『始めよう。瞑想』(宝彩有菜)はどんな本か|知恵の森文庫の書誌と15のステップ、瞑想と坐禅・マインドフルネスのちがい

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瞑想・ヒーリング

瞑想をやってみたいけれど、何から始めればいいか分からない。そんな人向けの入門書として知られるのが、宝彩有菜さんの『始めよう。瞑想』です。

ここでは、この本がどんな本なのかを国立国会図書館の書誌と出版社の紹介で確かめます。本で紹介されている15のステップ、著者のこと、似た言葉の瞑想・坐禅・マインドフルネスのちがい、瞑想をするときの注意もまとめます。

どんな本か

『始めよう。瞑想』(宝彩有菜)はどんな本か|知恵の森文庫の書誌と15のステップ、瞑想と坐禅・マインドフルネスのちがいのイメージ

正式な書名は『始めよう。瞑想 15分でできるココロとアタマのストレッチ』です。光文社の文庫シリーズ「知恵の森文庫」から2007年8月に出ました。国立国会図書館の記録では203ページ、光文社の書誌では212ページと、数え方でページ数が違っていて、2012年には電子書籍も出ています。

光文社の英語のサイトでは、10万部を超えて売れたと書かれています(出版社の表記です)。2011年には続編の『楽しもう。瞑想 心に青空が広がる』が同じ文庫から出ています。続編の紹介では、瞑想を古代インドで完成された修養法、頭を整理し心を整える技術とし、無心になるこつや、欲や感情に振り回されない心得を説く本とされています。

出版社の紹介は「瞑想は宗教ではなく心の科学」

もとの記事は、この本を、瞑想で本来の自己とつながるというスピリチュアルな視点を語る本として紹介し、高次の自己や宇宙とつながる実践だ、と結んでいました。けれども、光文社の紹介文は、瞑想は「宗教ではなく心の科学」だとしています。上達のこつは考え込むことではなく無心になること、とも書いています。

紹介文は、瞑想で体調が整い、くよくよやいらいらといった心の手入れから、記憶力や発想力まで効果がある、と書いています。ただし、紹介文にある「瞑想が上達するとレム睡眠中の脳と同じ働きをしていることが解明された」という説明の裏づけは、確かめられませんでした。効果の話は、出版社の紹介として読んでおくのがよいでしょう。

本で紹介される15のステップ

光文社の英語のページには、イラストつきで解説された15のステップが並んでいます。英語の表記を訳すと、次のような流れです(日本語の章の名前は確かめられませんでした)。

  • 準備(よい場所を探す)、座る、始めの前屈、目を閉じる、上体を起こす
  • 指で印を結ぶ、胸で呼吸する、お腹から深く呼吸する、背筋を伸ばす
  • マントラを唱えて瞑想の状態に入る、瞑想の実習、深い瞑想
  • 終わる、終わりの前屈、休む

もとの記事は「ただ呼吸を感じる」「思考を手放す」をこの本の方法の芯のように書いていましたが、紹介を見るかぎり、本の方法は、手で印を結び、マントラを使って瞑想に入る手順です。マントラはサンスクリット語で本来は「言葉」を意味し、宗教では賛歌や呪文、仏教の密教では「真言」と訳されます。1日15分という時間や、座り方や呼吸の仕方から順に説明する構成は、初めての人が取り組みやすい形です。

著者の宝彩有菜さん

国立国会図書館の記録では、宝彩有菜さんは1950年生まれです。PHP研究所が2010年に作った著者紹介によると、広島県生まれで、大阪大学経済学部を卒業した瞑想家・エッセイストで、宝彩瞑想システム研究所の所長を務めています。もとの記事はこの経歴を「光文社の著者紹介による」としていましたが、光文社の書誌ページの著者紹介欄には名前しかありませんでした。

著書は1990年代から多く、瞑想の本では『リラックス系プチ瞑想術』(2006年)、『心と体がスッキリする「1日15分」瞑想法』(2010年)、『いちばんやさしい瞑想入門』(2013年)などがあります。『気楽なさとり方』(1997年)や般若心経、お釈迦さまの言葉についての本もあります。

瞑想・坐禅・マインドフルネスのちがい

辞典では、瞑想は「目を閉じて深く静かに思いをめぐらすこと」です。1881年の哲学の用語集に載り、国木田独歩の1898年の小説に例があります。百科事典によると、ラテン語の言葉の訳語にもあたり、東洋ではヒンドゥー教、仏教、道教の修行法として行われてきました。ヨーガでは心を一つに集める段階から深い三昧まで3つの段階があり、禅宗は何も思わない「無念無想」を理想とします。同じ事典は、瞑想は現代では心身医学でも研究され、治療に役立つことがあるとしつつ、「専門家の指導を必要とする」と書いています。

坐禅は仏教の言葉で、きちんと座って心の乱れを払い、無我の境地に入って悟りを求める修行です。とくに禅宗で行われ、右の手のひらの上に左の手を置き、目は半ば開きます。日本では700年の『続日本紀』に例があります。体を整える、呼吸を整える、心を整える、の3つは臨済宗も曹洞宗も同じで、臨済宗は公案(禅の問い)を重んじ、曹洞宗はひたすら座ることを強調します。曹洞宗は壁に向かって、臨済宗は向かい合って座ります。「禅」という字も、静かに考えることを意味するインドの言葉を写したものです。瞑想は宗教をまたぐ広い言葉で、坐禅は座り方や目的の決まった仏教の修行、と分けて考えると分かりやすいでしょう。

マインドフルネスは、今この瞬間の自分の心の状態に意識を向けることで、2010年代半ばごろから企業の研修などにも取り入れられるようになりました。医療での始まりは、アメリカのカバット・ジンが1979年にマサチューセッツ大学で始めた8週間のストレス低減のプログラムで、6回目のあとに一日中沈黙して過ごす日があります。1982年の最初の報告では、ふつうの治療でよくならなかった慢性の痛みの患者51人のうち65%で、痛みの指標が3分の1以上下がりました(比べる相手の群のない研究です)。マントラを使う宝彩さんの方法は、呼吸や体の感覚に注意を向けるマインドフルネスとは別のものです。

瞑想をするときの注意

瞑想プログラムの研究をまとめると、不安や気分の落ち込み、痛みには中くらいの証拠がある一方、注意力などへの効果ははっきりしませんでした。また、瞑想の研究を集めた分析では、研究全体の8.3%で不安や落ち込みなどの好ましくない体験が報告されています。本の手順で始めるときも、つらい気持ちや体の不調が出たらやめて、続くときは医師に相談してください。

こんな人に

この本は、宗教や霊的な話を抜きに、手順どおりに瞑想を試してみたい人に向いています。15分という短い時間で、座る、呼吸する、マントラを使う、という流れを一通り体験できるのが特徴です。呼吸に注意を向けるマインドフルネスを学びたい人は、そちらの入門書もあわせて読むとちがいが分かるでしょう。

よくある質問

Q. 『始めよう。瞑想』はどんな本ですか?

A. 宝彩有菜さんの瞑想の入門書で、2007年に光文社の知恵の森文庫から出ました。出版社は「瞑想は宗教ではなく心の科学」と紹介しています。

Q. 本ではどんな方法を紹介していますか?

A. 出版社の英語のページによると、座り方、印の結び方、胸と腹の呼吸、マントラを使って瞑想に入る手順など、15のステップで進みます。

Q. スピリチュアルな本ですか?

A. 出版社の紹介は、宗教的な修行ではなく、心を整える技術として瞑想を説明しています。

Q. 瞑想と坐禅はどう違いますか?

A. 瞑想は宗教をまたぐ広い言葉で、坐禅は仏教、とくに禅宗の修行で、座り方や目的(悟り)が決まっています。

Q. マインドフルネスと同じですか?

A. マインドフルネスは今の自分の心や体の感覚に注意を向ける方法で、マントラを使うこの本の方法とは別のものです。

Q. 瞑想に危険はありますか?

A. 研究をまとめると、不安や落ち込みなどの好ましくない体験が報告されることがあります。つらいときはやめて、続くなら医師に相談してください。

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