「サードアイが開く」と聞くと、直感が鋭くなる、見えないものが見えるようになる、といった話を思い浮かべるかもしれません。眉間のあたりに何か感じると、それがサインなのか気になる人もいるでしょう。
ここでは、サードアイと呼ばれる眉間のチャクラが、もとの文献でどう書かれているのかを確かめます。ヒンドゥー教のシヴァの額の目と仏の眉間の白毫、松果体を「第三の目」とする説の出どころ、眉間が圧迫されるように感じるときの受診の目安もまとめます。
16世紀の本では、眉間の「白い2枚の花弁の蓮」

もとの記事は、サードアイを伝統的な教えの「第六チャクラ」とし、色は藍色だと書いていました。チャクラを説明した古典としてよく知られる『シャット・チャクラ・ニルーパナ』(1577年に書かれた本の一部)では、眉間のアージュニャーは、月のように白い2枚の花弁の蓮で、花弁に書かれた文字も白いとされています。
名前は、師(グル)の「命令(アージュニャー)」をここで受けることから来ていて、ここは心の座とされ、中には聖なる音オームがあると書かれています。この本を1919年に英訳したウッドロフは、アージュニャーは「第三の目、すなわち智慧の眼」に割り当てられた位置にある、と説明しています。
辞典によると、チャクラはふつう会陰から眉間までの6つで、頭頂のサハスラーラなどを加えて数えます。7つのチャクラに虹の色を順に当てる方式は1930年代、色と心の性質の一覧がそろって印刷されたのは1977年とされます。アージュニャーに藍色を当てるのは、もとの文献ではなく、後の時代の割り当てです。
文献が約束していたのは「直感」ではない
もとの記事は、サードアイが開くサインとして、直感やひらめきが増える、明晰夢を見やすくなる、眉間に圧迫感を覚える、偶然の一致が増える、を並べていました。けれども、もとの文献がこの蓮に心を集中する行者の果報として挙げるのは、他人の体に意のままに入れる、すべてを知りすべてを見る者になる、すべての聖典に通じる、といったことです。注釈は、その一部の句を賛辞だとしています。直感が鋭くなる、偶然の一致が増える、という話は出てきません。
明晰夢は、研究をまとめると一生に一度以上見たことがある人が約55%、月に1回以上見る人が約23%で、特別な人だけの体験ではありません。偶然の一致を指すシンクロニシティは、心理学者ユングの「意味のある偶然の一致」という言葉で、サードアイと結びつける出典は見つかりませんでした。
シヴァの額の目と、仏の眉間の白毫
辞典によると、ヒンドゥー教の神シヴァは額に第三の目を持ち、苦行を妨げようとした愛の神カーマを、額の目から放った炎で焼き殺したとされます。もとの文献の注釈にも、眉間のチャクラを「シヴァの家」と呼ぶ文献がある、と書かれています。
仏の眉間には白毫(びゃくごう)があります。右巻きの白い毛で、光を放って数えきれない国々を照らすとされる、仏の三十二の特徴の一つで、仏像では眉間に水晶などをはめ込んで表します。百科事典には、白毫はシヴァの三つの目のうち光を放つ中央の目とほぼ同じ位置にあり、シヴァの第三の目が仏教に入って白毫になったとも考えられる、とあります。
松果体を「第三の目」とする説
サードアイは松果体のことだ、と説明されることもあります。松果体は脳の奥にある小さな内分泌の器官で、眠りに関わるメラトニンを出しています。17世紀の哲学者デカルトは、1640年の手紙と1649年の『情念論』で、松果体を「魂の主要な座」としました。脳の多くの部分は左右一対なのに、二つの目で一つのものを見るので、印象をまとめる場所が要る、という理由でしたが、後の解剖学者に批判され、死後はほぼ退けられました。
19世紀の終わりには、科学者たちが、松果体は背中側にあった「第三の目」の進化の名残だと唱え、この考えは形を変えて今も受け入れられています。トカゲなどには頭頂眼が残っていて、頭の上の白い点として見え、像は結ばず明るさを感じる程度だとされます。これを、神智学の創始者ブラヴァツキーが「シヴァの目」と結びつけ、松果体を霊的な視覚の器官の名残と呼びました。一方でウッドロフは、アージュニャーが松果体などのどれに当たるかは「意見の問題」で、こうした当てはめは仮のものだと書いています。
松果体は年齢とともに石灰化します。2〜89歳の216人の頭の画像を調べた研究では75.0%に石灰化が見られ、病気ではない生理的な変化として扱われていました。高齢の遺体11体を調べた研究では、松果体にフッ素がたまっていましたが、石灰化を取り除くとサードアイが開く、といった話を確かめた研究は見当たりませんでした。
『第三の眼』という本
1956年にイギリスで出た『第三の眼』は、チベットの僧院で額の骨に穴をあけ、第三の目を開く手術を受けたという内容の本で、日本でも1957年に訳書が出ました。けれども、著者のロブサン・ランパは、調べた人たちによって、イギリスのデヴォンの配管工の息子、シリル・ヘンリー・ホスキンだと突き止められています。それでも日本では、その後も「第三の眼」を題にした超能力の本が1980年代や90年代に出ています。
眉間の圧迫感は、頭痛や副鼻腔炎のことも
もとの記事は、眉間の圧迫感や温かさを、エネルギーが動き始めたサインとしていました。日本頭痛学会によると、緊張型頭痛は一次性頭痛で最も多いものの一つで、圧迫されるような、締めつけられるような痛みが、多くは両側に30分から7日続きます。痛み止めの飲みすぎは別の頭痛を招くので、週に1〜2日程度にとどめるよう勧めています。副鼻腔炎でも、額や、目の奥、両目のあいだが痛むことがあり、症状が10日続くときは細菌の感染も疑われます。
目の痛みに、見えにくさや吐き気が加わるときは、眼圧が急に上がる急性緑内障発作のことがあり、治療しても見る力に障害が残ることがあります。すぐに眼科か救急を受診してください。突然の強い頭痛、いつもと違う頭痛、目のまわりの腫れや見え方の変化があるときも早めに受診し、迷ったら #7119 に相談してください。
日常のヒントについて
もとの記事は、スマートフォンなどから離れるデジタルデトックスで内なる声が聞こえやすくなる、と書いていました。21の研究(3,625人)をまとめた2022年の系統的レビューでは、効果は研究ごとにばらばらで、効果があった研究も、なかった研究も、幸福感に逆効果だった研究もありました。画面を見続ける疲れを減らしたいなら、厚生労働省が事業者向けに示す目安が参考になります。1時間を超えて続けて作業しないようにし、10〜15分は作業から離れて、遠くを眺める、目を閉じる、体を伸ばすといった時間をとる、というものです。
藍色の服や紫の食べ物を取り入れる方法には、出どころが見つかりませんでした。瞑想は、副作用を調べた研究をまとめると、有害なことが起きた割合が全体で8.3%(研究の種類によって3.7%から33.2%)で、不安や気分の落ち込みが多く報告されています。つらい感覚が出たらやめて、相談してください。チャクラの考え方を知る入門書には、矢尾こと葉さんの『はじめてチャクラの本』(永岡書店、2013年、CD付き)などがあります。
よくある質問
Q. サードアイとは何ですか?
A. 眉間のアージュニャー・チャクラを指す呼び名です。16世紀の文献では、師の命令を受ける場所で心の座とされる、白い2枚の花弁の蓮として描かれています。
Q. サードアイの色は藍色ですか?
A. もとの文献では白です。7つのチャクラに虹の色を順に当てる方式は1930年代からとされます。
Q. サードアイが開くと直感が鋭くなりますか?
A. 文献が果報として挙げるのは、すべてを知る者になるといった超常の力で、直感の話は出てきません。確かめた研究も見つかりませんでした。
Q. 松果体がサードアイなのですか?
A. 松果体は進化の上での「第三の目」の名残とする説があります。霊的な目とする説明は、19世紀の神智学から広まりました。
Q. 眉間が圧迫されるように感じるのはサインですか?
A. 緊張型頭痛や副鼻腔炎のこともあります。目の痛みに見えにくさや吐き気があれば、すぐに受診してください。


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