シンクロと引き寄せ|偶然の一致がよく起こる理由と、願いを行動につなげる方法の研究

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引き寄せ・潜在意識

考えていた人から、ちょうど連絡が来た。気になっていたことの答えが、たまたま開いた本に書いてあった。こうした偶然の一致を「シンクロ」と呼び、願いが叶う前ぶれとして受け止める考え方があります。

ここでは、シンクロニシティと引き寄せの法則がどこから来た言葉なのかを確かめ、偶然の一致がなぜよく起こるのかを、確率と注意の研究から説明します。願いを行動につなげる方法のうち、研究で裏づけのあるものもまとめます。

シンクロニシティとは

シンクロと引き寄せ|偶然の一致がよく起こる理由と、願いを行動につなげる方法の研究のイメージ

辞書では、シンクロニシティは「虫の知らせのような、意味のある偶然の一致」で、心理学者ユングが提唱した考え方とされています。共時性とも訳されます。ユングは1952年に、物理学者パウリとの共著でこの考えを発表しました。日本語訳は『自然現象と心の構造』(河合隼雄・村上陽一郎訳、海鳴社、1976年)で、副題は「非因果的連関の原理」です。

原因と結果のつながりがないのに、意味があるように感じられる一致、というのがもとの意味です。「宇宙や高次の存在からのメッセージ」という読み方は、辞書の意味には入っていません。ユングの考えには、確かめることも否定することもできない、という批判もあります。

引き寄せの法則の出どころ

「引き寄せの法則」という言葉は、19世紀のアメリカで広まった「ニューソート」という思想の中で使われてきました。1906年にはアトキンソンがこの言葉を書名に入れた本を出し、2006年にはロンダ・バーンの『ザ・シークレット』が映画と本で大きな話題になりました。日本語版は2007年に出ています。

2023年に発表された研究では、「宇宙から成功を引き寄せられる」と信じる度合いを1,023人で調べ、3分の1を超える人がこの考えを支持していました。信じる度合いの高い人ほど、自分は成功していると感じていましたが、リスクの高い投資に引かれやすく、破産した経験も多いという結果でした。

偶然の一致はなぜよく起こるのか

統計学者のディアコニスとモステラーは1989年の論文で、偶然の一致の多くは、次の四つで説明できるとしました。そして、これがシンクロニシティの説得力の大部分を説明する、と書いています。

  • 隠れた原因がある(偶然に見えて、実はつながっている)
  • 記憶や知覚のくせ(当たったことを覚え、外れたことを忘れる)
  • 「近いもの」を同じとみなして数える
  • ありえないほど大きな数の法則(めったに起こらないことも、機会が多ければどこかで起こる)

たとえば、23人集まれば、誰か2人の誕生日が同じになる確率は50.7%です。デジタル時計を1日に20回、決まりなく見る人なら、「11:11」を見るのは1年で平均5回ほどになります。1日に1000分の1の確率でしか起こらない偶然でも、1年のうちに1回以上起こる確率は約31%です。偶然の一致は、感じているよりずっとよく起こるものです。

気づくものは注意が決める

願いや目標があると、それに関係するものに気づきやすくなります。これは注意の働きとして研究されています。2005年の研究は、予想していなかった物に気づくかどうかを最も左右するのは、その人自身の注意の目標だと結論しています。注意を向けていないと、目の前にある物さえ見えないことがあります。

不安が強い人は、脅威に関係するものに注意が向きやすいことも、172の研究をまとめた分析で確かめられています。覚えたばかりの言葉を急に何度も見かけるように感じる「頻度錯覚」、自分の考えに合う情報ばかり集めてしまう「確証バイアス」、でたらめなものにつながりや意味を見いだす「アポフェニア」も、同じ方向の働きです。

つまり、シンクロが増えたと感じるのは、願いに合わせて注意が向くようになったから、と説明できます。引き寄せが動き出したサインだという根拠は見つかりませんでした。

「考えていたら広告が出た」は偶然ではない

もとの記事には、起業について考えていたら起業セミナーの広告が目に入った、という例がありました。インターネットの広告には、閲覧履歴や買い物の履歴から興味を推しはかって出し分ける仕組み(行動ターゲティング広告)があります。調べていたことに関係する広告が出るのは、偶然ではなく、ディアコニスとモステラーの言う「隠れた原因」の典型です。

願いを「感情つき」で思い描くのは逆効果のことがある

引き寄せの実践では、願いが叶った場面を感情たっぷりに思い描くことがよく勧められます。けれども、心理学者エッティンゲンらの研究では、望む未来を前向きに空想して味わう人ほど、その後の努力が少なく、成果も低いという結果が出ています。対象は、職を探す卒業生、片思いの学生、試験前の学生、手術を受ける患者などでした。

前向きな空想をしたあとは、血圧などで測った「やる気のエネルギー」が下がり、1週間後に達成した目標も少なかったという研究もあります。空想はその時は気分をよくしても、数か月後の抑うつ症状の増加と結びついていた、という報告もあります。試験勉強の研究では、良い成績という結果より、勉強している過程を思い描いたほうが、勉強量が増えて成績も上がりました。

研究で裏づけのある方法

エッティンゲンらが勧めるのは、願いと、それをはばむ障害を並べて考える方法です。手順の頭文字から「ウープ」とも呼ばれ、次の四つを順に考えます。

  • 願い
    かなえたいことを一つ決める
  • 結果
    かなったときに得られる一番よいことを思い描く
  • 障害
    それをはばむ、自分の中の障害を思い描く
  • 計画
    「障害が出てきたら、こうする」と決めておく

この方法をまとめた2021年の分析(21研究、1万5千人あまり)では、目標の達成に小さいながら確かな効果がありました。「状況がこうなったら、この行動をする」と前もって決めておく方法(実行意図)は、94の検証をまとめた分析で、中程度から大きめの効果が確かめられています。

もとの記事の「実践ポイント7選」を確かめる

  • シンクロ日記
    目標への進み具合を記録すると達成が高まる(138研究の分析。紙に書くと効果が大きい)。ただ、偶然の一致だけを集めると、当たったものだけが残りやすい
  • 願いを感情つきで明確に
    願いを具体的にするのはよいが、結果を感情つきで思い描くだけでは逆効果のことがある。障害と計画を足す
  • 週1回の振り返り
    進み具合の確認は研究で支えられている。人に報告すると効果が大きい
  • 「ありがとう」の習慣
    感謝のワークで幸福感が少し上がるという分析がある。引き寄せを加速させるという根拠はない
  • 直感で小さく動く
    小さく具体的な行動を前もって決めるのは有効。ただし直感の確かさは、規則性のある場面で経験を積んだときに限られる
  • セルフケア
    睡眠不足は注意力や判断力を下げる(厚生労働省の睡眠ガイド)。疲れるとシンクロに気づきにくい、という研究は見つからない
  • 執着を手放して委ねる
    かなわない目標から離れて別の目標に取り組み直せる人ほど幸福感が高い、という研究はある。ただし「宇宙に委ねて待つ」とは別の話

心配すると悪いことを引き寄せる?

「ネガティブな感情も同じように現実を引き寄せる」という説明は、心配している自分を責める方向に働きがちです。研究で確かめられているのは、不安が強いと、脅威に関係するものに注意が向きやすい、ということまでです。心配ごとに関係する出来事ばかり目につくのは、注意がそちらに向いているからで、心配したせいで悪いことが起きたわけではありません。

お金をかける前に

引き寄せや開運をうたう高額なセミナーや占いサイトのトラブルもあります。国民生活センターには、占いサイトに関する相談が2016年度から2019年度に年1,406〜1,837件寄せられていました。困ったときは、消費者ホットライン188(いやや)に相談できます。

例として、願いをノートに書く方法をテーマにした本『書くだけで願いが叶う!「引き寄せノート」のつくり方』(丸井章夫、宝島社、2017年)の販売ページです。紙の本か電子版かは販売ページで確かめてください。

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よくある質問

Q. シンクロは願いが叶うサインですか?

A. そう受け止める考え方はありますが、根拠は見つかりませんでした。願いがあると関係するものに注意が向くので、偶然の一致に気づきやすくなる、と説明できます。

Q. シンクロニシティは誰が言い出した言葉ですか?

A. 心理学者ユングです。1952年に物理学者パウリとの共著で発表し、日本語訳は『自然現象と心の構造』として1976年に出ています。

Q. 願いが叶った場面を思い描くのはよくないのですか?

A. 思い描くだけだと、その後の努力や成果が下がったという研究があります。願いと障害を並べて考え、障害への対策を決めておく方法が勧められています。

Q. 11:11をよく見るのは特別なことですか?

A. 1日に20回時計を見る人なら、11:11を見るのは1年で平均5回ほどです。珍しいことではありません。

Q. 心配ばかりしていると悪いことが起きますか?

A. 心配すると脅威に関係するものに注意が向くことは確かめられていますが、心配が出来事を引き寄せるという根拠はありません。

Q. 引き寄せの法則は科学的に確かめられていますか?

A. 確かめられていません。強く信じる人ほどリスクの高い投資に引かれやすいという研究もあります。

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