人の痛みに敏感で、誰かの役に立ちたい気持ちが強い。そんな人は「ライトワーカー」かもしれない、という説明を見て、自分のことかと気になった人もいるでしょう。
ここでは、ライトワーカーという言葉がいつごろから使われているのかを本の記録で確かめ、言葉を広めた1997年の本の定義と「8つの項目」を紹介します。特徴の一覧が自分に当てはまると感じる理由、作者のその後もまとめます。
言葉の出どころ

ライトワーカーは、英語の「光の働き手」を意味する言葉です。誰が最初に使ったのかは分かりませんでしたが、1991年にアメリカで出た精神世界の旅行案内には「何百人ものライトワーカーに会った」という形で出てきます。同じ1991年には、チャネリングの語りで「あなたはライトワーカーかもしれない」と読者に呼びかける本も出ていて、このころにはすでに実践者を指す言葉として使われていました。
言葉を広めたのは、エンジェルナンバーでも知られるアメリカの作家ドリーン・バーチューの1997年の本『ライトワーカーの道』(英語の原題の訳)です。図書館の分類では、著者の半生と霊的な能力についての本です。日本語版は2008年に『天使と歩むライトワーカーの道』(宇佐和通訳)として出ています。
国立国会図書館で、書名や副題に「ライトワーカー」を含む本を探すと、2008年から2025年までに8点でした。最も早いのは2008年6月の、宇宙人の魂を持つ人々についての本の新しい版の副題です。なお、この言葉は『奇跡のコース』から来たと書かれることもありますが、その原典版の全文を数えると、ライトワーカーという語は一度も出てきませんでした。
1997年の本の定義と「8つの項目」
バーチューの本の序文は、ライトワーカーを、生まれる前に、地球とその人々が恐れから癒やされるのを手伝うと自ら申し出た人々、と説明しています。一人ひとりが神聖な目的のためにここにいるのに、多くは本当の自分と目的を忘れている、という考えです。序文には「あなたはライトワーカーです、もし……」として、次の8つの項目が並んでいます(要約)。
- 人を癒やすよう呼ばれていると感じる
- 世界の社会や環境の問題を解決したいと思う
- 霊的な方法でどんな状況も癒やせると信じている
- 霊的な予感や天使との出会いなど、神秘的な体験がある
- 自分の神聖さを忘れさせるような、つらい経験をしてきた
- 世界を癒やす第一歩として、自分の人生を癒やしたい
- 自分が癒やされた体験について、書く、教える、相談に乗ることに駆り立てられる
- それが何かは分からなくても、高い目的のためにここにいると知っている
最後の項目は、目的が分からなくても当てはまる形になっています。もとの記事が挙げていた「人混みで疲れる」「幼いころから『なぜ』と考える子どもだった」は、この一覧には入っていませんでした。
「4つの種類」も本と違う
もとの記事は、ライトワーカーをヒーラー、ティーチャー、ガイド、アーティストの4つに分けていましたが、出どころは見つかりませんでした。バーチュー自身が後の本(2002年・2007年)で使った分け方は、役割ではなく、魂がどこから来たかによるものです。天使、妖精などのエレメンタル、星から来た人々、途中で魂が入れ替わった人、魔法使いの5つに分け、それらをまとめてライトワーカーと呼んでいます。
特徴の一覧が当てはまると感じる理由
人の痛みに敏感、役に立ちたい、直感が鋭い。こうした特徴は、多くの人が自分にも少しはあると感じるものです。誰にでも当てはまるような説明を、自分のために書かれたものだと感じる心の働きは、心理学で「バーナム効果」と呼ばれています。1997年の本の「目的が分からなくても、高い目的のためにここにいると知っている」という項目も、そうした形の一つです。
「とても敏感な人」を表すハイリー・センシティブ・パーソンという言葉もよく一緒に語られますが、これは1997年に発表された性格の研究から来た言葉で、ライトワーカーとは関係がありません。
菩薩・天使・神使とは違う
もとの記事は、ライトワーカーを仏教の菩薩、キリスト教の天使の使者、神道の神の御使いに近い存在として説明していましたが、辞典の意味とは合いません。
- 菩薩: 悟りを求めて修行し、ほかの人も悟りに導こうと努める者
- 天使: 神の使者として天から遣わされ、神と人の仲立ちをする、人間より上位の霊的な存在。語源のギリシャ語がもともと「使者」の意味
- 神使: 神のつかい。八幡神の鳩、春日明神の鹿、熊野権現の烏のように、その神に縁のある鳥や獣であることが多い
疲れやすさや生きづらさが続くときは
もとの記事は、疲れやすさを感受性の強さのあらわれかもしれない、と説明していました。けれども、疲れや落ち込み、人づきあいのつらさが続くときは、魂の性質として受け止める前に、体や心の不調を疑ってみてください。厚生労働省の「まもろうよ こころ」には、電話や文字のやりとりで相談できる窓口がまとめられています。
作者のその後
バーチューは2017年にキリスト教の洗礼を受け、その年の終わりには、以前の自分の本を処分するよう呼びかけました。2022年の寄稿でも、古い製品を使うのも売るのもやめてほしいと書いています。ライトワーカーの考えを広めた本人が、今はその考えから離れていることも知っておいてください。
ライトワーカーという言葉とのつきあい方
人の役に立ちたい、世界を少しでもよくしたいという気持ちは、ライトワーカーかどうかに関係なく大切なものです。その気持ちを、身近な人への親切や、ボランティア、仕事として形にしていくのはすてきなことです。ただ、「使命があるから」と自分を追い込みすぎたり、高額な講座に頼ったりしないよう気をつけてください。
例として、大野百合子さんの『見えない世界の歩き方 Go!Go!スピリチュアル』(永岡書店、2018年)の販売ページです。目次を確かめられなかったため、ライトワーカーの話が載っているかは分かりません。
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よくある質問
Q. ライトワーカーとは何ですか?
A. 1997年のバーチューの本では、生まれる前に地球と人々を恐れから癒やすのを手伝うと申し出た人々、と説明されています。言葉は1991年には使われていました。
Q. ライトワーカーの特徴は?
A. 1997年の本には8つの項目があり、人を癒やすよう呼ばれていると感じる、などが並びます。「人混みで疲れる」は入っていません。
Q. ライトワーカーには種類がありますか?
A. バーチューは後の本で、魂がどこから来たかで天使・エレメンタル・星から来た人々などに分けました。ヒーラーやティーチャーなどの4分類の出どころは見つかりませんでした。
Q. 特徴が当てはまるのは自分がライトワーカーだからですか?
A. 誰にでも当てはまる説明を自分のことだと感じる「バーナム効果」がよく知られています。当てはまることが証拠にはなりません。
Q. ライトワーカーと菩薩や天使は同じですか?
A. 辞典では、菩薩は悟りを求める修行者、天使は人間より上位の霊的な存在で、人間が担う役割を指す言葉ではありません。
Q. ライトワーカーの本は日本語で読めますか?
A. バーチューの本の日本語版『天使と歩むライトワーカーの道』が2008年に出ています。



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