技法で体内の火を起こしてクンダリニーを目覚めさせる記述があります。ただし背中の熱さや痛みは病気でも起こるので、まず医療機関で確かめてください。

Q. 体がほてるのは更年期でしょうか?

A. 更年期のほてりのほか、甲状腺の病気でも暑がりや汗かき、体温の上昇が起こり、更年期と間違えやすいとされます。婦人科や内科で相談してください。

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